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第4章~27~遠い遠い先に・・・

So-net blog:さよならベリーズ!うつろいゆく季節の中で
舞波ちゃんは途切れ途切れに言葉を続けていった・・・。

「あの・・・。」

逆光で舞波ちゃんの顔は見えない・・・。

舞波ちゃんは言葉を続けた。

「私・・・引越しするの・・・。」

どんな表情で言っているのかわからない・・・。

「引越し?」

舞波ちゃんの言葉にリアリティを感じられないまま、ただ舞波ちゃんの言った言葉を聞き返す。

「うん・・・。お父さんの仕事の都合で・・・。海の向こうに・・・。」

どこかで聞いた言葉・・・。

モモコが言っていた嘘の言葉。

そうだ・・・。

モモコが僕を劇の練習相手にしたときの言葉だ!

舞波ちゃんは一歩斜め後ろに下がって僕に道を開けた。

待合所から出た僕。

逆光から逸れた舞波ちゃんの顔は笑っていた。 

笑っている・・・。

・・・冗談か・・・?

そう思って僕は苦笑いをして言った。

「どうしたの?突然舞波ちゃん?」

舞波ちゃんは一瞬驚いたような顔をした。

僕は勢いでそのまま言葉を続けていた。

「それ、この前の劇のモモコのセリフじゃん!」

僕の言葉を聞いた舞波ちゃんは一瞬にして笑顔を消した・・・。

舞波ちゃんの唇がわずかに震えながら、小さく開く・・・。

「モモコなんて・・・。」

え!?なんだ!?まさか!?

舞波ちゃんの目から一粒・・・。

涙がこぼれた・・・。

本当なのか?

何も言えずに舞波ちゃんを見る僕。

僕を見る舞波ちゃんの両目から再び涙がこぼれた。

「本当なのに!」

そう言った舞波ちゃんは僕に背を向け、駆け出していた!

本当に?

本当に舞波ちゃんは・・・?

「待って!舞波ちゃん!!!」

踏み切りを渡る途中の舞波ちゃんは僕に振り返った!

 

 

夕日を浴びて立ち止った舞波ちゃんの先には長く続く線路が伸びており

夕日は舞波ちゃんをオレンジ色に染めて長い影を作り出していた。

舞波ちゃんの向こうに続く線路にそって、遠い遠い先に舞波ちゃんは行ってしまう

そう見えた・・・。

ずっとずっとそのまま・・・。

もう二度と会えない遠い遠い先に・・・。

 

踏み切りの警告音が鳴り始めた。

踏み切りの遮断機が下りていく・・・。

顔だけ僕に振り返ったまま、なにも言わずに僕を見る舞波ちゃん・・・。

踏み切りに駆け寄った僕・・・。

だけど僕と舞波ちゃんの間に下ろされた遮断機をどうすることもできないまま、行く手をふさがれたまま

電車が通過していくのを待つ。

通りすぎた電車のあとには、舞波ちゃんはいなかった・・・。

 

遮断機の向こう側は、下り坂になっていた。道路わきの楓の木から落ち葉が舞い落ちていた。

遮断機が上がった。

僕は踏み切りを走って渡った。

踏み切りを渡り下り坂をおりていく・・・。

この坂の下りきったところには、稲穂実る田んぼの一角に

コスモスの花が密集しているコスモス畑があった。

オレンジ色の雲が流れる青い空の下

ピンク、マゼンタ、白の花を咲かせていっぱいに広がるコスモスたち・・・。

それは桜のようにも見えた・・・。

秋の桜の花が空を見上げている・・・。

その中に一人の女の子が背を向けて立っていた

肩まである黒髪・・・。

白いブラウス・・・。

ピンクのベスト・・・。

あの後ろ姿は・・・。

                                                    ・・・つづく

雅人:この物語の主人公。性格は内気で、妄想癖がある。
    中学に入ってマンガばかり描いていたので近眼になりメガネをかけている。
    学校が終わるとすぐ帰ってしまう、いわゆる帰宅部。
    特にこれといった特徴もない普通?の男子中学生。
    小学校から同じクラスだったモモコに片想いをしている・・・。

  

モモコ:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060502-0-1
                雅人のクラスメート。13歳。負けず嫌いで頑張り屋。
                明るくて無邪気な振る舞いが、時として主人公の雅人を翻弄する。

 

佐紀:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060730-1-1
              雅人とモモコのクラスメート。背は小さいがしっかり者。
              ベリーズのリーダー的存在。

千奈美:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060801-0-1
              中学1年生。自分の事を「ちな」と言う。
              素朴な容姿、天然ボケと舌足らずな喋り方で実年齢より
              幼く見られがち・・・。
              本人は子供っぽく見られることを気にしているのだが・・・。
              同じ学年でも、大人っぽく見られる「雅」に憧れている。
 

舞波:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060813-0--1
              千奈美と同じクラスの中学1年生。
              少し恥ずかしがりやでおとなしい性格。
              好きな男子がいるようだが・・・。
              図書委員。
 友理奈:
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-08-13-1
                                              明るくて爽やかな女の子。
               ベリーズの中で一番背が高いが(170センチ)
               小学6年生。
 梨沙子:
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-08-24
                                             誰もが振り返るほどの美少女。
               おっとりしていてマイペース。
               主人公をからかって遊ぶ。
 雅:
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-08-27-2
                                          中学1年生。その風貌から、大人っぽく見られやすい。
 茉麻(まあさ):
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-09-09-2
                                                            困っている人を見ると、放っておけない。
                         男子よりも力が強い!?

 まこと:小学生の頃からの雅人の親友。お調子もので雅人とは正反対の性格。
     小学生の頃から始めたドラムの才能がある。








このブログは私が書いたイラストと写真入り小説(想像物です)をメインにしてます。
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リンク集 http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-07-23

マンガ「ももちとさきっち」
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060625-0--1

 
イラスト入り小説「さよならベリーズ~うつろいゆく季節の中で~」
                              第一章 モモコとの出会い
                       

  
イラスト入り小説「さよならベリーズ~うつろいゆく季節の中で~」
                              第二章 夏祭りの思い出
 


イラスト入り小説「さよならベリーズ~うつろいゆく季節の中で~」
第三章 さよならモモコ・・・


イラスト入り小説「さよならベリーズ~うつろいゆく季節の中で~」
第4章 さよなら舞波
                  



第4章~26~駅を出たら、さよなら・・・

So-net blog:さよならベリーズ!うつろいゆく季節の中で
舞波ちゃんは少し間を空けて言った。「先生にあいさつしていたの・・・。」「あいさつ?」電車が音をたててホームに停まった・・・。

僕たちが降りる駅だ・・・。

「降りようか?」

「うん・・・。」

電車から降りたのは、僕たちふたりだけだった。

電車から降りたとき風が吹いた。

まだ10月だけど、秋の夕暮れの風は少し肌寒さを感じた・・・。

ホームに降り立つ僕たち。

枯葉が風に吹かれ、僕の目の前を舞っていった。

ホームには誰もいなかった。

汽笛を鳴らして電車は発車した。

僕は舞波ちゃんに聞いてみた。

「先生にあいさつって?学校に行ってたの?」

「うん・・・。」

舞波ちゃんの言葉はそこで止まってしまった。

僕たちはホームを降りて、乗ってきた電車の切符を切符の回収箱に入れる。

ここは自動改札機もなければ、駅員すらいない田舎の無人駅・・・。

駅の待合所にも誰もいなかった。

駅を出たら、舞波ちゃんとさよならしなくちゃいけない・・・。

僕と舞波ちゃんは帰る方向が違うから・・・。

「なんで、先生に会ってたの?」

僕が聞いても何か考えていることがあるのか、舞波ちゃんはすぐには返事をしない・・・。

そして無言のまま、待合所から外へでる木製の引き戸を開けた。

ガララララ・・・。

音を立てて戸が開く・・・。

光が差し込まなかった暗い待合所に、夕日が差し込んだ。

舞波ちゃんは僕に振り向いた。

舞波ちゃんが夕日の光に包まれ、逆光でまぶしい

「あのね・・・。」

舞波ちゃんが口を開いた。

その表情は逆光の光がまぶしくてよく見えない・・・。

「私ね・・・。」

舞波ちゃんは途切れ途切れに言葉を続けていった・・・。

                                            ・・・つづく

雅人:この物語の主人公。性格は内気で、妄想癖がある。
    中学に入ってマンガばかり描いていたので近眼になりメガネをかけている。
    学校が終わるとすぐ帰ってしまう、いわゆる帰宅部。
    特にこれといった特徴もない普通?の男子中学生。
    小学校から同じクラスだったモモコに片想いをしている・・・。

  

モモコ:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060502-0-1
                雅人のクラスメート。13歳。負けず嫌いで頑張り屋。
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佐紀:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060730-1-1
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              ベリーズのリーダー的存在。

千奈美:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060801-0-1
              中学1年生。自分の事を「ちな」と言う。
              素朴な容姿、天然ボケと舌足らずな喋り方で実年齢より
              幼く見られがち・・・。
              本人は子供っぽく見られることを気にしているのだが・・・。
              同じ学年でも、大人っぽく見られる「雅」に憧れている。
 

舞波:http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/archive/20060813-0--1
              千奈美と同じクラスの中学1年生。
              少し恥ずかしがりやでおとなしい性格。
              好きな男子がいるようだが・・・。
              図書委員。
 友理奈:
http://blog.so-net.ne.jp/masato-k/2006-08-13-1
                                              明るくて爽やかな女の子。
               ベリーズの中で一番背が高いが(170センチ)
               小学6年生。
 梨沙子:
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                                             誰もが振り返るほどの美少女。
               おっとりしていてマイペース。
               主人公をからかって遊ぶ。
 雅:
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                                          中学1年生。その風貌から、大人っぽく見られやすい。
 茉麻(まあさ):
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                                                            困っている人を見ると、放っておけない。
                         男子よりも力が強い!?

 まこと:小学生の頃からの雅人の親友。お調子もので雅人とは正反対の性格。
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                              第一章 モモコとの出会い
                       

  
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第三章 さよならモモコ・・・


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