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トンマッコルへようこそ [2007年 レビュー]

トンマッコルへようこそ」(2005年・韓国) 監督・脚本:パク・クァンヒョン 原作・脚本:チャン・ジン

 久しぶりの韓国映画。
 僕の中で「韓流」は完全に終わっていたので、ハングルのアクセントがちょっと懐かしく、なんだか帰省したような気分に浸りながら観てしまいました。
 朝鮮戦争の時代に敵対する6人の兵士がトンマッコルと呼ばれる不思議な村に迷い込み、そこで人間らしさを取り戻していくというファンタジーです。

 チープな韓国ラブコメとは違い、映像にこだわった美しい仕上がりの作品なんですが、CG合成画面の完成度が低い(特に戦闘機関係の質感が良くない)のと、手持ちにしたときのカメラワークが“自己主張”し過ぎている点はガッカリしました(カメラマン、雰囲気出しすぎ)。
 逆にカメラを固定したときの画はなかなか美しく(ロケーションと照明に助けられた部分も大いにあるけど)、このバランスが良ければヘンに気を取られることなく、もっと映画そのものを楽しめたと思います。

 単純に言えばテーマは「反戦」。さらに言えば「戦争がもたらす狂気」なのですが、僕は「一宿一飯の恩義」として受け止めました。思い出すのは黒澤明の「七人の侍」。そして孔子による論語の有名な一節です。
 「義を見てせざるは勇無きなり」
 ちょっとネタバレになりかねない話になりますが(笑)、これこそ本作が謳う普遍の大テーマで、実はコレ決して誰も否定出来ない(悪く言えない)“鉄板”のテーマなんですよね。巧いと思いました。途中いろいろ文句はあったんだけど、最後の最後に兵士たちの屈託のない笑顔を見せられた瞬間、「まあいいかあ」と思っちゃいました。
 ラストカットのセンスもいいです。そこには「報い」がある。善悪どちらの「報い」かはご自身で確認してください。
 重要な役割を果たすかと思った紅一点のヨイル(カン・ヘジョン)が、実はとてもニュートラルなポジションにいたのも意外で好感が持てました。
 それと個人的に気に入ったのはポップコーンの雪。このアイディアは秀逸。

トンマッコルへようこそ

トンマッコルへようこそ

  • 出版社/メーカー: 日活
  • メディア: DVD

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コメント 6

mouse1948

こんばんわ。
韓流ブーム中で少し異色の映画ですが、観る価値は十分あります。
しかも戦争、という行為の非道さを真っ正直に訴えるのではなく、トンマッコル村の村民を通して馬鹿げた行為を露呈させます。
私も一押しの映画です!(^○^)
by mouse1948 (2007-10-04 20:54) 

ken

争うという行為がいかに馬鹿げたものかを巧く見せていましたね。
ただアメリカにはそれが伝わらないという点が、唯一不満でした。
韓国人はアメリカ嫌いなんだな、多分(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-10-05 12:36) 

魚河岸おじさん

ヨイ作品でした
ボクもポップコーンのシーン
そして、ご飯を笑顔で食べるシーンが大好きです
by 魚河岸おじさん (2007-10-05 16:38) 

ken

「お腹が一杯だと争わない」
そんなメッセージだったかと僕は思いました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-10-07 08:17) 

ノリ

韓流映画、あまり好きではないのですが、これはよかったです。
印象的なシーンがこれでもかというくらい印象づけられていて、
ちょっと宮崎駿作品をパロってるようなシーンもあったりして、面白かったです。
by ノリ (2007-10-16 17:41) 

ken

ノリさんはどんな韓国映画を観ちゃったんでしょうか…(T-T)
この映画のように、佳作も沢山あるんですけどねえ。
by ken (2007-10-16 17:44) 

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