うつせみ [2007年 ベスト20]
「うつせみ」（2004年・韓国／日本） 監督・脚本：キム・ギドク
キム・ギドク作品を観るのは「春夏秋冬そして春」、「サマリア」、「絶対の愛」に続いて4作目。
ここへ来てようやく僕もキム・ギドクの世界観が分かってきました。そして、このタイミングで「うつせみ」を観たのは大正解だったような気がします。なんたって「恐ろしくおもしろい」と思えたから。
毎日留守宅に忍び込んで寝泊りし、日々の生活を送るという主人公の設定がまず面白い。
こういう設定の場合、どこかのタイミングで「ある事件」が起きるのは明白で、観客全員が容易に想像できる事件が待ち構えているからこそ観客の心拍数は不安定になり、これが一種の“吊り橋効果”となって、ただ主人公の日常を見ているだけなのに充分おもしろく感じるのだろう。
しかも観客の興味は「ある事件」にのみ向けられているから、実は主人公の背景が一切描かれていないのだが、そこに不満を感じることもない。これは「観客の興味をリードしさえすれば余計な情報は割愛できる」という応用可能なテクニックで、だからこそ88分というコンパクトな尺にすることが出来たのだろう。大いに勉強になった。
そして「ある事件」は起きる。観客の安易な想像を裏切る形で。
この時点で観客をリードするものはなくなり、我々は一旦放置されることになる。しかしここからが「キム・ギドク」ワールドの始まりだ。一体どんな展開になるかは自分の眼で確認して欲しい。主人公に一切セリフを与えなかった脚本も見事なら、予想もしなかった収束のさせ方も見事。観客にとっては極めて満足感の高い作品だと思う。
キム・ギドク作品はすべてチェックしよう。
「3番アイアン」という原題を「うつせみ」という邦題にしたセンスも秀逸。
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 2006/08/25
- メディア: DVD
キム・ギドクワールドへようこそ（笑）
一晩語りたい監督ですよね
by 魚河岸おじさん (2007-04-10 17:27)
源氏物語しか思い浮かびません（笑）
by ecco (2007-04-10 22:42)
>魚河岸おじさん
お待たせしました（笑）。
西のリンチワールド、東のギドクワールドって感じですね。
完全にハマりました。
nice！ありがとうございます。
>eccoさん
お久しぶりでーす。そうね。源氏物語よね。映画観てますか？（笑）
nice！ありがとうございます。
by ken (2007-04-11 00:21)
キム・ギドクワールドわたくしには？がいっぱい。それでも浸っていたい。
いい映画でした。
by (2007-04-11 09:00)
「？」は埋める必要がないと気がついたら、ギドクマニアになれた証拠です。
nice！ありがとうございます。
by ken (2007-04-11 12:49)
こんばんは。
わたしもkenさんのブログでキム・ギドクのことを色々勉強していたので、
見るのに迷いはありませんでした。そして、見てよかった！と思いました。
ほかの作品もぜひ見たいと思います。
TBさせていただきます。
by coco030705 (2007-04-12 22:16)
キム・ギドク部って作っちゃいますか（笑）。
nice！ありがとうございます。
by ken (2007-04-13 03:05)
弓、面白かった。（レビュー書くまで固まってないっていう感じなんだけど）
そのほかのも少しずつ見て行きたいっす。
絶対の愛、GW中には見に行けるかな。
by 瑠璃子 (2007-04-13 16:29)
弓、って？
by ken (2007-04-13 19:42)
キム・ギドクの映画っす。＞弓
海の上で暮らす少女とじいさんの話なんですけど、なんというか非常に寓話的で余白が多くて、ときどきふと場面がいまでも頭に浮かぶような、不思議な映画でした。ものすごく面白い、とは言い難かったんですけれども、いつまでも印象に残るような。
by 瑠璃子 (2007-04-14 21:48)
すいません。完全に勉強不足でした。
これもおもしろそう。いつか観ようと思います。
by ken (2007-04-15 23:36)
大満足した観客の一人です＾＾
by てくてく (2008-01-26 01:03)
僕は大大大満足した観客の一人ですｗ
nice！ありがとうございます。
by ken (2008-01-26 10:26)
こんばんは。
キム・ギドクは初見でしたが、この世界観・・・凄まじいですね。
他の作品も観たくなるそんな監督でした。
by (2008-02-23 02:03)
僕もすべては制覇していませんが、これからしていこうと思っています。
nice！ありがとうございます。
by ken (2008-02-23 11:27)