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悲しき軽運送屋の顛末記-17 [顛末記]

軽運送の仕事は運転免許と資金が揃えば誰でも出来るのは本当だ。しかし、多大な忍耐と強靭な体力が必要なことも確かだ。特にスポットをやるにあたっては。

今回のブログはお食事中でしたらご遠慮ください。


★Photoはイメージです

人には食べることと出すことが欠かせない。軽だけではなく、運送業全般でこの「出すこと」は実際の話、切実なのだ。今回は排泄の話。
東京まででも往復4時間くらいかかる。
人間は平均一日に、「小」なら8回だそうで16時間起きている(8時間寝ているとして)としたら2時間に一度行くことになる。我慢しても4時間くらいしかもたないだろう。まして、前の日に飲みすぎたとか冬場の寒冷時の配達にはもっと短い間隔ではないかと思われる。
行楽の高速道路上、渋滞で我慢したことは皆、経験があるのではないだろうか。

現在ならコンビニにチョット寄って済ませる。なんて事が可能だが、当時はどちらかといえば迷惑がられた。トイレの前には「レジに断ってください」と書かれているところならまだマシ。タバコかジュースでも買ってお願いする事もあるが、従業員専用が事務所の奥にあって、飛び込みでお願いしても駄目な場合も多かった。

だから、私はルート毎に2箇所から3箇所の公衆トイレの位置を覚えることにしていた。高速道路は数十キロ走ればサービスエリアがあるので安心だが、一般道となるとさぁ大変になるわけだ。まして、早朝とか深夜は殆どの店など昼間は可能なところも閉まっている(デパートのような)。だから一番確実なのは公園の公衆トイレ。それに24時間やっているガソリンスタンド。私が軽運送をやっている時、スタンドに行って10リッター以上燃料は入れなかった。リッター当たり15km走るとすれば走行距離は150km。一般道で大体3~4時間だろう。万が一の時、スタンドに飛び込めることを考えてのことだ。
ちなみにガソリンスタンドに勤めている知人に聞いてみたところ、ガソリンを入れなくてもお願いすれば快く利用させてくれるそうで、こちらが遠慮する事ではないようだ。借りる時は車の停め方には気をつけなければならないが(邪魔にならないように片隅にがマナー)。

平日のビジネス街って周りにトイレがない。が逆に運送屋はその作業着のゆえに裏技があった。
「大」でも「小」でも都会の真ん中でモヨウした場合、まずは伝票と小さなの荷物を手に持つ、やにわに車を駐車、ハザードをつけてテナントビルを探す。そう、大きな会社はまずい。ビルの全フロアが一社で占められていると入り口に警備員、一階の玄関奥には受付嬢がいることが多い。比較的中規模のがよい。中に入ると必ずと言っていいほど各フロアに数社が入っており(階段の前に案内のプレートが架かっている)殆どの場合トイレは共同になるので誰が入っても疑われない。勿論、監視カメラで警備員が見ている場合もあるがキョドってはいけない。あくまで堂々とトイレを探す。時々伝票を見ながら。数階のうちに一箇所は目的の施設はある。
つまり、「このビルに配達に来たんですよ」とアピールし「ついでにトイレをお借りします」にするのだ。たとえ警備員に咎められても伝票を見ながら周辺の住所を言ってその場所を聞くようにする。このビルだと思って入ってしまいましたの形式にするのだ。くれぐれも伝票の住所を警備員に見られてはいけない。

冷静に考えればいくらでも「その場所」はあるのだが、いざ運転しながら行きたくなるとパニックになる。到着先で借りればよいのだが、到着する前とか帰りに急にしたくなった時には辛いものがある。
もう一つのトイレが見当たらない場所が工場地帯(工業団地と良く呼ばれている。公園も無ければ上記の方法で借りるわけにも行かない)。工場団地の入り口には必ずどこにどんな会社の工場があるかの地図が掲げてある。こんな時はまず集積所を探す。材料を輸送してきたトラックが集まる場所だ。門衛がいなければ黙って入れる。必ず運転手用にあるはずだ。万が一警備員が受付をしていたら正直にお願いするのが一番良い手だ。案外OKしてくれる。

それではルートの途中が田舎道で周りは田んぼや畑ばかりだったらどうしよう。男で「小」の場合は割り切って「立ちション」、農家の人がいても目をつむってくれるだろう。だがここで注意しなければならないのは畑の中に入ってやってはいけない。道の端にある水路にもこれ見よがしにやってしまっては彼らも気持ちよいものではない。田んぼなどにその水が引いてあり、中に彼らが入るのだから。場所には気をつけよう。

「小」での最終兵器はホームセンターなどで売っている「携帯用」である。渋滞している高速道路では車の中で子供などは平気でしている。なので私も試したことがある。上着をひざの上に敷いて隠しての作業となるが、これがなかなか無理。洋式にやる感覚でするのだが、運転中にハンドルを握りながら、ましてペタルも操作しての…なんて出るものではない。しかし、持っているだけで安心感はある。一つは購入しておこう。結果一度も使用したことが無く、現在も自家用車のトランクの中だ。

考えてみると、一番大変なのは大型トラックの運転手だろう。一般道は車幅が狭い。やたらなところで停車できないし、コンビニやガソリンスタンドでも大型車が入らない場合が多い。それだけチャンスが無いと言うことだ。知り合いにそれを仕事にしていた奴がいたが8時間くらい行かないとか。体が慣れてしまうらしい。それにしても体には悪い。もしかしたら「携帯用」を用い運転席の後部の寝るスペースでやっているのか、国道などの広い駐車可能な場所を選んで。

貴方は高速道路のサービスエリアで朝、6:00~8:00のトイレに入ったことがあるだろうか。
男は小さい頃から「大」に対して恥ずかしいと思う人が多いという。なるほど女性はどちらにしても個室で済ませるが、男が「そちら用」に入るということは「大」をしますよと言っているのだから朝、自宅で行ったら一日、外では行かないという人も多いだろう。でも毎日快適な食生活・良い体調で過ごせるわけでもない。大人も良い歳になると図々しくなるので恥も外聞も無いが、それでも「大」をしてくるなんて女性の前で言える人はチョット居ないだろう。
話は戻ってサービスエリアのその時間は行列だ。特に男用の個室は「小」のスペースを取るので数が少ない。前夜からここで待機している運送関係者(実はこの場合が多い)はこれから配達に行く前に済ませようとする。その人達でいっぱいになる。中年以上の女性でよく男性用の個室に入ってくるツワモノもいるが男の場合、逆のことをしたら悲鳴の嵐になるだろう。だから静かに一列に並ぶ。我慢しながら。それも各ドアの前にではない、個室の手前に沿って一列に。欲したら皆、平等なのだ。誰が先でもなく、黙々と待つ。あいたところに順番に入る。そんなことを何回か経験すると「大」のほうの恥ずかしさなど無くなってしまう。

[こんなことがあった、その10]
私が神奈川県に配達に行ったときのこと、空港の税関から夜の9時に出た荷物を朝一で届けることになった。家に帰っても余裕はあるのだが、面倒なのでそのまま目的地に向かった。途中のコンビニで夕飯と朝食を買って。
朝の出発は通勤の渋滞があって時間が読めない、深夜の空いている時に走るほうが楽ではある。着いたのが午前3時頃。配達する住所を確認し、地図を見る。周りに公園を探すのだ。小さすぎるとトイレが無い。中くらいのところを物色する。広い公園は奥のほうにある場合があって見つけにくい。そうしてその場所に向かうのだが、目的の場所の周りは住宅地だった。地図ではどんなところか判らないのだ。私は公園の側道に沿って車を停めた。そうして狭い運転席で一眠りするのだが、寝過ごしてはいけない。目覚まし時計をセットして目をつぶる。運転した後に横になることも出来ずに眠るなんて出来るものではない、頭も興奮しているのだから。そのうちに夜明けが訪れる。朝食を食べると、私もモヨウして来た。
早速、公園のトイレへ。入って鍵を閉めようとしたら、何と壊れている。イヤ、鍵だけではなくドア自体がチャント締まらないのだ。しかし、今から場所を変える訳にも行かず、片手でドアの取っ手を持ってしゃがんだ、非常に変な格好だ。暫くすると足音がする。早朝なので犬の散歩デモしているのかと思ったが、段々こちらに近づいてくる。と、「トントン」ときた! 私は只今それの最中。「はい」としか答えられない。すると「何をしてるのか」と聞いてきた。えっ、ここですることなんて一つでしょ。と思い答えに詰まった。
すると「兎に角出てきなさい」という。ここで直ぐに出られる人は居ないでしょう。「チョット待ってくれ」と言って急いで済ませ、私はドアを開いた。
目の前に制服があった。そう、警官なのだ。公園の隣の住人が一晩中停まっている軽自動車と、そのドアが何回か開く音で不審者と思い警察に通報したのだ。初めての職務尋問。車の積荷と伝票を見せて理由を話す。しかし、その住所とこの公園が離れすぎているので疑いは続いた。トイレの中で薬物でもやっていると思われたらしい。結局交番まで連れて行かれ、その伝票に記されている会社が実在しているか、免許証で身元確認、荷室を開けて品物のチェック…おっと、約束の配達時間8:30に迫ってきている。何とか無罪放免してもらって急ぎ配達。

たかがトイレ、されどトイレである。車のドアを開け閉めしなければ、トイレに行かなければこの警官とも会わなくて済んだのだが、出物・腫れ物ところ嫌わずである。その後、私は公園も隣家から一番離れた場所に車は停め、ドアの開閉は極力静かにと心がけるようになった。

繰り返しになるが、この商売でこの行為が一番大変なのである。何か良い方法が無いものかといつも思っていた。これが理由でドライバーになりたくないと言う知り合いも結構いる。タクシーはさらに大変ではないのだろうか、近場が多いとは思うが、渋滞でモヨウしたときに客を乗せていると自由が利かないのだから。

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