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テレビがたどる道~その2 [メディア]

このエントリは、6月11日の「テレビがたどる道」の続編です。
初めてご覧になる方は、ぜひそちらからご覧下さい。

さて、かつての映画同様に、今後テレビが衰退していくのかどうか、
考えて行きたいと思います。

映画(ここでは、映画館で見る映画を指します。)は、
1.決められた上映時間に 2.決められた映画館で
見なければなりません。

一方テレビは、初期の街頭テレビ時代はともかくとして、
決められた場所で見る必要はありません。
一家に一台の時代から、一人一台になり、
最近はクルマについてるよ、とか
ケータイで見られるよ、という人も多いと思います。

しかし、放送時刻は相変わらずテレビ局、すなわち送り手側が決めています。
つまり、テレビは場所的な自由を持っているが、
時間的な自由の無いメディア
だといえると思います。

もちろん、私がこのエントリを書くきっかけになったHDRやVTRを使用すれば、
時間をずらして(タイムシフトして)見ることは出来ます。
しかしそのためには、「あらかじめ」タイマー予約をしておく必要があります。
放送が終わってしまった後では、タイマー予約も出来ませんから、
再放送が無い限り、永遠に見るチャンスを失ってしまいます。

ここがWebCastとテレビの最大の違いです。
WebCastでは、ユーザ側が見たいと思ったときが「放送時刻」になる、
つまり、場所も、時間も完全にユーザが自由に出来るメディアになるわけです。

インタラクティブ、というのは、
なにも番組のアンケートに参加したりすることばかりではありません。
自分が見たいものを、見たいときにリクエストすればすぐに見られる、というのも、
十分インタラクティブなのです。

WebCastが、どのような形態を取るのかわかりません。
セットトップボックスで、今のテレビ受像機につないで使うのか、
PC上のメディアプレーヤーで見るのか、
ワイヤレスで、ケータイや小さな専用受信機で見るのか…

いずれにしても、WebCastも映像コンテンツメディアであることには変わりありません。
コンテンツの中身自体は、今のテレビ放送の内容と、ほとんど変わらないでしょう。
そういう意味でなら、テレビはなくなることは無いでしょうが、
いわゆる、電波を使って、一斉に「放送」する、今のテレビ放送のシステムは、
著しく衰退していくのではないかと思います。

そして、もうひとつ起こりそうなのが、ビジネスモデルの変化です。
今のテレビは、B2Bのビジネスモデルで動いています。

テレビ局は、視聴率を上げることのできる、スポンサーの意に沿う番組を作り、
スポンサーは視聴率に対して、CM出稿という形でテレビ局にお金を払います。
コンシューマである視聴者は完全に蚊帳の外です。
極論すれば、スポンサーのほうだけ向いて、視聴者を一切無視しても、
今のテレビ番組は成り立つのです。

しかし、WebCastが一般化すればそうは行きません。
番組を評価するのは、コンシューマーである視聴者です。
視聴率、などという曖昧なものではなく、
どの作品が、どの程度見てもらえたかがリアルにわかります。
途中で見るのをやめてしまえば、そのことも記録されます。

これは、番組制作者にとってはものすごいプレッシャーです。
これまでのように、スポンサーが納得する番組を作っても、
何の意味も無くなるということで、コンシューマに受け入れられなければ、
まったく評価を受けることが出来なくなります。
したがって、番組制作者は、B2Cのビジネスモデルへの脱皮を迫られます。

いまのテレビ番組制作者たちは、この事態に対応していけるでしょうか?
答えは非常に難しいのですが、私の考えでは、
現場レベルでは、なんだかんだ言っても対応できると思います。
ただし、テレビ局のシステムは、まったく対応できないでしょうね。

以下 次回に続く


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