水の話(5) 上下水道の民営化 [水・環境問題]
過去ログ:水の話(1) 水の惑星?
過去の記事でも触れたように、現在、世界各地で清潔で十分な量の水の供給がされていない状況があります。
それらについては国連も黙って手をこまねいている訳ではなく、2000年の国連ミレニアム・サミットにおいて、2015年までにこうした人々の割合を半減する目標が宣言されています。
しかし、そのためには相当巨額の設備投資が必要となりますが、それらの資金を公共部門のみに頼るのは限界があります。
そこで浮上してくるのが「民間資金による水道の整備、運営」です。
上下水道事業は先進国・途上国を問わず多くの国で長い間公共セクターが提供することが当然と考えられてきました。しかし、すでに地球上の全人口60億人のうち4億人が民間による上下水道サービスの提供を受けており、さらにこの割合は年間10%の割合で増加し、2015年には10億人に達するものと予想されています。
つまり、世界の水道において民間資金の活用というのは、それほど珍しい事ではないのです。
日本では馴染みの薄い発想ではありますが、フランスでは1世紀以上にわたり民間企業によって水道の運営がなされており、実はそれほど唐突なものではありません。
※参考:フランスの浄水場
また,先進国においても環境保護意識の高まりによって、年々厳しくなる水質基準や廃棄物処理基準をクリアするための新たな設備投資需要と、上下水双方での老朽化した施設の更新需要が拡大しています。
こうした中、世界中の多くの政府で財政難を抱えている現状もあり、自治体が財源と技術を求めて民間委託や民営化を図る動きが加速しているです。
※参考:イギリスの場合
しかし、民間企業によって水道事業が寡占化されることについては、各国のNPOや環境保護団体から「水の商品化」につながるとの反発も起きています。また、実際に水企業によって管理されている水道において、世界各国で様々なトラブルが報告されています。
次回からは、それらの具体的な事例について紹介したいと思います。
つづく・・・
”水の商品化”は確かにあまりいい響きがしませんが、国民一人一人や企業に水の重要さを分かってもらうには民営化も一つの手では?という考えはあまりに浅はかすぎますかね?次回のブログ楽しみにしてます・・・
by こきさんじ (2006-09-15 07:20)
> こきさんじ 様
ども。コメントありがとうございます。
もちろん、民間企業を活用することの利点もあります。ただ、うまくやらないと水そのもの、ひいては国民生活の根本が金儲けの道具として利用されかねません。
確かに、少々いい加減と思われる公共団体による水道もあることはありますので、どちらが良くてどちらがダメだとか、あまり短絡的に結論を出すべきではないとは思います。
その辺のことは追々やっていくつもりです。
by がく (2006-09-18 01:44)