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感想@鬼頭莫宏「ぼくらの」第1巻*ネタバレあり [ぼくらの:感想]

小学館から単行本が出ている漫画「ぼくらの」1巻の感想です。
作者は鬼頭莫宏氏、連載雑誌は月刊「IKKI」です。

この作品に対して、私は変則的な関わり方をしてます。
アニメレンタル4巻(第8話:チズ編)まで視聴
→レンタルコミックで単行本の1・6巻のみを読む
→単行本を買い集めて既刊8巻読破
という状態です。
小説は未読です。

アニメで最初に見てハマって
wikiやサイト様でネタバレに触れて興味を持ったものの
DVDをレンタルした店では、漫画は1・6巻しか置いてなくて
(レンタルコミックは、です。
売り物としての単行本は8巻まで全て揃ってました)
それを読んだら、やっぱり欲しくなって
結局全部買っちゃったというわけです。

ちなみにアニメは、リアルタイムでは全く見てませんので
レンタルでDVDが出るのをやっと追いかけている状態です。
今は5・6巻を飛ばして
最新の7巻(マチ後編〜キリエ前編)を見たばかりです。

アニメを最初に見た時の感想はこちら↓
http://blog.so-net.ne.jp/himezakura/2008-02-07
(この時点では、レンタルコミックを借りてません。
原作である漫画を全く読んでない状態にあります)

以下から単行本全体と1巻の感想です。
当然ながらネタバレがありますので未読の方はご注意を。

凄く面白いので、まだ読まれてない方には是非お勧めです。
作者曰く、このお話は10巻程度で完結するらしいのですが
現在8巻まで発売されていることから分かるように
原作はかなり佳境に入ってます!
(IKKI2008年3月号は立ち読みしました。
表紙のカナちゃんが……もう……/泣)
もっと早く知っておけば良かったと思う半面、
このまま追いかけていけば
連載最後の瞬間には立ち会えそうなので
物凄く楽しみです。

萌えとかそういうのではなく、純粋に続きが楽しみな作品です。

まず、アニメを見たりネットでのネタバレを読んでた時から
想像はしていましたが
泣きました。
いっぱい泣きました。涙が止まりませんでした。

レンタルで借りた時(1・6巻)の時はそうでもなくて、
6巻の、悟ったキリエのモノローグの時に
うっすらと涙が出たぐらいだったのですが
単行本を買い集めてちゃんと読み直したら
レンタルで読んだ時には何とも思わなかった1巻も
(アニメで話の筋は知っていたので、ワクやコダマに対して
「これから死んじゃうんだな」という感傷は抱いてました)
読んでて本当に悲しくなりました。

私は、涙もろい上に人の死を扱う作品に弱いので、
泣き過ぎであるのを自覚しているんですが(笑)
でもこの話は、死そのものよりも、
死とまともに向き合う事になってしまったキャラ達のそれぞれのエピソードが
とにかく重くて、胸が打たれました。
ネタバレを見ていたので、
読みながら「あぁ、ここがあれか」と思う事は多々ありましたが
感動が薄まったとか意外性がなくて残念だと思うことはあまりなくて
(ウシロの母親の話と、未契約者が誰かという点は
ネタバレで見ない方が良いとさすがに思いました/笑)
寧ろ、気にならなかったと言っても良かったと思います。

実を言えば、アニメの感想でも書きましたが、
平仮名四文字の作品ということで、
「らき☆すた」や「みなみけ」のような
大人のお友達の萌え作品だと勝手に勘違いをして
積極的に知ろうとしなかったのを、悔いました。
でも、遅かったけれど、この作品と出会えて本当に良かったです。

掲載誌の「IKKI」についても、雑誌名しか知らなくて
本屋でまともに見たのは、今月号(2008年3月号)です。
「店に置いてない orz」という記述をネットでよく見かけてたので
あんまり期待しないで近所の本屋を見ていったら
運良く二軒目で見つけられました。
その前に、IKKIの公式サイトで、
同誌に芳崎せいむ氏の「金魚屋古書店」が連載しているのを知って、
あの話が載ってる雑誌なのかと、驚きました。
(こちらは前から知っていて、単行本も読んだことがあったので)
ちなみに、「ぼくらの」の単行本を本屋で探す時は、
この「金魚屋〜」が目印になってました(笑)。
IKKIコミックスを見たことがなかったので、
本屋のどの辺にどんな感じで置かれているのかが
さっぱり分からなかったので(笑)。

では、各巻の感想にいきます。
ネットで流れている、第8巻より先のネタバレについても
触れるかもしれませんので
単行本派の方もご注意して下さい。
長くなりそうなので、記事を幾つかに分けます。

────
では、「1巻」の感想です。

本当に、マチが洞窟に誘っている
(しかも無駄にコマが大きい)ので驚きました。
また、後でお父さんと海で楽しく過ごすことになるアンコが
この時は「クサくてキライなの」と言ってるのも
軽い伏線なのかなーと思いました。
海が臭いのと、お父さんと話せて楽しい時間を過ごせたのは別次元なので
ここで関連性を持たせるのは無理強いかもしれませんが。

そして、アニメと違って、
契約の時は、マチとカナ以外は手のみの描写なので
本当に誰が誰だか分からないんだなーと
(後の未契約者となる、この時点ではパネルに触れなかった人物が分からない)
感心しました。

ジアースが初登場するP34〜35の見開きも感慨深かったです。
ある意味、ジアースは子供たちにとって“絶望”の象徴じゃないですか。
でもルールを知らなかったこの頃は
単純に「凄い」とか「何だこれ」っていう感心や興味の感情ばかりが
子供達に現れていて。
無情だなぁと思ってしまいます。

コエムシは、アニメで見ると固そうですが
漫画だと、複数の線で書かれている上に滑らかでないので
質感がよく分からないですよね。
柔らかいのか固いのかもさっぱり。
大きさも、なんかその時々で変わるのかなと思いました。

戦闘が始まってからは……ココペリがカッコイイです。
顔つきががらりと変わってて、こちらはとても好みです。
淡々と戦闘をして、方法を子供たちに教えていくココペリの姿は、
読者がこの話を最初に読んだ時と、二度目以降読んだ時とでは
受ける印象が全く違うのではないかと思います。

特にP81。
優位に立ちながらも「安心するな」と苦言を呈したココペリに
カコが「じゃあ、はやくやっつけちゃえば……」と言った後、
ちょっと間を置く感じで「そうだな」とココペリが呟き、
黙るコエムシの顔が描かれてます。
私は、ここに、
この「ぼくらの」に対する感想が詰まってる気がしてならないです。

普通、主人公たちが窮地に陥ると
読者は「頑張れ、勝ってほしい」と思ったりします。
実際、この作品でも、ジアースが苦戦してしまうと
私は心の中で子供たちを応援しました。
何とかならないかと願いました。
でも、ジアースの勝利が確定した途端、
「あぁ、もうこの子は死ぬんだ」という
パイロットに対する悲しみが胸を占めました。
つまり勝利=喜びには決してならないんです。

つまり、カコに「はやくやっつけちゃえば……」と言われた事に
ココペリは「全くその通りだ」と納得もできるのだけれど、
勝利=自分の死であると分かっている彼は
複雑な心境になっていたと思います。
コエムシは性格が悪いので、
ココペリの気持ちを察して面白がってたかもしれません。

戦闘後、空いている椅子を見るところや、
「す……」で終わる最後の挨拶も、読んでてせつなかったです。

子供たちのマガジンがセットされてからは……
椅子の件は、
マチとマキの件、ウシロ兄妹について
先々をネタバレで知っている身では、巧いなぁと思いました。
さりげない描写が伏線だったのはやられました。
マキの漫画の話や、
服の話題が出た時にナカマの顔が一コマだけ出るのも
いいです。
知ってから(二度目以降)読み直すと、うわーと思うことばかりです。

最初に死んだワク(和久隆)については、
やはり彼が幸せだったとは思えません。
ルールを知らないことから絶望もせず、死への恐怖を感じずに逝った点では
確かに良かったかもしれませんが
死に対する心構えというか、
残された日々をどう使うかを全く考えられなかった点を挙げると、
彼は不幸だと思います。
もし、ワクがルールを知っていたらお父さんに理由を聞いたかなと、
ありきたりなことを想像しました。

そして、ワクを押したウシロのこと。
この後の話を読んで思ったことですが
カナちゃんに対して暴力を振るってるのは例外として、
ウシロはあまり会話で人に触れない(スキンシップしない)タイプらしいので、
本当にこの時はたまたまっぽいんですよね。
(P96でワクに押されたから、この時に押し返したみたいな)
結果的に、ワクが死んだのはウシロのせいじゃないって分かっても、
やっぱりウシロと、それを見ていた皆への影響は
大きかったと思います。
漫画で読んでても、アニメで最初に見た時も、
いかにもヒーロー作品の主人公だったワクが呆気無く死ぬのは
ショックでした。
漫画のP166のコマの流れ
(驚いている子供たち→ウシロ→ジアース→椅子)は
秀逸だと思います。
子供たち同様、読者も呆然とさせられてしまうと思います。

次のパイロットはコダマ(小高勝)。
彼のテーマは、選ばれた人間・選ばれなかった人間でした。
結局、死(人生)という点では、
コダマ自身もコダマ父も選ばれなかったわけです。
まだルールも知らないことから、
偶像的なロボットに乗れて、逃げまどう人々の命も簡単に玩べちゃって、
しかも地球を救うヒーローになれると分かって
コダマは鼻高々というか、慢心してたんだろうなと思います。
作品で言うなら、その他大勢じゃなく、
パイロットとして挙がってるだけ充分「選ばれて」いるんですが
どうなんだろう。
彼の場合は、ワクと逆で、
死ぬルールを知る前に死ねて良かったんじゃないかと思います。
もし知ってたら、カコのように逆切れしてたんじゃないかと……。

父親が死ぬ場面は、アニメで先に見た時に
「これは人が簡単に死ぬ作品なんだ」と強く自覚した瞬間でした。
だからなのか、その直後に法医学の検死結果の話にもなるからなのか、
アニメほどはショックを受けませんでした。


ちょっと外れます。
単行本裏表紙にある「SFファンタジーの鬼才が〜」とありますが
この「ぼくらの」も、ジャンルはそれになるんでしょうか。
でもなんかすっきりしません。
セカイ系とかエヴァ系っていうのもなんか……。
人に説明するのに、短い言葉でズバッとくるものはないかと
探している最中です。

────

全体と1巻の感想は以上です。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
2巻以降の記事に続きます。
http://blog.so-net.ne.jp/himezakura/2008-02-24-1


2008-02-24 17:30  nice!(0)  コメント(4) 
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コメント 4

えまのん

是非とも小説版を読んでください。
原作者が執筆しているのではありませんが、少なくともアニメ版よりは遥かに原作を理解し、咀嚼した内容になっています。
子供たちの半数ほどが入れ替わり、パイロットの順番も変わっていますので、「ルールを知った」ワク、カコが描かれています。
しかも説得力を持って。

ただし、欝展開もコミック版以上のモノが待ち構えていますので、気をしっかし持って読む必要はあります。
by えまのん (2008-02-27 15:17) 

さくら

> えまのん様

こんにちは、初めまして。コメントありがとうございます。

小説……!
漫画は楽に見つけられたのですが、小説はさっぱりなので、未だに手にしていません。真面目に探してみます。お勧めありがとうございました。
by さくら (2008-02-28 02:06) 

えまのん

小学館のガガガ文庫というとこから出てます。青い背表紙に白い文字…だっけかな。

(おそらく)新人作家ということもありのでしょうが、あまり文章力には秀でていません。誤植もけっこう多いし。
それを除けば、コミック版と補完する形での小説としては最高峰でしょう。

最近のライトノベル全般と同じく、初版を買い逃すとなかなか本屋で購入することが難しいですので、Amazonなどのネット通販で買われたほうが楽かもしれません。
既刊4巻。最終5巻は、今年の夏予定…と4巻の予告では書かれていました。

by えまのん (2008-03-03 14:21) 

さくら

>えまのん様
こんばんは。再びのコメントありがとうございます。
案の定、地元では見つけられておらず、
近い内に遠出をして大きな書店さんにも行くので、
そこで見つけられなかったらネット通販しようかと思っています。
ご丁寧な情報、ありがとうございました。助かります。
by さくら (2008-03-05 00:49) 

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