もうじやのたわむれ 130
「どちらかと云うと慎ましやかな召しあがり方でした」 「それにつけても、その俳句とか俳諧の話しじゃがな」 　閻魔大王官が再び後ろの補佐官筆頭の方に上体を捻るのでありましたが、その窮屈な姿勢に辟易して..
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もうじやのたわむれ 126
「してみると、考えられる理由は他には何かないのですかな？」 　拙生は閻魔大王官に向かって質問を繰り返すのでありました。 「そうじゃなあ、･･･」 　閻魔大王官はそう云って顎髭を拙生の方に突き出し..
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もうじやのたわむれ 121
　閻魔大王官はそんなちまっとした応えを返すのでありました。 「そんな事にその巻物を使って良いのですか？」 「なあに、構いはせん。どうせ飾りの小道具なんじゃから」 　閻魔大王官はそう云ってから、広..
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もうじやのたわむれ 114
「そう云う優遇される立場に在るから、公務員としての奉仕的な感覚が鈍って、ああやって、傲慢な口の利き方やら不敵なふる舞いをして仕舞うのでしょうかね、あの方は？」 「まあ、そう云うところもあるかも知れん..
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もうじやのたわむれ 112
「一つお聞きしますが、貴方は娑婆から来たばかりの、未だ極楽省の省霊でもない私に対して、何がしかの権限を行使する力とか権利のようなものをお持ちりなのでしょうか？」 　拙生はやや眉根を寄せて両目を細めて..
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もうじやのたわむれ 111
　拙生はこれ以上お地蔵さんと話しを続けるのが、妙に億劫になってくるのでありました。極楽省の事にしても、この先実相を様々聞いたからと云って、拙生にはあんまり魅力的な処には思えないでありましょうし。ここは..
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もうじやのたわむれ 105
「猪苗代湖ぐらいとは、思ったより小さいのですね」 　審問室で、三途の川が娑婆の長江の約四十倍の川幅とか、地獄省の太平江がそのまた四十倍なんと云う途方もない数字を聞いていたものだから、拙生はその蓮の花..
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もうじやのたわむれ 102
　お地蔵さんがそう云って事務机を掌で叩くのでありました。「我々官僚は省家と王家の悠久の繁栄のために、身を粉にして日夜働いておる。そんな不敬極まりのない了見の官僚など、絶対におりはせぬ。妙な云いがかりを..
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もうじやのたわむれ 101
　褒めたと勘違いされたた儘では少々癪に障るから、拙生はお地蔵さんの脇腹辺をちょっとつっ突いて、たじろがしてやりたくなるのでありました。 「その百九十九代は長子相続でしょうか？」 「それが原則となっ..
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もうじやのたわむれ 100
「勿論その通りである」 　お地蔵さんはそう云って堂々と胸を張るのでありました。その如何にもあっけらかんとした胸の反らし具合に、拙生は何やら臍の周りがムズムズするような違和感を覚えるのではありましたが..
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もうじやのたわむれ 98
「まあ、審問室のヤツ等も結局は地獄省の役人だから、何とかお前さんを地獄に勧誘したいと云う了見で躍起になっておるのだろう」 　お地蔵さんはそう云って顔を顰めて見せるのでありました。 「先程、閻魔大王..
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もうじやのたわむれ 97
「ほいほい、ご随意に。たっぷり満足のいくまでやれば良いわい」 　閻魔大王官は些かげんなりしたような口調でそう云って、今まで乗り出していた上体をゆっくり後ろに引くのでありました。 「では私は、あそこ..
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