SSブログ

定性評価と定量評価 [仕様と価格]

 昨日記した屋根についてもそうなのですが、家を建てるにあたって施主が集められる情報は、その殆どが定性的なものです。定性的とは例えば、

・基礎断熱はシロアリに弱い
・高気密高断熱住宅は外断熱でないと実現できない
・木造住宅で外断熱は費用の割に効果が乏しい
・複雑な形状の屋根は雨漏りしやすい
・珪藻土には調湿性がある
・珪藻土の調湿性は殆ど期待できない
・珪藻土には発ガン性がある
・柱は無垢材に限る
・柱は強度のある集成材が望ましい
・これからの家は高気密・高断熱が最低条件
・高気密・高断熱住宅は必要なくむしろ有害
・ビニールクロスには僅かだがホルムアルデヒドが含まれるので使うべきではない

という様にAはだめ、Bは良し、という1かゼロかの情報です。定性的な情報は長い年月を受け継がれ、建築界の常識となっているものから、自社の仕様を売り込もうという思惑があるものまで、様々です。素人にとっては単純明快で分かりやすいのですが、それぞれ相反する情報もあり、取捨選択に迷います。
 これに対して定量的な情報とは、

・基礎断熱の家と床断熱の家のシロアリ被害確率を比較
・外断熱と充填断熱の気密性、断熱性をC値、Q値で比較
・スレート屋根の塗り替え期間は平均で約10年
・珪藻土の調湿機能を実験によって評価
・気密施工している家とそうでない家の結露の発生状況を比較
・ビニールクロスを使った家と、自然素材で建てた家の空気中のホルムアルデヒド濃度の平均的な値を比較

など、程度を数値として表せる情報で、AでもBでもない、その中間を表現できます。 定量的な情報が得られれば素人である施主でも、問題を解決するためにどの程度対策を施したら良いのか、ある程度判断できますが、この様な情報は極端に少ないのです。そういった意味で、住宅性能表示制度は住宅の性能を誰でも分かるように定量的に評価しようとするもので、施主にとっては大歓迎なのです。
 一方で、定性的な情報はプロが素人に分かりやすいようにデフォルメして発信しているものも多いと思います。プロは自分の経験から、ある問題に対してどの程度の対策を講じれば解決できるか、現実的な程度を知っており、意識せずとも情報を定量化しているものです。しかし素人にはこの経験がありませんから、ともすると定性的な情報を盲信し、過剰な対策を採ろうとして暴走するケースもあるでしょう。素人である施主は、勉強したが故の暴走には注意しなければなりませんし、ビルダーには、施主が暴走しはじめたらプロの意見でブレーキを掛けて頂きたいと思うのです。
 かっぱ亭の場合予算上の制約がありますので、いくつかの問題(例えば昨日記した屋根の形状)について「落としどころ」をどうするか悩み、今思えば暴走気味かと思う部分もありました(追って紹介します)

・今日の現場
 引き続きサイディング貼りと2Fフローリングが進みました。明日は大工さんが別の現場に引っ張られて、内装はお休みです。
 2階の床は構造用合板の上に、遮音シート、石膏ボード、フローリング材の順番で貼られます。遮音のため、1階と2階の間に断熱材を入れるケースも見られますが、かっぱ亭の場合は入りません。

最後までお読み頂きありがとうございました.クリックを頂けましたら更新の励みになります
にほんブログ村 住まいブログ 一戸建住宅へ

前のページへ | 次のページへ


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:住宅

nice! 2

コメント 4

plusgate

暴走するクライアントにブレーキをかけつつ、ガソリンを補充しつつ、
その繰り返しです。だんだん疲れてきて、「任せます」と言い、
打合せ回数が減るのが僕にとっては悲しいことです。
ガソリンの入れ方は現場が順調であるということが一番です。
by plusgate (2007-08-29 10:56) 

kappa

plusgateさん、コメントありがとうございます。
うちの場合は私がいろいろな情報を仕入れてしまうものですから、相手の方に「疲れ」が見えてしまう時もありました。時には、「心配しなくても大丈夫です、任せてください」と言って欲しいこともあります。
by kappa (2007-08-29 23:58) 

しゃくとりむし

niceをありがとうございました。

本当によく調べていらっしゃるんですね。
このブログを読むとkappaさんがとても勉強家なのだということが
よくわかります。

家に関しての情報はメーカーが出している情報が圧倒的に多く
中立公正でかつエンドユーザーにわかりやすい情報というのは
本当に限られている気がします。

情報を調べて、現場を確認して、ブログを書いて・・・
ご多忙とは思いますが、完成の日までどうかがんばってください。
同じローコストを目指すものとして応援しています。
by しゃくとりむし (2007-08-30 09:07) 

kappa

しゃくとりむしさん、コメントありがとうございます。
うちの場合、なるべく安い材料や施工方法で、それなりの性能を求めたいというわがままな考えなので、「落としどころ」を探るのに苦労しました。コスト/パフォーマンスという概念が、住宅業界にはなじまないのかもしれません。
by kappa (2007-08-30 17:49) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。