高野文子「田辺のつる」 [本]
老女=少女つながりで、もうひとつ。
前からつるの評判を聞いていたので、この短編を収録した「絶対安全剃刀」という漫画本を手にしてみた。(これも図書館)
大正ロマンなきいちのぬりえの世界で育んだ、幼女の日々に戻ってしまった82歳のつる。
扉絵の着せ替えのお洋服の中に、角隠しと打ち掛けの花嫁衣裳があるのが、なんだか少女つるが心から憧れたであろう女の一生を見る気がして。
老女の手をこじ開けて、垢で汚れた少女の性の夢を取り出したようでね。いけないものを見るような心もちがいたします。
老女のつるはそんな夢、とうに通り過ぎて、着古して今に至るのですからね。
しかもね、その花嫁衣裳だけ、体の向きと逆なんですよ。これでは切り取っても着せられないのです。なんか意味があるのかしら。
そして階段に腰掛けたつるが口ずさんでいるのが、あがた森魚の「乙女の儚夢(ろまん)」なのも見逃せないっ。
買って23年、「乙女の儚夢」歌ってるのに気づいてませんでした〜。
by 伊藤 (2005-08-17 22:52)
伊藤さん、こんにちは。
そうなんですよ、サチコとイチロの物語なんです。
余談ですが、私もこれで思い出して赤色エレジー本を注文したところです。早く届かないかなぁ。
by meg (2005-08-18 11:22)