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悲しき軽運送屋の顛末記-23 [顛末記]


★Photoはイメージです。

運送業を始めるとボーっと待機している者もいるが、殆どの人が地図を見たり時間のあるときは自分なりの新たなルート探しをする。スポットといっても同じ場所に一ヶ月に数回いくこともあるし、一度行った住所に近い地域に行く事は希ではない。
なので慣れてくればくるほど便利に使うルートがいくつも出来る。東京方面へ行く時はこの道路。埼玉方面にはこの国道などと他の会員とは違う行き方を発見する。勿論、人の良い奴は教えてくれることもあるが、大体は自分のオリジナルを秘密裏に覚えるのだ。

配送のルートというのは時間的に早く(最短距離)、スムーズで(渋滞の無い、空いている)、出来るだけ安く(簡単に言えば高速道路や有料道路を使わない)目的地までいける道を探すのだ。
誰でも経験があると思うが高速道路に乗って快適に走っていると思ったら急に渋滞なんて事がある。が、その横を走っている一般道はスムーズに流れていたりして、料金を払っているのに…と悔しい思いをしたことがあるだろう。また、いつも混む交差点というのもある。万年渋滞である。信号の時間設定とか、多方面(右折車や左折車)の路線に入り込んでしまって動かないこともある。道の設計が悪いことが原因なのだが今更文句を言っても仕方が無い。立体交差にするとか、分岐路線があるところも増えては来ているが…
と言うことでそんな悪い交差点を使わないルートを探すのも仕事のうちだ。最短距離と書いたが、短いという意味ではない。ワザワザ遠回りしても時間的に短縮されればそれは最善の方法なのだ。そうして安ければそれだけ収入が多くなるのだからこれも重要。数百キロも走るのに高速道路を使わないわけに行かない。が、縫い物の針目のように空いた一般道と速く走れる高速(料金は距離で設定されているので途中で降りてまた乗り継いでも、そのまま直行するより損をするということは無い)を交互に使って間の料金を節約することは出来る。

話は前後するが、たとえば新東京国際空港から直ぐに高速に乗れる入り口がある。時間的には便利である。しかし、私はそこからは上がらない。高速道路というものはその建設時に必ず側道を最初に作る。材料やトラック・工作用重機の通り道にだ。これは後に広く整備されて一般国道とか、バイパスとなる場合があるが、見当たらないところもまたある。しかし、それは見つからないだけであって、殆どが残っている。だからといって「分からないほどになった道を通りなさい」とはお勧めしない。リスクが大きいからだ。

空港からの場合、高速の側道は警備上の関係からかあまり知られていない。雑木林の中、雑草に囲まれてそれはある。しかも狭い。多分普通車はすれ違えないだろう。なのに走っていると機動隊の監視所が2箇所見られる。いや見られている。不審者のチェック、道路への破壊工作防止なのだろう。「えっ、こんなところに」という心境である。しかし、特に停止させられるわけでもない。ひたすら走っていると途中で行き止まりになることもあるが、その手前に高速道路をまたいで橋があり、反対側に回るとまた側道が現れる。これを繰り返して、私が東関東自動車道で東京へ配送する時は佐倉インターまで高速料金を浮かせる。多分その先にもあるに違いない。が、あまりそればかりに頼っていて返って時間的に遅くなっては本末転倒である。千葉北インターまでの横にも側道はあるが、一般道のほうが便利なのでチョット分からない人のほうが多いだろう。地元の人以外は。

空港からだと茨城や東京外環道路~関越に向かう裏道も田んぼの中に農道として立派でスムーズに走れるところがある。近くの方は一度冒険してみると良い。とはいえ、皆が試せばそれはもう裏道ではなく「混んでる道路」になってしまうので知っている人には反感をかうだろう。


★Photoはイメージです。

[こんなことがあった、その16]
地元に帰って定期的に走る仕事で一番遠方に出向くのが山梨の甲府になった。それまでのスポットからすれば相当近場が多くなってしまい、収入も一段と厳しくなってきたが、これは率の良い仕事だった。「割の良い」と書かないのは、まさに率だからだ。特に料金が高かったわけではないが、収益が良かったのだ??

国際便で入ってくる荷物が空港に集まる。これは当たり前だが、千葉県習志野市にも税関の出先機関がある。トラックで東関東自動車道を使い直行でその場所に運んできたものをチェック。ここからも軽運送の仕事が出るのだ。

それは深夜に走る。連絡があると夕飯と風呂などのいつもと変わらない時を過ごして、一段落してから出られるので、これも体には楽だ。深夜走り通しで楽は無いだろうと思うが、昼間時間に追われて動くより、余裕を持って目的地に着けるのが嬉しい。そして何よりのメリットが高速道路を使わずに最後までいける。微妙に言えば一区間だけ使えばということになる。以前の顛末記で危なく崖に突っ込むところだった、あの高尾山経由のルートだ。なので途中の経緯は省く。兎に角夜明けまで、しかしゆっくりと東京都内の深夜は車の殆どいない道路をカセットテープから流れてくる曲にあわせて鼻歌交じりに…だから眠くなるのだが。

物は某大手家電メーカーの工場へ中型ダンボールを2個、そんなに重くは無い。その分ガソリン代も安くなる。重量オーバーの荷物は極端にガソリンを消費する。これは長距離になるほどバカに出来ないのだ。と、何とか眠気を飛ばしながら甲府へ入る段々夜が明けてくる頃に、私は高速道路へ乗る。あと一区間なのに…到着時間は午前8:30の指定だ。まだまた時間はあるし、腹も減ってくる。そうしてこれも以前の顛末記で書いた「トイレ」タイムなのである。明け方にやっているところを探す気力も時間も勿体無い。確か一区間250円。その間にサービスエリアがある。そこで時間調整と朝飯と…である。上手くいけば一眠りできる。荷物を運転席と助手席に一つずつ置けば、後ろの荷室はシングルベットに早代わり。私は深夜のこういう時のためにシュラフ(寝袋)を載せてくる。夏は後ろのドアを開けて、冬は下からのエンジンの温もりで結構快適に「おやすみなさい」。

工場に台車で荷物を運びいれ、社判を伝票に押してもらい深夜から朝一の仕事が終わり。後は帰るだけである。勿論帰路も一般道。数時間はかかるが、ぶどう棚などを見ながら緑の中の国道を朝日に照らされて、ゆったり走る時の爽快感はこの仕事の唯一の楽しみだ。
途中に大きな事故などのアクシデントが無ければ、空港と違い地元は距離的に近いので午後の便に間に合うこともある。そうすればもう一仕事だ。やはり「率」が良い。


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コメント 2

mobile200x

過去にNHKの番組で長距離ドライバーの企画やってましたが
いまでも、あれを見るたびに、大変だな~と思います。
ちょうど大型一種とったころだったし(会社で働きながら・・ですが)
道を選ぶのも勘と実地調査と経験がものを言う世界なんですね
by mobile200x (2006-05-18 18:10) 

tom-d1951

だんな様
またまた目を通していただいて有難うございます。
少しでもお伝えできれば嬉しいです。確かに大型は大変なようですよ。ウチの弟は大型一種とトレーラー(牽引)を持っていますが、今は倉庫での仕分をしています。ドライバーは単に運転だけで終わらない、どの商売も収入を得るには苦労しますけれど。
by tom-d1951 (2006-05-18 20:44) 

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