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備忘録・日本の作家編 [日記(2007)]

「読書感想文」はここから

司馬遼太郎
 学生時代から読んでますから30年以上のつき合いです。一番好きなのは「燃えよ剣」。「坂の上の雲」「疾ぶが如く」になると司馬史観のようなものが出てきて人物に躍動感が乏しく、物語として興が削がれます。司馬遼太郎の神髄はなんといっても「街道をゆく」でしょう。小説では邪魔になる蘊蓄や解説が、紀行のかたちを取ると主題と違和感なく調和します。東大阪に記念館がありますが、作家の舞台裏が少し覗けます。蔵書の展示館のようなもので、入館料500円は高いですが(と云いつつ何度も行ってしまった)。初めてアメリカに出張するときに「アメリカ素描」読んで出かけましたが(殆どビョーキ)結構「なるほど」と感じました。


【既読】
竜馬がゆく 燃えよ剣 梟の城 上方武士道 風の武士 尻啖え孫市 戦雲の夢 風神の門 功名が辻 城をとる話 国盗り物語 北斗の人 俄 浪華遊侠伝 関ヶ原 十一番目の志士 新史太閤記 義経 峠 坂の上の雲 歳月 世に棲む日日 花神 覇王の家 播磨灘物語 翔ぶが如く 空海の風景 胡蝶の夢 項羽と劉邦 ひとびとの跫音 菜の花の沖 箱根の坂 韃靼疾風録 街道をゆく アメリカ素描 ロシアについて この国のかたち 古往今来 春灯雑記 街道をゆく21 神戸・横浜散歩、芸備の道 街道をゆく39 ニューヨーク散歩 街道をゆく8 熊野・古座街道、種子島みち

【予定】
「街道をゆく」をもう一度第1巻から読み直す・・・?

 

吉村 昭
 歴史小説では司馬遼太郎と双璧です。後の時代から歴史を「見下す」のではなく、人間の身丈の高さから、事実を淡々と書き込んでゆく作風は圧倒されます。『ポーツマスの旗』を読んでから、せっせと古本を漁るようになりました。未読の長編が多いので楽しみです。最近『ふぉん・しぃふぉるとの娘』を読みましたが、幕末の世情を背景に親子2代にわたる物語は素晴らしかったです。私が面白い面白いと宣伝した結果、会社で吉村ファンが増えました。残念にも2006年に亡くなりました。
【既読】
戦艦武蔵 ふぉん・しぃほるとの娘 破獄 海の史劇  ポーツマスの旗 桜田門外ノ変 漂流 長英逃亡 ニコライ遭難 零式戦闘機 大黒屋光太夫 アメリカ彦蔵 海の祭礼 深海の使者 冬の鷹 生麦事件 天狗争乱 虹の翼 大本営が震えた日 間宮林蔵 黒船 漂流

【予定】
落日の宴 

髙村 薫
 ちゃんとはしご段の「髙」にしました。昨年『半眼訥訥』を読んで途端『髙村薫』づき、再読を含め既刊を全部読むはめとなりました。これがやたら面白い、完全に「ハマリ」ました。古本・文庫本の掟を破って、ハードカバーの『晴子情歌』『新リア王』まで買い今や「タカムラー」状態。次の新刊を首を長くして待っています。髙村薫サンは最近マスコミに頻繁にご出演、ちょっとイメージ後退しました。今日的「情況」にもの申すのいいけど、作家は著作で勝負じゃないでしょうか?この人の悪い癖は、既刊本の「加筆推敲→新版」化。完全主義もいいですが、貧乏な読者にあまり負担を掛けないようにお願いする次第です。
【既読】
黄金を抱いて翔べ 神の火 李歐 リヴィエラを撃て マークスの山 地を這う虫 黄金を抱いて翔べ 照柿 レディ・ジョーカー 半眼訥訥 晴子情歌 新リア王 太陽を曳く馬(上) (下) 冷血(上) (下)
【予定】
新刊が出たら買います。

村上春樹
 今まで全く興味がなかったのですが、新聞で「村上春樹・シンポジウムに立ち見席」が出たとか読んで、100円の『羊をめぐる冒険』からスタート。早々と「ハルキスト」宣言をし(ジョギングはしません)、長編を全部読んで今は一服状態。ノーベル賞候補に挙がったとかいう噂もあったが、違うんじゃないかと思います。この人の小説を読むと(不謹慎にも)、酒と音楽とファッションと車の好みと、女を口説く物語を延々と聞かされた様な気もします。その辺りが人気の秘密でもあるのでしょうか?
【既読】
風の歌を聴け 羊をめぐる冒険 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド ノルウェイの森 ダンス・ダンス・ダンス 国境の南、太陽の西 ねじまき鳥クロニクル 海辺のカフカ アフターダーク 遠い太鼓 やがて悲しき外国語 村上朝日堂はいかにして鍛えられたか スプートニクの恋人 約束された場所で 1Q84 BOOK1 BOOK2 BOOK3 東京奇譚集 辺境・近境 神の子供たちはみな踊る

【未読】
1973年のピンボール アンダーグラウンド  

福井晴敏
 『亡国のイージス』を読んで圧倒され→『Twelve Y. O.』→『川の深さは』で中弛み、『終戦のローレライ』が出た頃、どこかのblogで「文庫本まで待つ必要は無い、即買え、買って損は無い」と読んで、またまた節に反しハードカバー購入。おっしゃるとおりでした。「終章」は涙なしには読めない。で『Op.ローズダスト』読んだのですがちょっと裏切られたような。福井晴敏サン『終戦のローレライ』超えて下さい。
【既読】
Twelve Y. O. 川の深さは 亡国のイージス 終戦のローレライ Op.ローズダスト
【予定】
「6ステイン」は未読です。長編が出たら買います。

佐々木譲
 既読はまだあったような。3部作が圧倒的に良かったので記憶の彼方です。特に『エトロフ発緊急電』はミステリー + 歴史もの + ラブストーリー で再読、再々読に耐える傑作だとかってに思っています。この三冊は、お袋経由で知り合いの元日本帝国陸軍少年兵の方の手に渡り、「感動の嵐」を喚んだそうです。

公式HP →http://www.sasakijo.com/

【既読】
エトロフ発緊急電 ベルリン飛行指令 ストックホルムの密使 夜にその名を呼べば ネプチューンの迷宮 笑う警官 警官の血 サンクス・ビギング・ママ

【予定】
警官の血

浅田次郎
 落としどころを押さえたうまい作家です。多くはよんでいませんが『壬生義士伝』『蒼穹の昴』は、構成といい語り口といい長編「ロマン」です。多分、何を読んでも裏切られることの無い数少ない作家でしょう。極道ものから歴小説までこの人のジャンルの多さには負けます。『中原の虹』が全巻揃ったら読もうかなと考えています。
【既読】
日輪の遺産 プリズンホテル 蒼穹の昴 鉄道員 活動寫眞の女 壬生義士伝 輪違屋糸里 勇気凛凛ルリの色 お腹召しませ 五郎治御始末 憑神 中原の虹(1) (2) (3)(4) 春山課長の七日間
【予定】
プリズンホテ・秋(つい買ってしまった)

藤沢周平
 山本周五郎の再来のような作家ですね、江戸市井ものなど泣かせる短編が殊に好きです。時代が荒む今日、藤沢周平のような正統派が好まれるのでしょう。武家もの『用心棒日月抄』もいいですが、人情もの『橋ものがたり』、中年の不倫を描いた『海鳴り』など多様な藤沢「癒し系」ワールドに浸れます。「義民が駆ける」「漆の実のみのる国」を読みましたが、シリアスな歴史物もありますね。
【既読】
暗殺の年輪 義民が駆ける 竹光始末 用心棒日月抄 孤剣 刺客 凶刃 よろずや平四郎活人剣 たそがれ清兵衛 三屋清左衛門残日録 蝉しぐれ 春秋の檻 隠し剣孤影抄 隠し剣秋風抄 風の果て 本所しぐれ町物語 橋ものがたり 秘太刀馬の骨 海鳴り 春秋山伏記 海鳴り 漆の実のみのる国 回天の門
【予定】
 市塵 白き瓶

山本周五郎
 学生時代の「隠れた」愛読書。当時「山本周五郎が好き」というと「反動」「日和見」呼ばわりされそうで密かに読んでました(^^;)。当時の学生の愛読書が姿を消しても、周五郎は読み継がれています。
【既読】
柳橋物語 日本婦道記 むかしも今も 栄花物語 樅ノ木は残った 赤ひげ診療譚 深川安楽亭 町奉行日記 つゆのひぬま おさん 青べか物語 天地静大 虚空遍歴 さぶ 彦左衛門外記 はたし状 季節のない街
【予定】
正雪記

池波正太郎
 『鬼平犯科帳』、『剣客商売』シリーズが「出張の友」だったサラリーマンは多いのではないかと思います。池波正太郎サンは旬の食べ物を本当に旨そうに書きますね。
【既読】
鬼平犯科帳 
剣客商売(剣客商売 辻斬り 陽炎の男 天魔 白い鬼 新妻 狂乱 待ち伏せ 勝負 隠れ蓑 春の嵐 十番斬り 波紋 暗殺者 二十番勝負 ないしょないしょ 浮枕 黒白)
仕掛人・藤枝梅安(殺しの四人 梅安蟻地獄 梅安最合傘)
蝶の戦記 雲霧仁左衛門 おとこの秘図 乳房 まんぞくまんぞく
【予定】
予定無し

隆 慶一郎
『吉原御免状 』『かくれさと苦界行』で日本史の裏面に切り込んだ、伝奇小説に分類される作家です。網野善彦の世界を小説にすれば隆 慶一郎になる、といったところです。こういう世界は好みです。
【既読】
一夢庵風流記 影武者徳川家康 死ぬことと見つけたり 吉原御免状 かくれさと苦界行 捨て童子・松平忠輝 柳生非情剣 鬼麿斬人剣 柳生刺客状 花と火の帝 風の呪殺陣
【予定】
予定無し

高橋和巳
 『わが解体』で真摯に時代と向き合って、39歳で夭折した中国文学者。吉川 幸次郎がその死を悼んだ話は有名?です。60年代末~70年代には、一部の読者層には熱心に読まれた筈です(作品集まで出ました・・・持ってます(^^)。時代を映した小説が多いので、今では読まれることの無い作家でしょうが、大本教弾圧事件を下敷きにした『邪宗門』は名作だと思います。高橋たか子さんは作家の奥さんです。
【既読】
散華 悲の器 我が心は石にあらず 邪宗門 憂鬱なる党派 日本の悪霊 黄昏の橋 白く塗りたる墓 わが解体 高橋和巳作品集
【予定】
予定無し

佐野眞一
 評判になった『東電OL殺人事件』は読んでいたのですが、なじみのない著者でした。書評で『阿片王』を読んで、久々にノンフィクションの面白さにとりつかれ、立て続けに読みました。読書好きにとって『だれが「本」を殺すのか』は示唆に富んだ一冊です。本が、読書が何処へゆくのかおぼろげに見えてきそうな。綿密な取材で事実を積み重ねて、その先に何が見えてくるのか・・・これはミステリーを読む悦楽と同種のものです。
 ハシモトに返り討ちにあって、すっかり男を下げた佐野さんですが、これくらいでは引き下がってほしくないものです。コピー問題も出て来ましたが...。
【既読】
旅する巨人 カリスマ だれが「本」を殺すのか 東電OL殺人事件 東電OL症候群 阿片王 甘粕正彦 乱心の曠野 あんぽん-孫正義伝-

【予定】
巨怪伝

沢木耕太郎
ボクサーを扱ったスポーツノンフィクション『一瞬の夏』は秀逸です。『凍』で2006年度・講談社ノンフィクション賞とりました。『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞もとっています。
【既読】
敗れざる者たち 一瞬の夏 テロルの決算 人の砂漠 テロルの決算 
【予定】

杉山隆男
『メディアの興亡』に圧倒され、兵士シリーズを読みましたが、徹底した取材の手堅いノンフィクションライターです。『兵士を追え』で潜水艦を扱っているらしいので読んでみようかと、何しろ三部作だし(読みました)。この人も『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞とってますね。というか、佐野眞一も柳田邦男も受賞しています。
【既読】
メディアの興亡 兵士を見よ 兵士に聞け 兵士を追え 「兵士」になれなかった三島由紀夫
【予定】
兵士は起つ

立花 隆
 結構読んでますね。『臨死体験』あたりまでは結構気合いはいっていましたが、最近の著作はちょっと。でも『政治と情念』は、ゴシップ記事としては最高でした。一時は「知の巨人」とか何とか云われてましたが、この人の持ち味は「ジャーナリスト」だと思います。立花サンもう一回昔のような仕事しません?
【既読】
「知」のソフトウェア  宇宙からの帰還 青春漂流 農協 臨死体験 中核VS革マル 日本共産党の研究 エコロジー的思考のすすめ 立花隆・100億年の旅  田中角栄研究 政治と情念 アメリカ性革命報告 文明の逆説 サル学の現在 アメリカジャーナリズム報告 電脳進化論―ギガ・テラ・ペタ  マザーネイチャーズ・トーク インターネット探検 ぼくはこんな本を読んできた
【予定】
予定無し

柳田邦男
もっと読んでいるいるはずですが思い出せません。医学ものに方向転換して、結構説教くさくなって読むのをやめました。『日本の逆転した日』をはじめとするビジネスものは面白いです。日本が華やかであったころのノスタルジーにたっぷりと浸れます(多分絶版?古本ではたまに見かけます)。
【既読】
零戦燃ゆ 空白の天気図 失速・事故の視角 零式戦闘機 撃墜―大韓航空機事件 マッハの恐怖  マリコ  日本の逆転した日 狼がやってきた日 日本は燃えているか 活力の構造 零戦燃ゆ・飛翔編
【予定】
 『零戦燃ゆ』の(3)以降

・・・ここまで・・・

【蛇足】

私の読書のスタンスは、

人の意見に耳をかさない
 でやってきましたが、書評や色々ある「賞」は気にしています。まあ嫌でも耳に入ってきますが。(私としての再発掘の)髙村 薫や村上春樹は100円の古本から出発しています。

図書館で借りない
たとえ古本であってもなけなしの小遣いをはたいています。リスクとリターンの問題です、所有欲も無きにしもあらず。古本漁りは止められません。

仕事の本は読まない
仕事の本は出来るだけ会社で読んでいます、残業してでも(残業手当つきませんが)。

家では読まない
基本、通勤電車と昼休み(最近休憩時間オーバー気味)が読書時間です。あまりの面白さについ家でよむこともありますが。新幹線の中は最高の読書室です。

別にこうと決めてやっている訳では無いのですが、自然とこうなりました。

最近追加されたスタンス
新刊は買わない、ハードカバーは買わない
主に財政的事情です(^^;;;・・・高村薫と村上春樹は仕方なく買ってます。

出来れば古典を読む
これは希望です、まあ無理でしょうね。余命30年としてその間に読める本は、100冊/年(そんなには無理)として3000冊です。


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