もうじやのたわむれ 182
　賀亜土万三氏が愛想笑いながら云うのでありました。 「ではどうそ、お乗りください」 　賀亜土万三氏は掌を上に向けた手で車の中を指し示すのでありました。 　若い一人の、いや一鬼の警護員が運転席に、..
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もうじやのたわむれ 181
「あの武芸十八般の時の語り口とかボケ方なんかを聞いていると、あれは地獄省の鬼達特有のものに相違ありませんよ」 「ふうん、そうですか。それは貴方の勘と云うものですね？」 「そうです。まあ、勘と云うだ..
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もうじやのたわむれ 180
「貴方が暴漢達を一人でやっつけられたと伺いましたが？」 　賀亜土万三氏がやや目を見開いて鵜方氏に訊くのでありました。 「ええまあ」 「随分とお強いのですねえ」 「いやそれ程でも」 　鵜方氏は..
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もうじやのたわむれ 179
「閻魔庁の宿泊施設からお迎えの方がいらしてます」 　警官は顔を室内に戻してそう云うと、扉を大きく開くのでありました。そこから、恐らく宿泊施設の出入口で見た警備員と同じ、警察官のものとは違うやや明るい..
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もうじやのたわむれ 178
　鵜方氏は手を横に何度かふるのでありました。「こんな遅くなってふらふら歩いているのは危ないぜ、とか何とかニヤニヤしながら云って、公園の木の間から出てきたのです」 「ああ、成程ね」 　刑事はまた調書..
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もうじやのたわむれ 177
　これは鵜方氏が云うのでありました。「もう明日には、私の方は閻魔大王官に、生まれ変わり地を申告しなければならないのです」 「ああ、そう云う事情がおありでしたのですね」 　刑事は調書にその事を記すの..
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もうじやのたわむれ 176
　刑事は今度はボールペンを回さないで、すぐに筆記出来るように持ち直すのだけなのでありました。それから固めた拳を口元に持っていって、咳払いを一度するのでありました。 「いやまあ、その辺の省家的判断の予..
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もうじやのたわむれ 175
「あの暴漢達はどう云う素姓の連中なんでしょうかね？」 　鵜方氏が刑事に訊くのでありました。 「まあ、貴方達が認識出来て貴方達の体に接触出来るヤツ等ですから、こちらの一般の霊ではないでしょうね。鬼類..
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もうじやのたわむれ 174
　拙生と鵜方氏は最初に来た警官のパトカーに乗って、暴漢達は一人ずつ、いや一霊、若しくは一鬼ずつ夫々三台のパトカーに分乗させられて、邪馬台郡警察中央署と云う処へ連れて行かれるのでありました。中央署は、住..
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もうじやのたわむれ 173
「大丈夫ですか？」 　警察官が拙生と鵜方氏が平静な表情をしているのを認めて、少し気勢を削がれたような顔になって、遠慮がちな小声で聞くのでありました。 「ええ、私等は大丈夫ですが、･･･」 　鵜方..
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もうじやのたわむれ 172
「俺とした事が、少しばかりお前等を甘く見たようだぜ」 　小柄な男が冗談のような軽い口調で云うのでありましたが、それはこう云う事になっても、あくまで余裕のあるところを見せるための虚勢でありましょう。 ..
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もうじやのたわむれ 171
　鵜方氏が拙生を男達から遠ざかる方向に、手でやんわりと押し遣るのでありました。離れていろと云う無言の指示でありましょうから、拙生は慌てて公園とは反対の方に後ろ向きにさがって、一団とやや距離を取るのであ..
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