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宝塚花組 『ファントム』 名場面集 [宝塚歌劇]


突然ですが、『ファントム』アメリカ初演キャスト版によるサントラのジャケット。
ほーら、よーく見てみると…。

よりディープに、ヅカファンな視点から『ファントム』を楽しみたい方のために、
とろりんが気になった場面を選りすぐってお伝えします。
当然、生徒は愛称で呼んでいます。
かなりネタバレですから、これからご観劇予定の方はその後でご覧下さい。

■ 開演5分前 ■

劇場の緞帳が上がり、『PHANTOM』のロゴマークを描いた幕が現れます。
仮面と一輪の薔薇、というミステリアスなイメージのロイド・ウェーバ版のとは違って、
こちらは「PHA」と「NTOM」の間に燭台に立てられた蝋燭の炎がゆらめいています。
その下には仮面を被った男の不気味な視線が…。

そしてろうそくの炎にちょっと注目してみましょう。
よく見ると、炎の中に、長い髪をくゆらせた若い女性の姿が
浮かび上がっているではありませんか!おお、何と細かい描写!

(え?初演の時からご存知でした?)

■ 第1幕 序 ■

真夜中、月の光に照らされたオペラ座の屋根。
ナイフで切ってしまえそうな静寂に向かって(?どっかで聞いたことある台詞ですね…)
ファントムが、「♪僕の叫びを聞いてくれ」と歌い始めます。
この曲は、宝塚らしい演出のために、イェストン氏が新たに作曲しました。

ここで、ファントムに仕える従者たちがわらわらと登場してくるのですが、
…なんか、すんごい人数が多いような気がするんですけど…。(12人)

■ 第1場 オペラ座通り ■

オペラ座通りで楽譜を売りながら軽やかに歌うクリスティーヌ(あやねちゃん)を、
シャンドン伯爵(まとぶー)が見初めるシーンです。

クリスティーヌが「メロディ・ドゥ・パリ」を歌い始めた瞬間、
座席から転げ落ちる音が劇場のあちこちから聞こえてくるのですが(笑)、
ここはひたすら、手に汗を握りつつも、あやねちゃんの愛らしさに注目して乗り切ってください!!
(「メロディ…」の曲自体、テンポ早いし、歌いながらお芝居するには難しい曲ですが…)

クリスティーヌのダンスの相手役バトルをさりげなく繰り広げている
オペラ座の団員たち、愛音羽麗、未涼亜希、桐生園加の若手トリオにもご注目下さい。

■ 第4場 石階段・地下牢 ■

ファントムとキャリエールの不思議な関係を感じさせる一場面です。
キャリエールの解任を知ったファントムは、屈託のない表情で
「じゃあ、僕もお前と一緒に出ていくよ」
と言います。彼の純粋な性格がかいま見える一瞬です。

■ 第5場B 支配人の部屋 ■

カルロッタのアリア、とでも言うべき場面。
出雲綾さんの迫力ある美声と芸達者ぶりをお楽しみ下さい。

舞台を通じて、何気ないお楽しみと言えば、
カルロッタの夫にしてオペラ座の新しい支配人となった
アラン・ショレを演じている夏美ようさんです。

よく、燕尾服で出ていらっしゃるのですが、
場面ごとに胸ポケットに色々なお花をあしらって登場されます。
ある場面では白い薔薇だったり、次の場面ではガーベラだったり…。
これがとってもお洒落!!
アラン・ショレが一瞬でも登場してきたら、胸ポケットにご注目下さいね。

■ 第5場D 舞台裏 ■

衣裳係とはいえ、オペラ座で働く事になったクリスティーヌが、
その喜びを歌い、その歌声にファントムが心惹かれる場面。

この時、あやねちゃんが歌う「Home」という歌は、
この7月に宝塚歌劇団を卒業した宙組トップ娘役・花聰まりが
サヨナラショーで歌った、ただひとつの歌です。
ちなみに花聰は、『ファントム』日本初演でクリスティーヌを勤めました。

じっくりと歌詞を聞いて、ハナちゃん(花聰)が宝塚生活最後の歌として
この歌を選んだ理由が、何となく理解できたような気がしました。
そしてこの歌は、舞台に立つ者全てに送られたテーマソングなのだと。

クリスティーヌの美しい歌声は地下まで届き、ファントムの胸を震わせます。
ここは、宝塚独自の大セリを最大限に活かした演出。
ファントムはそっとクリスティーヌに近づき、彼女に歌の指導を申し出ます。

この時、ファントムは彼女に
「君の歌は、まだまだオペラ座の舞台で歌えるレベルには到達していない」
と、ズバッと言います。
思い当たるところがないわけではありませんが、深く心の中でうなずいておくに留めて下さい。

■ 第5場F 舞台裏 (リハーサル) ■

カルロッタが主演する『カルメン』の舞台稽古中、ファントムが現れて
団員達に色々ないたずらをします。客席からはオサさんファントムがしっかり
見えるのですが、19世紀のオペラ座の人々には見えない様子です。

スパニッシュ風の歌とダンスの中で、次々と団員達にいたずらをしていくファントム。
素に戻っていたずらを楽しんでいるオサさんファントムに癒されて下さい。

■ 第6場 ビストロ ■

思い思いに着飾った紳士達の素敵な燕尾服、淑女達の美しいドレスに、まず眼福♪
色々な公演で使用されたドレスがたくさん復活しておりますので、
それぞれの舞台に瞬間的に思いを馳せるのもまた一興かと思われます。
ちなみに私は、きーちゃん(華城季帆)が着ているピンクのドレスがお気に入り♪
(これは新調なのかな??)

その後、クリームイエローのドレスを身にまとったクリスティーヌが輝くばかりの
美声を聴かせます。現代の音響技術の発展に感慨を覚える一瞬です。
ここは、エコーきかせまくりの歌声よりも一際輝くばかりに美しいあやねちゃんを
見てうっとりしてください。
(そんなんばっかりやないですか…>笑)

■ 第7場 パリの夜 ■

オペラ座で主役デビューが決まって大喜びのクリスティーヌと、
彼女に恋心を打ち明けるシャンドン伯爵のデュエット。

ここでご注目なのは、2人の明るいすれ違いです(笑)。

「♪まるで 恋したような気持ち♪」(意訳)と2人で仲良く歌っておりますが、
シャンドン伯爵が歌詞のまま、クリスティーヌにストレートに恋心を伝えているのに対し、
クリスティーヌはオペラ座の舞台に立てる喜びで胸がいっぱい。
その気持ちを「♪恋したような」気持ちに例えているだけなのです。

この2人の、すれちがっているけれどお互いに
ドキドキ&ワクワクな感じを微笑ましく見守ってやって下さい。

■ 第9場 タイターニア ■

クリスティーヌが主役を勤めるオペラ『フェアリー・クイーン』の劇中劇の場面。
初演からここの団員達の衣裳を見て「微妙過ぎる…」と感じているのは、私だけでしょうか。
(というか、何で宝塚の妖精物のお芝居の衣裳や鬘って、あんなに微妙なんだろう…)

まずは、ぴょんこぴょんこ耳の愛らしいみわっち(愛音)に興奮してください。
みわっち…男役なのに、そのキューティーハニーな可愛らしさは、反則だと思うぞ。

妖精の王・オベロンを演じるまっつ(未涼)と妖精の女王・タイターニアを演じる
クリスティーヌが登場。ここのオベロン様の衣裳も…相変わらず動きにくそうです…。

ここでクリスティーヌは声を詰まらせ、舞台で立ち往生してしまいますが、
この時に彼女を気遣うまっつの細かいお芝居にもご注目下さい。
「どうしたんの?大丈夫だ、立ち上がって、ゆっくり声をだして」「そうだ、大丈夫だ」
という感じで、表情と手の仕草だけでクリスティーヌを励ますんです。
その瞬間、私はまっつのオベロン様に恋してしまいいました(爆笑)。

そして、『オペラ座の怪人』ものと言えば定番の、シャンデリア落下シーンへつながります。
ロイド・ウェーバー版のように客席の頭上をよぎるようなド派手な演出ではありませんが、
それでも迫力充分!!

その後、暗幕が引かれるのですが、その暗幕をばさーっ、ばさーっと
派手にめくり上げて、実に色々な人々が飛び出してきます。…ちょっと面白いひと時…。

■ 第2幕 第3場B エリックの物語 ■

いよいよファントムの過去が明らかになる場面。
この場面はコロスが舞台いっぱいに展開して迫力があります。

ここで若き頃のキャリエールを演じているのが、みわっち(愛音)。
コロスに翻弄され、動きと表情だけの演技がほとんどなのですが、
苦悩する場面で、何となく口の動きが
「あちゃー」
という感じに動いているように見えるのは…やっぱり私だけでしょうかっ!?(笑)
いや、みわっち絶対「あちゃー」って言ってるって!(声には出してないけど)

ここでもう一つの注目は、キャリエールの恋人(そしてエリックの母親)を演じた花咲りりか。
入団4年目での抜擢です。とても伸びやかな美声をご堪能ください。

にしても、「どうして僕のことを愛してくれるんだい?」というキャリエールの質問に
「♪ラララララ~~~~~♪」と突然美しい歌声で答えるベラドーヴァ。
…答えになってないと思うんですけど…という突っ込みは心の中で留めておいてください。

■ 第5場AB クリスティーヌの寝室~森 ■

この物語でもっとも大事な場面のひとつです。
クリスティーヌの言葉を、愛を信じて仮面を外すファントム。
しかし、その幻想は一瞬にして崩れ去ってしまいます。

この時のあやねちゃんの表情の変化に注目です。
また、この場面がクライマックスへとつながる重要な鍵となります。

■ 第7場 オペラ座舞台裏 ■

やっと、キャリエールとファントム-エリックがお互いの絆を確かめ合う場面。
何気ない、ほのぼのとした父子の会話が、かえって涙を誘います…。

ここでは、オサさんとユミコさんの圧倒的歌声に裏打ちされた
感動的なデュエットに、とにかく心酔することをお薦めします。

■ 第8場 ■

クリスティーヌがファントムを抱きかかえ、別れを告げます。
瀕死の状態でもためらうファントムの顔から仮面を外し、そっと
その傷口にキスをするクリスティーヌ…。(唇ではなく傷口に、がポイント)
その後、そっと仮面を付け直してやります。

ファントムとクリスティーヌの愛が、ついにふれ合った瞬間です。
(皆さんハンカチの準備を!あ、手遅れ!?)
とりあえず号泣することをオススメします!!(?)

■ フィナーレⅠ(ロケット) ■

「清きアイーダ」をアレンジしたナンバーにのって、きーちゃん(華城)を中心としたラインダンス。
キビキビとした動作と、若い乙女達の溌剌とした笑顔と美脚を思う存分ご堪能ください。

それにしても、花組のロケットにみわっち(愛音)がいないと
何となく寂しい思いをするのは、やっぱり私だけでしょうか…!?(爆笑)
大きなクリッとした目とコケティッシュな雰囲気が魅力のみわっちロケット、復活希望。

■ フィナーレⅠ(大階段) ■

『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「間奏曲」にのって、
オサさんを中心にした男役総動員による大階段のダンス。
黒燕尾に赤いウエストコートと蝶ネクタイに身を包んだ男役のダンスは、ウハウハです。

少しひっかかったのが、髪型をオールバックにしている男役が少なかったこと。
昔は「黒燕尾の時は、髪はオールバック」が、男役の鉄則だったのになー。
(先日の月組公演でも、トップの瀬奈さんはしっかりオールバックでした)
少し鉄則が緩くなってきたのかしら…と思いつつ、男役のキザりっぷりにウハウハです。
(とろりんさん、ウハウハ連発>笑)

この場面、注目していただきたいのは、上手の並び。
センターのオサさんから上手側へ、ユミコさん、みわっち、そのか(桐生)とイケメンが列びます。
そのかの横には、さらに追い打ちをかけるようにダンサー・高翔みず希さんが続きます。
そしてとどめを差すのが、ダンディさにおいては他の追随を許さない花組組長・夏美よう氏!!

春野→彩吹→愛音→桐生→高翔→夏美氏と、ファン垂涎の男前5人並びっ!!
隣席の方の鼻息が荒くなるのも無理はありません。
見目麗しく、男前度抜群の並びにひたすら興奮して下さい。

■ フィナーレⅠ(大階段) ■

「ある晴れた日に」のアレンジにのって展開される、娘役総動員の群舞。
情熱的な赤いドレスが、所狭しと広がります。
あやねちゃんがピンの場面ですが、彼女、折れそうなくらいに細いんですよ~。

そんな彼女を、「ほらっ、あたしたちがついてるわよっ、自信持っておやんなさいっ」
と言わんばかりに力強く盛り立てている桜一花ちゃん、きーちゃん(華城)、
鈴懸三由岐姐さんの頼もしい微笑みとダンスにもご注目ください。

■ フィナーレⅡ (大階段・デュエット) ■

「誰も寝てはならぬ」にのって、新主演コンビによるデュエットダンス。
もう、ため息が何度も出てしまうくらいの美しさです。

包容力あふれるオサさんの大らかな眼差しと、その周りを妖精のように
軽やかに踊るあやねちゃんの愛らしさを、時間の許す限りご堪能ください。

*****

…最近、とみにヅカファンドが急上昇してますねぇ…。
あ、違った、「ヅカファン度」です。↑このままでは「ヅカ基金」になってしまう(笑)。

まぁ、長い間、カンゲキ好きのベースは歌劇でしたし、半年観劇できなかった
反動もあるでしょうかね。

9月いっぱい上演中の『ファントム』を、より楽しく(?)
じっくりご覧いただける一助になりましたら嬉しいです。

ついでにコチラも、ぽちっとな。


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はなみずき

いやぁ、このスペシャルバージョン、すごいですね。ありがとうございます、っ!(最敬礼)ってかんじ、で。
これから拝見する身と致しましては、期待度アップ(&あやねちゃんの歌唱力ってそうだったの?という不安小さじ1。)です! どうしよう、もう泣けてきました(オサさん&ユミコ氏の場面)。
私はオールバックよりも、カチっとリーゼントが好きですね。ハッチさんの、芸術的・職人技のリーゼントが見られるのかしらん。
とろりんさん、観劇する前に楽しませて頂きました。本当にありがとうございました。当日は、ハンカチ必携で臨みたいと思います。
by はなみずき (2006-09-03 19:35) 

★とろりん★

はなみずきさま、こんにちは~☆
観劇前なのに楽しんでいただけて良かったです。
結構、みわっちの名前を連呼している事に今、気づきました(笑)。

あやねちゃんの歌は、文章からイメージされるほどでは
ないと思うのですが、少しテンポの速い曲になると、
音を取るのに一生懸命になってしまって、声が細くなって
しまう傾向があるようです。でも、可愛いから許しちゃう(笑)。
当日はぜひ、タオルハンカチ必携でお臨みください!!
by ★とろりん★ (2006-09-04 09:15) 

ラブ

見どころまで教えていただいたら、ますます観たい!(笑)
知らないで観るのと、知っていて注目するのとでは雲泥の差。
とろりんさんの観察眼、本当に細やかです。
by ラブ (2006-09-04 15:32) 

★とろりん★

ラブさま、名場面集にまでコメントいただいて、
ありがとうございます!!東京まで観に来てください!(笑)
花組は本当にカッコイイ男役さんが多くて、ついついあっちこっち
観てしまいます。
by ★とろりん★ (2006-09-04 16:44) 

 初めまして。私は7月に2回、花ファントムを観劇しました。
とろりんさんは何回ほどご覧になったのでしょうか?
拝読致しまして、すごーーく詳しくて分かり易くて共感しました!
特にオーべロンまっつさんの記述。
観劇の際、私も何故かまっつさんにたまらない魅力を感じました。
細かい演技があったから、そういう風に感じたのですね。
やっと納得できました。ためになります〜。
by (2006-09-05 22:15) 

★とろりん★

サエダさま、はじめまして~☆
お越しいただきありがとうございます。
「ファントム」は、宙で1回、花でも1回しか観てないんですよ~。
もう1回くらい観たいのですが、スケジュール的に無理っぽい…(涙)
サエダさまは2回もご覧になっていて、羨ましい~~~~!!

まっつは線が細いので、時々個性あふれる花組男役の中に
埋もれてしまう事があるのですが(涙)、ふとした瞬間に人を
惹きつける何か(お芝居なり、歌なり、動きなり)をしている事が
多いんですよね。これからもまっつに注目です!!
by ★とろりん★ (2006-09-06 09:59) 

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