記事 での「老人」の検索結果 582件
石の下の楽土には 79
「秀ちゃんも、料理をするんだ」
島原さんが話しかけるのでありました。
「まあ、アタリメを焼く位は。それにそんなものは料理の内に入りませんから」
拙生はそう云いながらコンロに焼き網を載せて火つ..
タグ: 居酒屋 楽土 猪口 徳利 老人 墓地 酒
石の下の楽土には 78
「熱燗のお代わりを、もう一本つけますね」
拙生がそう島原さんに云うのでありました。
「いや、お酒も結構ですよ」
「そう仰らずに」
拙生は云いながら、もう酒タンポに日本酒を注ぎ入れているので..
タグ: 居酒屋 楽土 老人 徳利 無愛想 酒 日本酒 家
石の下の楽土には 77
「今日は少し早仕舞いさせていただきます」
出来上がった島原さんの燗のお代わりを拙生から受け取って、島原さんの猪口の横に置きながら小浜さんが云うのでありました。
「ああ、そうなんですか」
「へえ..
タグ: 居酒屋 楽土 老人 徳利 猪口 酒
石の下の楽土には 76
「島原さんを、カウンターに呼びましょうか?」
拙生は三人が去ったカウンターの上の徳利や猪口や料理の皿を下げて、濡らした台拭きで周りを丁寧に拭きながら小浜さんに聞くのでありました。
「そうね、ちょ..
タグ: 居酒屋 楽土 老人 徳利 猪口 酒
石の下の楽土には 75
「随分、久しぶりじゃないですか」
拙生が話しかけると島原さんはようやく笑顔を見せるのでありましたが、その笑いはどこか表情に鈍さが漂っているのでありました。
「熱燗をください」
島原さんはそう..
タグ: 居酒屋 楽土 酒 老人 徳利 冗談
石の下の楽土には 74
「俺が行かなきゃ、話にもなにもならんだろうよ」
薬屋の主人はそう云いながら小浜さんの酌を猪口に受けるのでありました。
「そりゃそうでしょうなあ。あのママに一番入れ上げてるんだから、茂木さんは」
..
タグ: 居酒屋 楽土 老人 徳利 猪口 酒 按配 ギター
石の下の楽土には 71
島原さんは咄嗟に墓から一歩、後ろへ跳び下るのでありました。島原さんの眉間に深い皺が刻まれ、その瞼は見開かれたまま凍っているのでありました。口から低い唸り声が漏れ出るのでありました。島原さんの手が震え..
タグ: 居酒屋 楽土 徳利 老人 墓地 家 酒 按配
石の下の楽土には 70
風雪のせいでそれは自然に剥がれてなくなってしまったのかも知れません。そんなこともあるでありましょう。しかし島原さんは気になって、奥さんの墓の納骨棺の蓋を確認してみるのでありました。奥さんの墓のそれは..
タグ: 居酒屋 楽土 墓地 老人 瑕疵 風雪
石の下の楽土には 69
娘はここ暫くの間、墓地に来てはいないのかも知れません。毎日、雨が降る日も台風の日でも来ていた娘が、いったいどうしたと云うのでありましょう。新しいアルバイトのために、毎日来ることが叶わなくなったのなら..
タグ: 居酒屋 楽土 墓地 老人 一人暮らし 胡散臭い
石の下の楽土には 68
そうか、娘に千葉のお土産を買ってくればよかったなと、島原さんは娘を待ちながら思うのでありました。全く、気が利かないところは昔からちっとも変っていないんだからと、島原さんは自分を叱るのでありました。明..
タグ: 居酒屋 楽土 墓地 老人 就職 駅
石の下の楽土には 67
勘定を済ますと島原さんはゆっくり歩いて、引き戸に手をかけるのでありました。拙生はなんとなく島原さんの丸めた背中が妙に寂しそうに見えたものだから、普段はしないのでありましたが追いかけて行って、島原さん..
タグ: 墓地 居酒屋 楽土 老人 就職 手持無沙汰
石の下の楽土には 66
「そんじゃあ、折角のお誘いですから、お伴させていただきましょうかね」
小浜さんが乗り気を見せるのでありました。
「よっしゃ、決定だ。でもオヤジはあくまで俺の引き立て役にしかならないんだから、ママ..
タグ: 居酒屋 楽土 老人 猪口 徳利 酒