薬指の標本 [2007年 ベスト20]
「薬指の標本」(2004年・フランス) 監督・脚本:ディアーヌ・ベルトラン 原作:小川洋子
これは脳外科医さんが書いた紹介記事をチラ見して知った作品。
何に惹かれたって、まずはこのタイトル。「なんて素晴らしい邦題なんだろう!」と思ったら、このフランス映画の原作は小川洋子さんの短編で、しかも邦題は短編のまんまだと知って、ちょっとガッカリ(笑)。
本編は依頼人が様々な理由で持ち込むモノを標本として保管する“標本室”に仕事を見つけた若い女性と、その雇い主である標本作製士の物語。
この映画はものの見事に「文学」してます。
どう考えてもあり得ない、文学だからこそ許される設定を、フランスの女流監督は一切の迷いもなく映像にし、会話にし、優しい音楽を接着剤にして、100分のフィルムに仕上げています。
原作も読んで見ました。
小川洋子さんの「読者に何も強制しない、少しひんやりとしたタッチ」が全面に出ていて、なかなかの小品だと思います。と、同時にベルトラン監督はこの原作の空気感を見事に映像にしていたと思います。これがもしも原作通り日本で撮っていたら、ここまで再現出来ただろうか?と思うくらいに。
原作を読んで知ったのは、ベルトラン監督オリジナルの設定が本編にあったこと。
「港町の小さなホテルの一室を、造船工場で働く男と、主人公のイリスの2人で時間差でシェアする」という設定。
これは秀逸でした。戯曲でも良かった原作を映画として面白くしたのはこのワンアイディアだったと思います。
それにしても、映画の愉しみはやっぱり「ロケーションと女優」ですね(女性は男優ってことになるんでしょうけど)。
アメリカに憧れていた子供の頃、僕はアメリカのB級映画ばかり観まくっていましたが、最近ヨーロッパやアジアの映画に惹かれるのは、興味の対象が変わったからなんだなと実感しました。この作品もそうだけど、行ったことのない国のなんでもない風景が妙に心に染みるのです。
女優は目の保養になる(笑)。本作もイリスを演じたオルガ・キュリレンコがいい。彼女はウクライナ出身のスーパーモデルだそうですが、摩訶不思議な環境に無抵抗で馴染んでいく様は見ごたえがありました。
僕が思い出したのは、村上春樹原作、市川準監督の「トニー滝谷」。
「原作を読まずとも楽しめる映画であるべし」が僕のモットーですが、この作品も「トニー滝谷」同様原作と共に楽しむ映画だと思います。
これは脳外科医さんが書いた紹介記事をチラ見して知った作品。
何に惹かれたって、まずはこのタイトル。「なんて素晴らしい邦題なんだろう!」と思ったら、このフランス映画の原作は小川洋子さんの短編で、しかも邦題は短編のまんまだと知って、ちょっとガッカリ(笑)。
本編は依頼人が様々な理由で持ち込むモノを標本として保管する“標本室”に仕事を見つけた若い女性と、その雇い主である標本作製士の物語。
この映画はものの見事に「文学」してます。
どう考えてもあり得ない、文学だからこそ許される設定を、フランスの女流監督は一切の迷いもなく映像にし、会話にし、優しい音楽を接着剤にして、100分のフィルムに仕上げています。
原作も読んで見ました。
小川洋子さんの「読者に何も強制しない、少しひんやりとしたタッチ」が全面に出ていて、なかなかの小品だと思います。と、同時にベルトラン監督はこの原作の空気感を見事に映像にしていたと思います。これがもしも原作通り日本で撮っていたら、ここまで再現出来ただろうか?と思うくらいに。
原作を読んで知ったのは、ベルトラン監督オリジナルの設定が本編にあったこと。
「港町の小さなホテルの一室を、造船工場で働く男と、主人公のイリスの2人で時間差でシェアする」という設定。
これは秀逸でした。戯曲でも良かった原作を映画として面白くしたのはこのワンアイディアだったと思います。
それにしても、映画の愉しみはやっぱり「ロケーションと女優」ですね(女性は男優ってことになるんでしょうけど)。
アメリカに憧れていた子供の頃、僕はアメリカのB級映画ばかり観まくっていましたが、最近ヨーロッパやアジアの映画に惹かれるのは、興味の対象が変わったからなんだなと実感しました。この作品もそうだけど、行ったことのない国のなんでもない風景が妙に心に染みるのです。
女優は目の保養になる(笑)。本作もイリスを演じたオルガ・キュリレンコがいい。彼女はウクライナ出身のスーパーモデルだそうですが、摩訶不思議な環境に無抵抗で馴染んでいく様は見ごたえがありました。
僕が思い出したのは、村上春樹原作、市川準監督の「トニー滝谷」。
「原作を読まずとも楽しめる映画であるべし」が僕のモットーですが、この作品も「トニー滝谷」同様原作と共に楽しむ映画だと思います。
いきなりわたくしの名前があって戸惑いましたが(汗・・・)。
観ていただいてありがとうございます。日本ではこの独特な世界を表現し得ないでしょうね。ロケーション、女優ともに素敵でした。
by (2007-04-26 14:02)
黒じゃなく「赤い」靴も良かったですね。
nice!ありがとうございます!
by ken (2007-04-26 14:36)
大好きな小川洋子さんの作品の映画化しかもフランス映画とあって、張り切って劇場に観に行ったのですが、やはり原作に対してイメージがありすぎると映画を観てもあまり得しないという結果でした・・・。私には。
「読者に何も強制しない、少しひんやりとしたタッチ」という、kenさんのあまりに的確な小川作品評に、思わず唸ってしまいました。
ところで、主演の女優さんの顔立ちは、日本の若手女優の山田麻衣子さんに似ていませんか?私はもう途中から山田麻衣子にしか見えなくて。
by デクノボー (2007-04-26 23:42)
この作品は、映画から入って原作へ行く、という流れが良いのかも
知れませんね。
小川作品評は、賛同してくださるかたがいて嬉しいです。
山田麻衣子さんは知りませんでしたが、見てみると確かに似てます(笑)。
知らなくてよかった~。
by ken (2007-04-27 13:48)
しまった!これからこの映画をご覧になる方に、ネタバレ以上に罪な山田情報を提供してしまったかもしれませぬ。山田麻衣子の呪縛は私一人で引き受けるべきでした。って山田さんに罪はないんですけどね。
コメント削除してください・・・。
by デクノボー (2007-04-27 21:34)
ま、若気の至りということでコメントはこのままにしておきましょう(笑)。
by ken (2007-04-27 23:38)
こんにちは。
この原作は3,4ヶ月前に読みました。小川洋子の不思議な世界に
浸れておもしろかったです。でも、映画はどうかなぁと思っていたんですが、
kenさんのレビューを読んで、遅まきながら見ることにしました。
女優さんが魅力的だと、映画がおもしろくなりますよね。きれいで魅力的な女の人が好きです。(もちろん、男優もネ。)
by coco030705 (2007-04-28 17:46)
原作よりも、いい味付けがされている部分もあって、僕は好きです。
coco030705さんはどうでしょうか?楽しみです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-04-28 23:12)