エピソード1-5(フィクションなので登場人物は架空の人物です) [創作]
霧の中
霧の中、母に手をひかれて歩いた。もう何里も歩いてきた。あとどのぐらい歩くのだろう。
疲れきって、もう一歩も歩けない、そう思ったとき、遠く懐かしい景色が開けてきた。幼い頃に過ごした村、しかしそこには住む人もなく寂れた貧しい小屋が建ち並ぶだけだった。
廃墟の中を歩く。人気のない家々。その中の一軒に入っていく。
シーンと静まり返ったその家には大勢の人が集まっていた。
そして貧しい身なりの人々に囲まれて横たわる一人の男。息も絶え絶えで今にも死にそうだ。
「父さん」少女は叫んだ。死にかけているのは、確かに少女の父親だ。
幼い頃に母親に連れられて、この家を出た。何年ぶりにめぐり合えたのだろう。でも、命の灯が消えかけている。意識はあるのだろうか。自分が帰ってきたことに気がついているのだろうか。
少女は男の手を優しく握った。男は一瞬、目を見開いたかに見えた。少女にはそれがはっきりわかった。
たった一瞬だけの再会だった。
男は目を閉じ、亡くなった。
人々が歌いだした。
「人を食らわば、1000年の命、愛する者を食らわば1000年の若さ」
そして、この世のものとは思えぬ光景が広がった。
少女は母親に命じられて、その宴に参加せざるを得なかった。
恐ろしい出来事は霧の中に消えていった。
ハツはうなされていた。そして目覚めた。夢だ。きっと夢だっただけなんだ。
自分には愛する男がいる。愛することは奪うことではなく、守ることだと思う。
何か嫌な出来事が起こりそうだ。自分は彼を守ることができるだろうか。
最近、男はハツのもとに現れなくなっていた。戦で忙しいのだろうか。しかし戦場にでもハツを伴ったではないか。
では、ハツに愛想をつかしたのだろうか。男はハツが伴天連の話に夢中になっていることが気に入らなかったようだった。男は神仏を信じない。自分が神になりたいと思っている。そんな男を守ることなどできるのだろうか。
ハツには男に伝えなければならないことがある。
ハツは男のいない日々、いろいろと思い巡らしながら過ごしていた。頭の中は霧の中にいるように漠然としていたが、恐ろしい予感にとらわれて怖くてたまらなかった。
突然、稲妻が走った。雷鳴が轟き、風が舞った。ハツは身震いする。
しばらく雷が続いたあと、バシャバシャと雨が滝のように降ってきた。庭はたちまち水浸しになった。そんな中、びしょぬれになりながら男がやってきた。
「明日から、しばらく寺に行く。そなたも一緒だ」
うーん…展開が読めなくなってきたー! 前回の続きと言うには伏線張りまくりの感じするし。(^^;
早く続きが読みたいよー!(^^)
by kyao (2006-10-24 07:51)
masatoさんへ
niceありがとうございます!
kyaoさんへ
期待していただいてありがとうございます♪そろそろエピソード1は終わって2にうつる予定ですよ!
by りんたろ (2006-10-26 21:52)