もうじやのたわむれ 165
　鵜方氏が云うのでありました。矢張りつきあって貰うのは止して正解でありました。 「それでは、この辻もうろうろと賑わいの雰囲気の中を散歩して、その後、路地をあちらこちら適当にうねうねと、邪馬台銀座商店..
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もうじやのたわむれ 155
　コンシェルジュも立ち上がって拙生等にお辞儀をするのでありました。 「どうぞ楽しい散歩の時間をお過ごしください」 「あ、これはどうも恐れ入ります」 　拙生と連れの男は一緒に片手を上げて答礼するの..
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もうじやのたわむれ 154
「まあ兎に角、夜の繁華街は危険であると云う事ですね？」 「その通りです。事件は夜に起こります。ですから私としましては、夕方までに施設の方にお戻りになる事を強くお勧め致します。亡者様のためにも。ま、そ..
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もうじやのたわむれ 149
「では街中の散歩に出かけましょうかな」 　男の横に立って拙生がソファーに座る気配を見せずに云うと、男は頷いてすぐに立ち上がるのでありました。立ち上がってみると男は意外に背が高いのでありました。拙生の..
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もうじやのたわむれ 145
「判りました」 　拙生は未だパンフレットを見ながら頷くのでありました。 「それからこちらは、この閻魔庁近辺の見所なんかが描いてある観光案内の絵地図です」 　補佐官筆頭が今度は、これもＢ五判の大き..
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もうじやのたわむれ 142
　補佐官筆頭が、ふり返った閻魔大王官が何か言葉を発する前に、確たる頷きをして見せるのでありました。万事了解、と云う事でありましょう。閻魔大王官はその補佐官筆頭の頷きに満足気にゆったりと頷き返して、徐に..
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もうじやのたわむれ 140
「質量もないので？」 「そうじゃ、あくまでお手前はもわっとした曖昧模糊たる存在なわけじゃ、今のところ」 「透明人間どころか、幽霊みたいな感じですかな、そうすると」 「そっちの方が近いな、娑婆の方..
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もうじやのたわむれ 138
　拙生は補佐官筆頭の危惧を一応理解するのでありました。 「準娑婆省の事は、今後色々対応を考えなければならんじゃろうなあ、地獄省としても」 　そう云った後、閻魔大王官が声の調子をガラッと変えるのであ..
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もうじやのたわむれ 133
「朝起きる時に、寝屁をされるのが習慣なのですか？」 　首を元に戻して、拙生がどうでも良い事を補佐官筆頭に質問するのでありました。 「ええ。その後かけ布団をちょいと持ち上げて、布団の中に揺蕩う気配の..
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もうじやのたわむれ 132
「で、その後に、初雪とか朝顔とか云うお題が出たのですね？」 　拙生が訊くのでありました。 「そうです、先ずは初雪でした」 「ちなみに最初はその季語でどのような句を詠まれたのでしょうか？」 「初..
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もうじやのたわむれ 128
「ちょっとお話しの途中で失礼致しますが」 　拙生は話の腰を折るのでありました。「今、四谷公会堂と仰いましたが、そんな施設が娑婆の新宿区四谷にありましたかね？」 「おや、ありませんでしたか？」 　..
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もうじやのたわむれ 125
「私がこの巻物に句を書き留めるのは、単なるフワッと思いついた句を忘れないための、全く個人的な備忘録としてでありまして、もし大王官殿の今云われた理由からであるなら、ここに態々書きこむ必要はないわけじゃな..
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