お前の番だ！ 348
「良さんは今では、鳥枝建設の有能社員になって仕事の方をガンガンやっていますよ」 　万太郎が横から口を出すのでありました。丁度そこに、一旦傍を離れた宇津利が大きな寿司桶を持って、それに他の稽古生にビー..
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お前の番だ！ 347
　興堂範士の人望と幅広い交友を物語る光景と云えるでありましょう。勿論、各流各派の武道関係者の顔も多く見られるのでありました。 　第一番目の真榊の奉納者は是路総士でありました。それから主だった会葬者が..
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お前の番だ！ 346
「ご苦労をおかけしますが、よろしくお願い致します」 　長男殿が如何にも申しわけなさそうな顔で云うのでありました。 「いや何、･･･」 　是路総士が立ち上がったので万太郎も倣うのでありました。威治..
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お前の番だ！ 345
　流輩の思いがけない淪滅と云う椿事よりも、稽古の絶対不断を興堂範士なら屹度尊ぶように思われるのでありました。興堂範士の生まれながらの茶目っ気やら、社交性やら世間の耳目を集める派手な行動やら、その多岐に..
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お前の番だ！ 344
「参りました。僕如きでは到底及ばないと云う事を痛感いたしました」 　万太郎は木刀を左手に納め、それを右手に持ち代えながら是路総士に一礼するのでありました。肩が僅かに上下するのは、無意識にずっと息をつ..
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お前の番だ！ 343
　この時、万太郎の頬が微かながら笑いを作るのでありました。自分の間抜けと迂闊を心の内で自嘲したために、不覚にも竟そう云う顔をして仕舞ったのでありましょうか。 　不用意と云えば慎に不用意、不敵と云えば..
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お前の番だ！ 342
　万太郎は迂闊に動けないのでありました。攪乱する心算で不用意に微動すれば、是路総士はそこに容赦なくつけこむでありましょう。 　先を取ろうとも、或いは誘いを仕かけて後の先を取ろうともしない是路総士の静..
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お前の番だ！ 341
　確かに万太郎の木刀の物打ちは寄敷範士の右手首を捉えているのでありました。 「いや、それはワシにも見えていたが、相打ちか、際どいタイミングで寄敷さんの切り下げの方が一瞬早く、折野の頭上に届いたと見た..
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お前の番だ！ 340
　寄敷範士の構えは堂々たる正眼でありました。万太郎は下段に切っ先を落とすのでありましたが、これは防御の構えで、相手の先の攻撃に対処するためのものであります。 　この時点で、万太郎は寄敷範士に圧倒され..
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お前の番だ！ 339
「それまで。次あゆみ、行け」 　鳥枝範士が次の万太郎の相手を指名するのでありました。あゆみは木刀を持って道場中央で万太郎と対峙するのでありましたが、何故かその姿からはどこかしら、この試合に及び腰であ..
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お前の番だ！ 338
　狭間がやや及び腰で万太郎の血走った眼に向かって質問を投げるのでありました。 「今日は偶々朝に三先生と内弟子が揃ったので、急遽剣術稽古をする事になったんだ」 「あのう、僕等は参加しなくても良いので..
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お前の番だ！ 337
　是路総士もあゆみも、それに万太郎と来間も夫々の部屋に引き取った時にはもう四更を過ぎているのでありました。来間はこれから寝ると返って朝が辛いと云うので、本でも読んで起きている心算のようのでありますが、..
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