53さよならベリーズ ~それは何て読むんですか?~ [さよならベリーズ]
すごく日焼けしてきたやつや、髪の毛を短く切ってだいぶ印象が変わったやつ・・・
みんな夏休み中の話題で盛り上がっていた。
僕は友達とふざけあいながらも、宿題が終わってない事を気にかけた・・・
「また先生に怒られちゃうなあ・・・。ぶたれたりすることはないけれど・・・」
体罰・・・というものが学校で禁止されているからぶたれる事はないけれど、僕のクラスの先生は怒ると怖かった・・・。だけど今日は朝の会が始まる時間なのに、時間に厳しい先生がまだ来ない・・・。
そんなときでもクラスにはなぜか情報の早いやつがいるもので・・・。
そいつは半分開いた入り口のドアを全開にして飛びこんできた!
「おいっ!みんな!転校生だぞっ!!!」
その男の子の一言で教室はさらにざわめきだった!
その男の子の名は
まこと
まこととは、二十歳になったいまでも親友だけど
この頃からなぜか情報に早くていろんな事を知っていた・・・。
廊下を見ていた男の子が叫ぶ
「みんな!きたぞ!先生と・・・女の子だっ!」
全開になってたドアは閉められ、みんな急いで席に着いた。
ガララララッ。
と、音をたててドアが開けられ、先生が、そして転校生が入ってきた。
白い帽子に、薄水色のワンピース。
この辺の田舎では見かけない服装・・・。 教室内にざわめきが起こる。
モモコは一目で、都会から来た女の子に見えた・・・。
{「では黒板に名前を書いて自己紹介をしてください。」
先生に言われ
「はいっ!」
と、明るく応えるモモコ。
深緑色の黒板に
白いチョークで名前を書きはじめる。
みんながみまもる中、蝉の声とカリカリというチョークの音が響く。
・・・なんて読むんだろう・・・?
こんな字、5年生じゃまだ習ってないぞ・・・。
僕はすかさず聞いてみた。モモコが口を開きかけたときだった。
「それ!なんてよむんですかっ?」
モモコは開きかけた口を閉じ、ちょっと不機嫌そうにムっとして僕をにらんだ!
「・・・いま自己紹介しようとしたところなのに!」
教室中がどっと笑いにつつまれた!
「バカだなあ!雅人!」という誰かの声がする。
僕は理由の無い恥をかいてしまった気になった。
にぎやかになる教室内を先生がおさえ
モモコは軽くため息をついて、教室全体に目を向け、自己紹介をはじめた。
「つぐなが ももこ です!
東京から来ました!早くみんなと仲良くなりたいな、
と思っています!」
少し気が強そうでしっかりした感じの女の子という気がした・・・。
それが僕とモモコの初めての出会いだった・・・。
続く・・・