お前の番だ！ 480
「自分もそう思いますが、まあ気にもしません。判っている人には判っている事ですから。それにそんな戯言につきあっている暇もありません。云いたい奴には云わせておけば良いのです。勿論、男が廃るからこちらは一切..
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お前の番だ！ 479
　田依里筆頭師範が如何にして興堂流の指導員になったのかは、花司馬教士から多少は蓋然性のある情報を聞く事が出来るのでありました。花司馬教士の言に依ると田依里筆頭師範は威治宗家の、大学時代の上級生に当たる..
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お前の番だ！ 478
「あの田依里さんと云う人は高校生の頃から空手をやっていて、或る実戦派の空手の団体の中ではかなりの腕前だったそうです」 　来間はそんな情報も万太郎に披露するのでありました。 「なかなか詳しいじゃない..
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お前の番だ！ 477
　それ以上の探索は他流派の内部事情に属する事柄でありましょうから、万太郎の方も控えるのでありました。洞甲斐先生が早晩興堂流を離れる事になろうと云うのは当然予想される結果の内でありましたし、その予想通り..
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お前の番だ！ 476
　三人は体育館近くの居酒屋に席を移すのでありました。注文したビールを待つ手持無沙汰の間に、万太郎は対面に座る田依里筆頭師範に言葉を向けるのでありました。 「先程そこの堂下さんに伺ったところ、洞甲斐先..
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お前の番だ！ 475
　万太郎が一列横隊に並んだ門下生達と別れの挨拶とお辞儀を終えるまで、二人は少し離れた処で控えているのでありました。万太郎がその後二人に近づいて行くと、二人は万太郎より先に、やや深めに低頭して見せるので..
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お前の番だ！ 474
「宗家先生の再三の指令を全くお聞きにならないもので。･･･」 　堂下は眉宇を曇らせながら云うのでありました。 「宗家の指令とは一体何だ？」 「新しく制定した組手の形をちゃんと指導しろとか、年に二..
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お前の番だ！ 473
　その後、洞甲斐先生の消息をふつと聞かなくなるのでありました。それまで洞甲斐先生の一派は八王子の体育館で定期的に稽古をしていたのでありましたが、万太郎がひょっと気づいてみると、それが何時しかなくなって..
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お前の番だ！ 472
「あの人のしている事は、武道と云うよりオカルトに近いですからね」 　花司馬教士も冷淡一辺倒のようであります。 「一緒にはやれないが、我が道を行く分にはこちらも何も云う心算はない。まあ、あの人の鈍さ..
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お前の番だ！ 471
「先ずはお前の若さを見縊って良いようにあしらえると踏んでいたのだろうが、話してみるとお前が思いの外冷厳で強面だったものだから、すっかり上擦って仕舞ったのだろうよ。まあ、時に横柄になったり、かと思うとす..
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お前の番だ！ 470
「少しもめたようだな？」 　鳥枝範士が口の端に薄笑いを浮かべて云うのでありました。 「いや、概ね円満に話しを収めてきたつもりですが」 「折野から今回の移籍話しは断ると聞きはしたが、その確認のため..
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お前の番だ！ 469
「まるで何かの被害者の様なもの云いをされますが、それは事を起こす前の洞甲斐先生の熟慮の方に属する事柄で、こちらに責任をふられても困ります」 　万太郎は相変わらずつれないのでありました。 「結局、移..
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