Ray/レイ [2005年 レビュー]
「Ray/レイ」(2004年・アメリカ) 監督:テイラー・ハックフォード 主演:ジェイミー・フォックス
「152分もあるのにその長さはさほど気にならない。何故なら、そこに優れた音楽があるからだ」
まず、こう書いておいて、しばし「うーん」と悩んでみる。
何にワタシは悩んでいるのか。
もちろん、「この映画、おもしろいか?」の一点です。
レイ・チャールズ。嫌いじゃありません。レコードもたくさん持ってます(個人的にはビリー・ジョエルとデュエットした「Baby Grand」が大好きなんですけど、まあそれはいいとして)。
だから、レイ・チャールズを否定する気なんてサラサラないのですが、この映画に関しては
「これってただの伝記映画じゃん」
と思ってしまったのです。
確かに僕が知らなかったレイ・チャールズの半生が描かれています。しかもかなり生々しい。
「うわー、レイってそうだったんだ~」
と、いちいち思う。だけどその途中ではたと思い出した。
「あれ?この作りって、ボビー・ダーリンの『ビヨンド the シー』と一緒じゃん」
例えば、こんなコピーがあったとする。
【××××の知られざる生涯を描いた感動のドラマ!】
ここにはめるのが「ボビー・ダーリン」か「レイ・チャールズ」かで、どちらの映画のコピーにもなると思うんです。でも、これって誰の名前を入れても成立するコピーですから、このままだと「いつみても波瀾万丈」(NTV)になっちゃう。
もしも映画の冒頭で「今日はレイ・チャールズさんの波乱の人生に迫ります」ってトメさんが言ったら、まんま「波瀾万丈」の再現ドラマなんですよ。メチャ豪勢ですけど(笑)。
僕がこの映画を素直に「面白い」と言えない理由は、「ドラマ」としての盛り上がりに欠ける気がするからです。
では、何が足りないのか?
一番は人種差別問題の扱いが軽すぎると思う。
少なくともジョージア州での事件はもっと厚く描いておくべきで、それがレイの人生において大したウエイトじゃなかったとしても、ドラマの脚色はここが最大のポイントだったと僕は思います。
レイ・チャールズファンにとっては彼の人となりを知る絶好の機会になるでしょう。
そして、「ビヨンド the シー」のケヴィン・スペイシー同様、ジェイミー・フォックスのパフォーマンスも見どころのひとつです。いや一番かも。だってアカデミー主演男優賞獲っちゃったもんね。
ピアノを弾いているシーンは一部ホンモノ。歌唱はどうなんでしょうか?全部吹き替えかなあ。
こんにちは。
この映画は製作に本人(レイ)がずっと参加してましたよね。
と言うことは、自分が人に知られたくないエピソード(ゴシップ好きがぜひ聞きたいスキャンダル)は、出てこないって事かな~と、勝手に思ってしまいました。はたして、レイにそんなスキャンダルがあるのかは知りませんが(笑)。
歌とピアノも直接指導してたから、吹き替え無しかと思ってましたよ~。ムリか。
by (2005-06-06 17:04)
世間的にバレちゃってることは脚本に入れ込んだ、って感じがしますね。
吹き替え無しはムリでしょう。多分。
by ken (2005-06-06 17:08)
ソウルの神様と呼ばれたレイ・チャールズの伝記そのものでしたね。
ジェイミー・フォックスの演技も音楽も非の打ち所が無い素晴らしさだけど
私としては、麻薬に溺れ壊れていく肉体と引き換えに音楽では成功と名声を
得て行く姿や複数の愛人や家庭の間で苦悩する波乱の人生にもう少し脚色を
加えたヒューマン・ドラマに仕立てて欲しかった気がしないでもなかったです。
by (2005-06-06 22:49)
私の周辺では「良かった」「良かった」大絶賛の嵐だったんですが…私は何となく物足りなさを感じたんですよね…<人種差別問題の扱いが軽すぎる>というのも納得ですね。。もうちょっと違う描き方を期待していたのかな、私が…なーんて思ってしまったり。。。何か何か何かなんですよ(笑)
by (2005-06-07 05:56)
>twilightkumaさん
キレイにまとめたなあ、って感じがする作品ですね。
もっとドロドロでも良かったな。確かに。
>aikaさん
nice!ありがとうございます。
レイ・チャールズの一ファンとしては「いい映画」だと思います。
バックステージを覗いた気になりますからね。
でもなあ~って思うのはやっぱり「映画としてどうよ?」なんですよね。
by ken (2005-06-07 13:19)