☆☆☆ 発表!!カンゲキ☆アワード2006 ☆☆☆ [アワード]
皆さま、長らくお待たせしました(!?)
いよいよ「カンゲキ☆アワード2006」を発表しまーす!!
あくまでも独断と偏見と思いこみがベースですので、
予想とちょっと違った方も、もっと良い舞台があったのに!という方も、
どうかご容赦くださいね、ね。
お芝居のタイトルをクリックすると、その記事へ飛ぶことが出来ます。
超長文を読みつつも「ああ、この頃はこんなことがあったなぁ…」
と、ご自身の2007年を振り返るのもまた一興かと存じます。
☆☆☆☆☆ 最優秀作品賞 ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
いきなり予想外の作品が選出されたように思われる方も多いかと思います。
私にとっても、実はちょっと予想GUYです。(byソフトバンク)
今年も作品賞は全作品が候補作、と言えるほどの充実ぶり。
中でも『落陽のパレルモ』、『ファントム』、『堕天使の涙』などの宝塚作品、
歌舞伎でも新春浅草歌舞伎『仮名手本忠臣蔵五・六段目』、『籠釣瓶』などなど、
役者の熱意と気魄のこもった力作が揃いました。
その中でも、チャレンジ精神旺盛なアイディアだけにとどまらず、
異文化の交流と融合を最高の形で表現することができた
狂言風オペラ『フィガロの結婚』を作品賞に選出させてもらいました。
この舞台のレポでも書かせていただきましたが、音楽や舞台は、生まれた国の
影響や特徴を色濃く反映しているので、築き上げられてきた独自のスタイルで
上演されるのがベストだと、私は思っています。
ですから、邦楽の名曲をジャズっぽくアレンジしたりするような、
既存のスタイルを著しく崩したりする作品には、ある種のアレルギーのような
ものがありました。(ええ…一度、エライものを見せられた記憶がありまして…)
思いつきだけでやっちゃうと、本当に目も当てられない状態になってしまう、
それが、異文化を融合を試みた作品の怖いところです。
狂言風『フィガロ』は、その固定観念を見事に打ち破ってくれました。
役者は日本の狂言方、演奏はドイツから招聘された管弦楽団、特別出演に人形…。
同じ舞台芸術とはいえ、分野も業種も全く違う3つのジャンルのアーティストたちが、
ひとつの舞台の上に一同に会しておきながら、まったく違和感なく
「フィガロ」の世界を楽しみ、モーツァルトの名曲に心を遊ばせ、
人形の美しさにうっとりする…。
正直、オペラの作品が「狂言風」に生まれ変わるなんて出来ないと
思っていましたし、人形と人間の役者が共演するなんて…と
少々うがった見方をしていたことも、恥ずかしながら事実です。
もちろん、この作品は単なる思いつきで上演されたわけではなく、
異文化・異分野の演劇・音楽を最善の形で組み合わせるにはどうした良いのか、
工夫と計算が非常に緻密に練り上げられていました。
アイデア力と工夫、そしてその実現に向けて積み重ねられたであろう
アーティストたちの努力に敬意を表して、この賞をお贈りしたいと思います!
☆☆☆☆☆ 最優秀主演女優賞 ☆☆☆☆☆
井上智恵 (劇団四季『エビータ』)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
アワード制定事業を(自主的に)していると、舞台を観ていて、
「あ、この人は○○賞だな」と、ピンとくる時があります。
それからはその人(作品)が基準になって、そこを超えられるものが
出てくるか、という観方(みかた)になります。
今年度の主演女優賞も、舞台に登場した一瞬だけで
「この人は主演女優賞だな」と直感しました。
それが井上さんです。
舞台幕開けの葬列のシーンの後、ホリゾントから浮かび上がるように
登場するエビータ。
「♪泣かないで アルゼンチーナ…♪」
凛と張った美しい歌声が響きわたったとき、それまで舞台を、
劇場を覆っていた悲しみの空気が一気に浄化され、
澄明な空気に満たされていくような感覚を覚えました。
まるで、空一面を覆っていた黒い雲に太陽の光が差し込み、
ぐんぐんと澄み渡った青空が広がっていくような…。
歌声によって癒されていくと言うことを、久々に実感しました。
その後の存在感抜群のステージも、お見事。
もう、彼女の一挙手一投足から目が離せませんでした。
☆☆☆☆☆ 最優秀主演男優賞 ☆☆☆☆☆
中村吉右衛門 (九月大歌舞伎 『籠釣瓶花街酔醒』 次郎左衛門ほか)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
作品賞と列んで、今年の男優賞も候補が目白押し。
いや~、いちばん悩みました…。
その中でも、役者として様々な色を見せてくれた吉右衛門さんに、
主演男優賞をお贈りしたいと思います!!
満を持しての受賞という感じでしょうかね~。
いつか見たいと思っていた井伊大老、貫禄充分の五右衛門、
コメディアンに挑戦した紅長、そして笑顔の影に押し込められた
容姿へのコンプレックスが愛する女への殺意へと暴走した次郎左衛門…。
どの役も、さすがの風格と説得力で見せて下さった播磨屋さんに、乾杯!!
来年の大星由良之助も楽しみですっっ!!
☆☆☆☆☆ 最優秀助演女優賞 ☆☆☆☆☆
フーシュワン (胡施 ※正しくは「たまへん」に「施」)
(京劇『楊門女将』 余太君)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
京劇関係での助演賞は、2年連続での受賞です。
それだけ、実力もエンターティナー性も充分、ということですね。
この方の役は、ヒロインの姑。
夫の敵討ちのために出陣するヒロインを温かく見守り、勇気づけます。
とにかく魅了されたのは、「笑った声」。
「♪アッハハハハハハハ…♪」
と、まるで歌うように繰り出される朗らかな声を聞くと、
なんだか時分も元気と自信をもらったような気になりました。
他人を力づける笑顔の力って、すごいですね。
今でも彼女の笑い声を思い出すたびに、心の底から
明るく楽しい気分になります。
☆☆☆☆☆ 最優秀助演男優賞 ☆☆☆☆☆
霧矢大夢 (宝塚歌劇月組東京公演 『暁のローマ』 アントニウス)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この賞も、舞台観賞中に「はい、助演男優賞!」とあっさり決定。
シェイクスピア「ジュリアス・シーザー」を原作とした本作。
物語の大きな転換点となるカエサル暗殺後の市民集会での
一世一代の大芝居は、霧矢のアントニウスだからこそ、
強烈なインパクトを与えられたのだと思います。
久しぶりに「職人・霧矢大夢」の真骨頂を見せてくれましたねー。
カエサル暗殺後の市民集会で、自分の目の前にわんさとひしめく
市民達が皆、ブルータスを支持する中、演壇に立つアントニウス。
じわじわと市民の心を揺さぶりながら、着実に、確実にブルータスを
破滅へと追いやっていく…。
圧倒的に不利だった自らの立場を、わずかな時間で、
一気圧倒的優勢へとにひっくり返してしまう。
霧矢の歌唱力と演技力あってこそ、緊迫感と臨場感あふれる名場面となりました。
久々にきりやんの実力をビシバシ感じる事ができました。
来年度も「匠の技」で魅了して下さい。
☆☆☆☆☆ ベストカップル賞 ☆☆☆☆☆
片岡仁左衛門 & 坂東玉三郎
(松竹座寿初春大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵 道行~五・六段目』 早野勘平と女房お軽)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「極附」とも言える、ニザタマのお軽・勘平。
…これ以上に、何を語る言葉があろうか…。
「道行」の幕開き、肩を寄せ合って合羽を身につけている2人が、
顔にかざしていた笠をそっと上げて客席に顔を見せたとたん、
何とも言えない華やかさと、これから始まるであろう悲劇の空気が
一瞬にして劇場を包み、客席にどよめきが走りました。
忘れられない瞬間でした。
ひたすらに勘平への恋しい思いを表現する玉三郎のお軽。
誤解が誤解を生んで自滅の道をひた走る仁左衛門の勘平。
若すぎた故にあまりにも早急な恋は、悲劇で幕を閉じます。
それにしても、お軽と勘平の別れの抱擁は、何度見ても泣けます。
あまりにも美しすぎて、そしてあまりにも哀れで。
きっと何百年経っても、歌舞伎が日本に生き続ける限り、
この恋人たちの抱擁を見るたびに、私たち歌舞伎ファンは涙を流すことでしょう。
☆☆☆☆☆ 最優秀団体賞 ☆☆☆☆☆☆
宝塚歌劇花組東京公演『ファントム』 キャスト
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
2004年に宝塚宙組で初演された演目を再演した、花組『ファントム』。
初演当時は、他組よりも特出があり、歌唱力抜群の人材を揃えて
満を持しての上演でしたが、今回はほぼ、花組生によるキャスティング。
初演の時は各スターのそれぞれの持ち味を堪能する、という感じの舞台でした。
花組版はファントムの人間性や深い哀しみなどが掘り下げられていて、
物語としての『ファントム』と、作品に込められたテーマを存分に楽しむことが出来ました。
何よりも、「愛の記憶」について、それぞれが見せてくれた魂心の演技に、
涙が止まりませんでした。
作品としての価値を高め、物語としての深みをここまで表現してくれた
花組生の努力と実力に敬意を表して、この賞をお贈りします!
たくさんの涙と感動をありがとうー!!
(思えば、今年の宝塚のお芝居では本当によく泣かされました…)
☆☆☆☆☆ 最優秀新人賞 ☆☆☆☆☆
桜乃彩音 (宝塚花組東宝 『ファントム』 クリスティーヌ)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この公演で、正式に花組トップ娘役としてのお披露目を果たした彩音ちゃん。
舞台人としての素養は未知数で、技術的にもまだまだ未熟である点は否めません。
音程をとるのに必至な歌、表情の乏しい演技、ぎこちないデュエットダンス。
娘役の群舞となると、センターなのになぜかおねーさん達に埋もれてるし…。
しかし、演じる役に対する解釈は非常に明確です。まだその解釈した通りに
役を演じ切れていないのは、やはり技術力が追いついていないから。
役に対する洞察力、トップ娘役という自分の立場に対する責任感と自覚は既に充分。
今の姿勢を忘れなければ、実力は後からぐんぐん追いついてくることでしょう。
今がきっと、相手役の春野さんから色々なことをいちばん吸収できる時期ですしね。
がんばれ、彩音ちゃん!!(またもやファンレター化)
☆☆☆☆☆ 敢闘賞 ☆☆☆☆☆
中村勘太郎
(新春浅草歌舞伎 『仮名手本忠臣蔵』 早野勘平)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
忠臣蔵五・六段目の東西競演という形で幕を開けた今年のカンゲキイヤー。
松竹座では仁左衛門・玉三郎のコンビで極附の舞台に圧倒されましたが、
浅草では「歌舞伎役者・中村勘太郎」の底知れぬ力を目の当たりにしました。
特に凄かったのが六段目。
「素晴らしかった」というよりは、「凄かった」という言葉が合います。
五段目では特別な印象は持たなかったのですが、
六段目から一気に役者としての魂に火がついたかのような激情を見せ、
観客を自分の世界にグイグイと惹きこんでいきました。
今でも、勘太郎の白い顔に浮かぶ勘平の絶望が、まざまざと脳裏に蘇ります。
これまで、勘太郎というとやんちゃな若手さん、という感じで微笑ましく
舞台を見守っていたのですが、すごい勢いで成長しているな、
もっと気合いを入れて彼の舞台姿を見ておかないと…と思わされました。
どんどん大きくなっていく彼の道のりを、しっかり見ておきたいですね。
来年度の舞台も楽しみです。
☆☆☆☆☆ 特別賞 ☆☆☆☆☆
仲道郁代 (『デビュー20周年記念ピアノ・リサイタル』)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
昨年から、この賞を贈られるのはクラシック分野の人か?
という雰囲気になってしまっているけれども、偶然です。
ちなみに昨年はクラシック界のヨーダおじいちゃんこと、
ロリン・マゼール氏でした。
ベートーヴェンというのは重厚感があって、なかなか聴き応えがあります。
クラシック音楽ビギナーの私にとっては聴くのも一苦労、という感じなのですが、
そのベートーヴェンのピアノソナタ全32曲に、何年もかけて
取り組んできたのが仲道郁代です。
2006-2007シーズンは、デビュー20周年記念。
そのスタートラインでもあった紀尾井ホールでのリサイタルは、
まさに全身全霊をかけたステージで、客席も彼女の闘志に
圧倒され、釘付けの2時間でした。
ただ無心にピアノを奏でる姿に、
「演奏とは、楽器との、曲との『対話』なのだ」
と新たな視点に気づかせてくれた彼女に、
特別賞をお贈りしたいと思います。
*****
いかがでしたでしょうか。
皆さんの予想は当たりましたか?
今年も選出は大変でした…。特に作品賞と主演男優賞。
候補が目白押し過ぎて、「1位、該当なし!」
にしようと何度思ったことか…。(昨年もそんなことを言うておりましたね)
本当に、素晴らしい作品、素晴らしいアーティストにたくさん
出逢うことのできた1年でした。
来年も、心の宝石箱にたくさんの宝物を詰め込むことができますように。
最優秀作品賞が、「フィガロの結婚」は予想外
でした。歌舞伎とか宝塚が来るのかなぁ…と思
ってました。
とろりんさんに触発されて、来年は映画だけじ
ゃなく、芝居や演劇に時間が取れるといいなぁ
と思っています。
心に栄養が足らないと、枯れてきそうですから…。
by ラブ (2006-12-28 09:01)
ラブさま、こちらにもコメントとnice!をありがとうございます。
狂言風『フィガロ』は良い意味で、今年いちばん刺激を受けた作品でした。
カンゲキ、ぜひぜひ来年はなさってください!!私は映画を見る
回数を増やしたいなぁ…と思っています。ちなみに、2007年の
初エンタメは、映画『武士の一分』です!だんちゃん、待っててねー!
(やはり宝塚つながり>笑)
今年1年、たくさんのコメントとnice!をありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
by ★とろりん★ (2006-12-28 10:21)
とろりんさま、こんばんは。
いろんな舞台をご覧になったんですね。うらやましいです~。
播磨屋ファンの私としては、吉右衛門様の最優秀主演男優賞に拍手です!本当に今年の吉右衛門様は充実していましたよね。
今年はたくさんの詳しいレポを楽しませていただきました。
来年もよろしくお願いいたします。
by mami (2006-12-30 00:08)
mami様、コメントありがとうございます☆
今年の吉右衛門丈は、本当に大活躍でいらっしゃいましたよね。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします!
by ★とろりん★ (2006-12-31 02:42)