お前の番だ！ 182
　展示会場に戻ると、持ってきた弁当を控え室でスタッフが交代しながら食うのでありました。万太郎は大岸先生に勧められて真っ先に、書類や衣類、それに何やらの入った紙袋等が積まれた控え室の大きな折りたたみ机の..
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お前の番だ！ 181
「ああそう」 　女性はそう云った後に何も続けないのでありました。万太郎の返した言葉のどこにも引っかりを見せないのは、万太郎にしたら多少拍子抜けでありました。 「貴方は大岸先生のお弟子さんなんですか..
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お前の番だ！ 180
　万太郎は竟、余計な愛想の一言、或いは秘かな揶揄の一言なんぞもつけ加えるのでありました。その余計な一言を吐いた事を、すぐに万太郎は心の内で自責するのでありました。 　その間威治教士は終始無言で万太郎..
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お前の番だ！ 179
「でもあたしがそう云うからって、その話をまたここで蒸し返すのは嫌よ」 「はい。そう云う事は僕ごときがあれこれ考える事でもありませんから」 　そう云いながら万太郎はふと、そうなると総本部道場の将来は..
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お前の番だ！ 178
　威治教士には少しくらいは堅苦しくあって欲しいものだと思っての、これは万太郎の揶揄半分の言葉なのでありました。 「そう云われればそうね。確かに威治さんは堅苦しくはないわね。寧ろ、･･･」 　あゆみ..
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お前の番だ！ 177
「いや、実は前から気にはしていたのです。まあ、入門から三年も経っているのに今更何ですが、花司馬先生が、あゆみ先生、とちゃんと尊称をつけて呼ばれているのですから、僕なんかも当然そう呼ばなければならないか..
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お前の番だ！ 176
「おや、茶を持って来て、さっきまで廊下に座っていた堂下は、どうした？」 　興堂範士が廊下の方に視線を移して云うのでありましたが、それは別に意識して洒落を云おうとしてそう云ったのではないようでありまし..
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お前の番だ！ 175
「でも世間じゃ、剣術は別としても、体術では親父さんの方が上だと評判だぜ」 「そんなのは、ワシの技の派手さに惑わされている素人の見損ないじゃな。剣術は云うまでもなく、体術の実力に於いてもワシは到底あに..
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お前の番だ！ 174
「折野君はこのところ体に芯が出来てきたように思います。実は一緒に組ませて貰って、その芯がなかなかに強力で、組形でもそれを崩してこちらの手の内に引きこむのがこの頃如何にもしんどくなってきました。是路総士..
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お前の番だ！ 173
「そんな遠慮していないで、折野君もこちらにお入りなさい」 　興堂範士が万太郎に手招きするのでありました。「何時もと違って今日はあゆみちゃんも一緒なんだから、二人に茶でもふる舞って進ぜよう」 「押忍..
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お前の番だ！ 172
　万太郎が二人の目線の交差に容喙するのでありました。威治教士は咄嗟に笑いを顔から全消去して、万太郎に険のある横目を向けるのでありました。 　威治教士は万太郎が徐に差し出した筆を無愛想に取ると、上体を..
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お前の番だ！ 171
　受付にあゆみと並んで座っていると、暫くしてから豪勢なアレンジ花篭が届くのでありました。万太郎が何気なく添えられたカードに目を遣ると、そこには、祝　書道展、の文字の横に、興堂派道場の威治教士の名前が大..
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