もうじやのたわむれ 100
「勿論その通りである」 　お地蔵さんはそう云って堂々と胸を張るのでありました。その如何にもあっけらかんとした胸の反らし具合に、拙生は何やら臍の周りがムズムズするような違和感を覚えるのではありましたが..
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もうじやのたわむれ 99
「霊格、と云うものが居住区を制限するのですか？」 　拙生は問うのでありました。 「当然の事だ」 「霊に格があるのですか？」 「それも当然の事だ。居住霊間に格による序列があってこその統一感、一体..
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もうじやのたわむれ 98
「まあ、審問室のヤツ等も結局は地獄省の役人だから、何とかお前さんを地獄に勧誘したいと云う了見で躍起になっておるのだろう」 　お地蔵さんはそう云って顔を顰めて見せるのでありました。 「先程、閻魔大王..
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もうじやのたわむれ 97
「ほいほい、ご随意に。たっぷり満足のいくまでやれば良いわい」 　閻魔大王官は些かげんなりしたような口調でそう云って、今まで乗り出していた上体をゆっくり後ろに引くのでありました。 「では私は、あそこ..
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もうじやのたわむれ 96
「さて、こちらの世の事情やら、それに地獄省、極楽省の大まかな話しなんぞは、審問室で審問官やら記録官から聞いたじゃろうな？」 　香露木閻魔大王官は肘を張った腕を末広がりに広げて、文机の上に掌を着いて、..
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もうじやのたわむれ 95
　拙生はお辞儀をしながら手招きに誘われて部屋の奥に進むのでありました。 「いやいや、ようお出でになりましたのう」 　閻魔大王官はそう云って、未だ手招きを拙生に送っているのでありました。「お手前もこ..
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もうじやのたわむれ 94
　待合室にはちらほらと、拙生と同じであろう閻魔大王官の審理を待つ亡者達が、長椅子にぼんやりと座って前に並んだ審理室の扉を眺めているのでありました。拙生も入口から一番手前にある長椅子に座って、その中に加..
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もうじやのたわむれ 93
　 しかし地獄省に生まれるべきか極楽省に生まれるべきか、これは実に悩ましい問題であります。今までのこの部屋での言葉の遣り取りからすると、地獄の実態なんと云うものは、娑婆で漏れ聞いていたものとは全く違う..
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もうじやのたわむれ 92
「ま、これまでにお話し頂いた事で、なんとなく、こちらの世の様相と云うものは大まかには理解出来ました。有難うございます」 　拙生はそう云って、合掌したままお辞儀をして見せるのでありました。 「なんか..
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もうじやのたわむれ 91
　拙生はそう云ってテーブルを二回指で軽く叩くのでありました。 「まあ、今後の事を専一にお考えになればよろしいかと思います」 　審問官がそう云って律義そうな物腰でお辞儀をして見せるのでありました。 ..
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もうじやのたわむれ 90
　審問官が遠慮がちながら、拙生の論を否定するのでありました。 「準娑婆省は向こうの世と交渉があるわけですから、その辺りがなにやら関与していると云う事は考えられませんか？」 「それはないでしょう。準..
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もうじやのたわむれ 89
　そう云って審問官はヒヒヒと低い声で笑うのでありました。 「この間まで娑婆にいた私が、娑婆にいらした事もない審問官さんやら記録官さんに、こういう事を聞くのも変でしょうが、娑婆にも、こちらの閻魔庁みた..
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