もうじやのたわむれ 79
　拙生はそう聞くのでありました。 「いやいや、実はそうではないのでして」 　審問官が勿体ぶって掌を横にふるのでありました。 「しかし、前に伺った帰納法絡みのお話しからすると、娑婆に生まれた私は、..
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もうじやのたわむれ 78
「ふうん。娑婆の病院の診察の順番と同じ要領なわけですか？」 「そうです。それが一番、文句の出ないルールでしょうから」 「ま、そうでしょうけど」 　拙生は審問官のその説明ぶりに、拙生の聞きたかった..
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もうじやのたわむれ 77
「生まれ変わって頂く？」 　拙生はやや身を乗り出して、眉根を寄せて審問官の顔を見るのでありました。 「そうです。でないと、こちらでの新生活を、お爺ちゃんやお婆ちゃんの風体で始めなければならない方が..
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もうじやのたわむれ 76
「いやそんな事はありません。私のもじりも審問官さんのもじりも記録官さんのもじりも、どっこいどっこい、何れも五十歩百歩の出来だと思いますよ」 　拙生は記録官を慰めるのでありました。 「まあ、敢えて正..
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もうじやのたわむれ 75
　審問官はそう云って自分の頭を拳で軽く打つのでありました。「今の私の発言は、オフレコと云う事でお願いいたします。こんな事を云ったなんと云う事が漏れると、後で上司から叱責を食らいますから。それに若し極楽..
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もうじやのたわむれ 74
　拙生のその言葉の後半は、殆ど独り言のような感じでありました。 「そう云うところで一つ、この地名の件はグッとその儘飲みこんで頂きたいものだと」 　審問官が揉み手をするのでありました。 「判りまし..
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もうじやのたわむれ 73
　それから千代田区隼町の円の上方に、と云う事は恐らく北に、東滑地方、と記してあり、これも歪な円で囲ってあるのでありました。その東滑地方の横にはこれも同じような円囲みで、ハラショー地方、と記してあり、他..
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もうじやのたわむれ 72
「娑婆の世界地図となんとなくダブりますよね、こちらの八大地方地図も」 「そうかも知れませんね。娑婆であろうとこちらの世であろうと、『我々は宇宙人だ』の法則が支配しているわけですから、似たり寄ったりな..
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もうじやのたわむれ 71
「ここも、先程紹介して頂いた黄熱地方同様、これからの地方と云うわけですね」 「その通りです」 　審問官はそう云って少し背筋を伸ばすのでありました。 「しかしなんとなく、娑婆で日本人だった私なんか..
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もうじやのたわむれ 70
「コンデ･コマさん、と云うと、･･･」 　拙生は顎に手を添えて首を傾げるのでありました。 「娑婆にいらした時は明治時代、講道館柔道の麒麟児と謳われた柔道家でいらっしゃいました。アメリカとかヨーロッ..
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もうじやのたわむれ 69
「貴方に悪意がない事は、全く承知しております」 　審問官はそう云って笑いながらゆっくり掌を拙生に向けて、拙生の掌の横ぶりを止めさせようとするのでありました。「兎に角、その三日三晩休みなく踊り狂う奇祭..
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もうじやのたわむれ 68
　記録官が憤然として云うのでありました。 「ああこれはどうも済みません。侮るとか、そう云う積りではなかったのですが」 　拙生は二度お辞儀をするのでありました。 「大小傑地方は、ゆったりと地獄の生..
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