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JEFF BECK GROUP 『JEFF BECK GROUP』 [音楽(レビュー)]

やっとこさ、ここまでたどり着きました。

ようやくレビュー20件目です。

 

こちらはジェフベックグループとして

そして、彼の経歴で唯一、同一メンバーで

作成したセカンド・フルアルバムである。

ジェフ・ベック・グループ

ジェフ・ベック・グループ

  • アーティスト: ジェフ・ベック・グループ
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2006/01/18
  • メディア: CD

  

私、鎚鋸がブログ創業当時より掲げている

【DEFINITELY MAYBE】

という一言自己紹介

実はこのアルバムのラストを飾る曲から付けられた。

曲のタイトルの本当の意味は不明であるが、

【DEFINITELY(=明確な)】【MAYBE(=多分…)】

一見、とても相反する二語がくっ付いている。

しかしながら、個人的な解釈として

【おそらく、これでいいんじゃない】

言わば、ベックなりに【一つの到達点】を感じたのだろう。

そんな意味を含めた私の【目標】として

今も自己紹介としている。

 

彼ら第2期のJBGのメンバーはコチラ…

 L→R

Bob Tench(vocals)

Max Middleton(piano)

Jeff Beck(guitars)

Clive Chaman(bass)

Cozy Powell(drums)

 and  Stephen L. Cropper(Produce)

 

メンバー集め不調による始動難であった

第2期JBGは、アルバム『ROUGH AND READY』

発表するや、メンバーを変更することなく

急速的に活動を進めていった。

 

その主な要因としては、

これまでのベック主導で製作された

ワンマン体制の楽曲とは違い、

新しい音楽を創るための

グループの和、融合を主とした曲作り

行うようにシフトしたからであろう。

 

特にこのメンバーは、ほぼ半数が黒人であるように

ブラックミュージック色の強い集まりとなっており、

1stで聴けるようなブルース・ロック~ファンク~ソウルフル

という流れから一歩進んだジャズとのクロスオーヴァー

伺わせる作風へと進化の兆しを見せている。

 

更には今回、ブッカー・T&ザ・MG'sのギタリスト

スティーヴ・クロッパーをプロデューサー起用。

前作の、文字通り『間に合わせ』感の強いアルバムから

より客観的に楽曲をまとめられるように

なったことも大きい理由であろう。

スティーヴの地元でブルース発祥の地とされる

テネシー州メンフィスにて録音されたことが、

一聴、明るさのあるサウンドの中に

いろいろな要素のつまった

非常に深い味わいの楽曲が出来上がっているのを

さらに感じられるのだ。

 

このアルバムにはジャケットに

インパクトある『オレンジ』が載っている

ことから、しばしば『オレンジ・アルバム』とも呼ばれる。

その理由で、

 

 (第1期のセカンド)『リンゴ』だったから、

    今回(第2期のセカンド)は…

 

というエピソードもあるが、個人的には、

外見的に、ようやく日の光を存分に浴びられるような

自信のあるアルバムが完成した

と言うのと、

その内側は、(オレンジの果実が同じくらいの大きさの

袋に分かれているように)メンバーそれぞれ

同じくらいに熟した上質のプレイが聴ける

と言うのを表しているのだと思うのだ。

 

01. ICE CREAM CAKES

   インパクトあるコージーのドラムパターンで幕開けとなる。

   低音部が耳に残るへヴィサウンドの中で

   各パートがそれぞれ合間を縫うように共存し、

   まるでケーキのような一つの芸術を創り上げている。

   とても病みつきになる甘酸っぱさ♪

   

 02.  GLAD ALL OVER

   ノリの良いソウルフルな一曲。

   その軽快さをギターメロディや

   マックスのピアノプレイがより「有頂天」に。

   でも、一番の聴きどころは

   実は安定感とカッコよさを兼ねそろえた

   リズム隊だったりするんだが。

 

03.  TONIGHT I'LL BE STAYING

   ボブ・ディランの曲をカヴァ。「今宵はきみと」

   あれ?こんな曲だったっけか???

   と言うくらいバッチリとハマった

   ボブのヴォーカルに聴き惚れる。

   ロック&ソウルテイストのバラード。

 

04.  SUGAR CANE

   何やら嬉しそうに歌うボブからも想像できる

   とろっと甘くて思わずハイになる

   そんなソウルかつPOPなナンバー!

   

05.  I CAN'T GIVE BACK THE LOVE

        I FEEL FOR YOU

   ダイアナ・ロスのカヴァ。「帰らぬ愛」

   ギターパートがメインの楽曲の一つ。

   “ギターは口ほどに物を語る”

   とでも言っておこうか(笑)

   その切ない気持ちをグループ全体で

   纏め上げている。

   個人的にもう1分くらい聴いていたいが

   それもまた「帰らぬ想い」???

   

06.  GOING DOWN

   「ダウン♪ダウン♪ダウン♪ダウン♪ダウン♪」

   へヴィなリズム隊にノっけて

   ベックのギターが自由に遊びまわる。

   しかしながら、ベックの独り相撲ではなく

   調和を感じるところが一番の聴き所。

   彼のライブでも比較的気に入って演奏される。

   また、G3ライブでもたびたびカヴァされる

   ところからもアレンジの加え易い楽曲か。

 

07.  I GOT TO HAVE A SONG

   この後、何度と名曲を創り上げる

   スティーヴィー・ワンダーの楽曲。

   個人的にこの曲を聴くと

   このアルバムも終盤になってきたなぁと

   感じてしまう。

   5人で向かってくるバンドサウンドが

   良い意味で卑怯な一曲(笑)

 

08.  HIGHWAYS

   恐らく2曲のインストナンバーを

   含めても、含めなくても1位2位を争う

   完成度を誇る楽曲ではないだろうか。

   思わず「高速道路」の移り変わっていく

   景色を思い浮かべるような曲展開と

   その“愛”を届けに行くドラマティックさが

   たまらない一曲。

   だからこそここから脱線して欲しくなかった

   と思うのは後の話…

 

09.  DEFINITELY MAYBE

   結果的にベックの未来を想像するような

   ギターインストゥルメンタルである。

       スライドバー(ボトルネックとも言う)を使用、

   そしてワウを効かせたギター音が

   まるで後の“歌うギター”を先駆けるように響いてくる。

   少し前に上司(当時)の家でLDを鑑賞させて

   もらえた際に調度この楽曲を観ることができた。

   ギターが何本にも重なってくる様を

   表すかのように分身映像になるベックがとても

   印象的であった。

   マックスのピアノソロに移るとだんだんと

   フェードアウトしてしまうのが何ともニクい!

   

改めて、以前まではベック主体のもと

集まった一つの集合単位“グループ”でしかなかったのが、

メンバー一人一人が一つの新しい音楽を作るという

目的に向かって協力する“チーム”体制へと

進化したと言っていいだろう。

 

さて、順調に階段を登って来た第2期JBGも

突然の終焉を迎える…。

つまりは、ベックの“音楽的浮気”である。

彼自身がこの順調過ぎる過程に

「これでいいのか?」と疑問を持ち始めたことと、

世の中は当時、再びロック熱が盛り上がり、

その流行もあってか、一時実現できなかった

BB&A構想を再燃させてしまったのだ。

これをしばしば“原点回帰”と言われることがあるが、

後の彼の変遷からしてみれば

やはり良くも悪くも“浮気”と言うところであろう。

理由は、彼のソロプロジェクト1曲目の

「YOU KNOW WHAT I MEAN(分かってくれるかい)」

この楽曲とタイトルに集約されるように、

結局、元の鞘はコチラであったのだから…

 

改めて、2年という歳月は

ベック、そして彼らにとって、まだ早過ぎた。

彼らは当時で言う2年も前に

2年先を行くアルバムを作り上げてしまったのである。

もし、時間軸が第2期活動時に沿っていたら

きっと、もう1枚くらい同じメンバーでフルアルバムを

楽しめたのかも知れない。

それもまた運命。

  

JEFF BECK、JBG関連ブログ…

BECK、BOGERT&APPICE 『BECK、BOGERT&APPICE LIVE IN JAPAN 1973』

JEFF BECK 『BLOW BY BLOW』

JEFF BECK 『Who Else!』

ROD STEWARTの若さ…

RAINBOW 『LIVE IN MUNICH 1977』

 

ライヴ・ベック’06

ライヴ・ベック’06

  • アーティスト: ジェフ・ベック
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2007/05/23
  • メディア: CD

 

ベック・オラ(紙ジャケット仕様)

ベック・オラ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ジェフ・ベック, ジェフ・ベック・グループ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: CD

 

ラフ・アンド・レディ

ラフ・アンド・レディ

  • アーティスト: ジェフ・ベック・グループ
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2006/01/18
  • メディア: CD
 

ベック・ボガート&アピス(紙ジャケット仕様)

ベック・ボガート&アピス(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ジェフ・ベック, ボガート&アピス ベック
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2005/01/19
  • メディア: CD

 
ブロウ・バイ・ブロウ

ブロウ・バイ・ブロウ

  • アーティスト: ジェフ・ベック
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2006/01/18
  • メディア: CD

 


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HAL

あ。
コージーパウエルだ!!
by HAL (2007-06-27 00:08) 

鎚鋸

>HALさま
紛らわしい二択にnice!ありがとうございます!
コージーパウエルはJBG期から
有名街道を突き進むようになりましたね。
by 鎚鋸 (2007-06-27 00:14) 

deacon_blue

☆ こんにちは。例の事故がなくて先にBBAみたいなユニットを作っていたら『Blow By Blow』からの路線はなかったかもしれませんね。マックス・ミドルトンとも出会っているし。。。何が幸いするか分からないという点で人の縁とは不思議な気がします。では(^o^)。
by deacon_blue (2007-06-27 00:41) 

鎚鋸

>deacon_blueさま
いつもお世話になります。

そうですね。もしかしたらイチ・ロックバンドのギタリストとしての一生を送るベックの人生も有り得たかもしれないですよね。
運命は時にチャンスとも言われますが
今の彼を見る限りではJBG期とBB&A期と言うのは
全てにおいて意味のある時間であったと思います。
by 鎚鋸 (2007-06-27 00:51) 

yubeshi

久しぶりに聴いてみましたが、オレンジのくせに「黒くてカッコイイ」アルバムですよね。
ジャケ写のコージー・パウエルとジェフ・ベックは写真のすり替えが可能?(笑)
by yubeshi (2007-06-27 23:20) 

鎚鋸

>yubeshiさま
「黒くてカッコイイ」にnice!ありがとうございます。

ええ。すり替えは可能です(笑)
似過ぎです、彼ら。
個人的に元JBGで現ストーンズの
ロニーと組んだら
三つ子バンドが出来てしまいます。。
by 鎚鋸 (2007-06-27 23:39) 

こんばんは~。
Jeff Beckっていまだに現在進行形でギター・プレイ、音楽が進化し続けているので本当凄いですね。 アルバム聴く度に、凄すぎるベックに溜息ついてます(笑)。
by (2007-06-29 23:59) 

鎚鋸

>EVHさま
どうもありがとうございます。ようこそ!

その進化とともに逆流するのもまた一興です。
改めてその発展を理解できると共に
毎度少しずつ加えられていくアイデアに
聴き入ってしまうものです。
by 鎚鋸 (2007-06-30 01:31) 

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