キッシンジャー、2006年大予測(後編) [国際法・国際関係]
先日のキッシンジャー、2006年の大予測(前編)につづいて、後編です。
4.イラク
イラクがベトナムになるのでは、という意見が出ているが妥当ではない。特に、戦争放棄をすべきであるという主張であるなら、これに同意しない。テロリストの活動が成功したと思わせてはならない。イラクの統治は困難が続いている。しかし、これまで行われた3つの選挙は成功したし、選挙を行うたびにイラク国民の参加者が増え続けている。テロリストはイラクで犯罪行為を行っているが、イラクの一地域を支配できたという事実は無い。大事なのは如何なる政府を作るかということである。安定的な統治を行うための仕組みを作ることである。
いつ撤退するかという議論を議論するべきではない。今、米軍が撤退したら、確実に内戦になる。内戦の影響はサウジアラビアなどのイラク周辺に対しても及ぶことになる。
テロリストに西側はすぐ引っ込むと思われてはならない。今撤退を行ってはならない。
これからの中東はどうなるのか。中国が中東に進出ことは無い、というように考える。中国は地理的に離れている。
2つの可能性がある。第1は状況の改善である。これは米国の勝利を意味する。第2の可能性は状況の悪化、乃至、状況の変化が無いことである。現在米国は、現地イラク人に対して警察行動の訓練を行っている。今はまだだが、今年の中頃には結果が現れるのではないだろうか。
中東の石油は米国、そして日本などの石油消費国にとってこれからも重大な問題になり続ける。米国はイラクの安定化のために努力をしているが、同時に石油消費国は石油需要の調整のために話し合う必要があるだろう。
5.北朝鮮
米国は北朝鮮に対して攻撃準備は出来ている。イラクに集中しすぎて北朝鮮に対する関心が低いのではないか?ということが言われるが、そうではない。米国の選択には軍事行動も入っている。ただ、現在は6カ国協議という方法によって問題の解決を進めている。
米国、ブッシュ政権は核兵器に対して厳しい態度で臨んでいる。中国は断固とした態度をとっているが、まだ真剣さが足りない。
北朝鮮は話し合いでおとなしくすることが可能である。
中国も北が核兵器を持つことを望んでいない。もし北が核を持てば、韓国も持ちかねないし、日本にまで核武装論が広がるかもしれない。中国はそれを恐れている。しかし、北朝鮮を残したいと考えている。米国は金正日の存続させる気は無い。ここに問題が生じる。北朝鮮は我々をだまし続けているし、何度も約束を破っている。しかし、北朝鮮は徐々に追い詰められているし、原則論については受け入れるようになってきている。といっても、北朝鮮にとって核兵器は自国の安全を保障する最大のカードである。そして我々は核兵器に見合うほどのものを北に与える用意はない。
北朝鮮は中国の傀儡ではない。ときには核兵器政策については中国の意思と反している。北朝鮮問題は今のところじっくりだが進展を見せている。
キッシンジャーの2006年予測
1.元は切り上げられる。切り上げられなかったら驚きである。
2.米国ドルは強さを持ち続ける
3.米国経済も堅調である。
4.中国経済は今年も成長を続け、9%くらいは成長するのではないか。
5.日本経済については楽観視してよく、成長する。
6.金正日政権は存続をすると思うが、国内騒擾が起こる可能性は否定できないし、彼への圧力は強まる
7.イラク戦争の成果が現れ始め、ブッシュ政権の人気は恐らく拡大する。
8.イラクでは政府・憲法が成立することによって、目覚しい進展が見られる
9.米中関係は通貨などで不安定になるが、良い方向へ行くと思われる。双方に米中問題を解決しようとする勢力が存在している。
10.日中・日韓関係は改善されることを期待している。
以上、キッシンジャーの2006年の大予測でした。
最後の方はちょっとはっきりしないところがありますが、おゆるしを。
皆さんの予測はどうでしょうか?
そして、来年はキッシンジャーは生きていて、予測できるのでしょうか?
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