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「和傘を作る(1)」 [作品制作のはなし]

地元の広報で募集していた
「和傘を作る」講座に応募したら、見事に当選。
という訳で4回に分けて、1本の和傘を作ることになりました。

第1回:つなぎ
1月13日(日)午後1時〜4時30分

第2回:紙を貼る
1月19日(土)午前9時30分〜午後4時
1月20日(日)午後1時〜4時30分

第3回:かがりをする
2月24日(日)午後1時〜3時30分

調べてみれば、和傘の製作工程は分業制で、
その中も、細かく作業が分かれています。
http://www.kasaya.com/fujisawa/48.htm
4回で、それも限られた時間内で1本の傘を完成させることができるのも
和傘振興会の方々が他の工程を代わって仕上げてくれるからこそ。
講座費用は5,000円ですから…本当、材料費だけですね。
そう考えると、ボランティア精神あふれる、ありがたい講座です。

さて、受付も済ませて、作業台に座っていると
傘の支柱にあたる部分や、傘骨になる、細く割った竹が
振興会のスタッフさんより配られました。
その間に周りを見渡してみると…
私と同世代っぽい社会人らしき方から
お孫さんがいらっしゃいそうな、ご年輩の男女など。
ちょっと驚いたのが、親子も参加していたこと。
娘さんとお父さんというコンビで、
娘さんは…たぶん小学校高学年かもしくは中学1年生ぐらいな雰囲気。
この子が今回の最年少かな。

そして、振興会の会長さんより説明が…
なんとこの和傘講座、もう15年も続いている人気の講座なんだとか。
その証拠に、今回の応募倍率は2倍。
そして、リピーターも多く、「2回目です」「3回目です」という方も
ちらほらいらっしゃいました。

で、見本を見ながら、今日する作業を簡単に説明してもらい
まずは作業のお手本をスタッフさんより見せてもらいました。
ギザギザの歯車のような「ロクロ」に
細く割った竹である傘骨をつないでいきます。

最初は手元に近い方のロクロと、親骨を支える小骨をつなぐところから。
ロクロのギザギザ1つ、1つに45度の角度で穴が貫通しているので
そこに糸を通しながら、小骨を固定していきます。

これは後ほど作業する親骨も同様。
傘の先端にある「頭ロクロ」へ親骨をつなぐ際にも

ロクロのギザギザ1つ、1つに糸を通しながら、親骨を固定していきます。

この際に、注意しなくてはいけないのは、骨にもオモテと裏があること。
そして1つの筒状の竹を順番に細く割いて作っているので
その順番通りにロクロにつないでいくということ。

※作業台左手にあるのが親骨。細く割いてあるため、平らになって置かれている。

傘は閉じると筒状になりますよね。
ということは、通常、根付いている竹の状態である
円筒形になるという訳です。
となると、竹を割いた順番通りにロクロに固定しないと
傘を閉じた際に骨の並びもガタガタになってしまうという訳です。

という訳で、参加者、針と糸、そして傘骨を手に持ち
黙々と糸を通して、ロクロにつないでいく。

私はこういう単純作業大好きなので(笑)楽しかったですよぅ。
こういう小さい穴に糸通すのとか、モチベーション上がる(^^)
最初のうちは順調なんですけど、傘骨がある程度つながれると
今度は、その対面のロクロのギザギザに
針を通す際に先につないだ傘骨がぶつかったりするので
適度にずらしたりして慎重に針を動かさなくてはならないので
少しも気が抜けません。

そして無事に骨がつながったら…
今度は、骨をつないだ後に骨に紙を貼る際の支えになる糸
「軒糸」をつけるのですが、これがもう本当に怖かった。

とにかく、傘骨の細いので。
中でも特に小骨は短くて細く…本当に怖い(-公-;)
親骨に、二つに割いた小骨の先端をかませて糸を通すのですが…
ちょっと指ではじくと小骨が折れそうで
「おぉ。怖い、怖い、怖い…」と、どうしてもぶつぶつ独り言が
多くなってしまう(あんたが怖いよ…笑)
それにこの軒糸、ねじれてしまうと、傘にした際に上手く開かない
という支障も出てくるため、ねじれがないように通していかなくてはならない。
ところが、糸は3本取り(針に糸が3本通してある状態)
普通に通しただけでも、どうしても糸に「より」が出てしまい、
結果、ねじれ全開の糸達がそこにできてしまう。
「あぁ…おとなしく穴に通っておくれよぅ」と、へこみながらも
手で逆回転にねじっては糸の「より」を戻して、まっすぐにしてみる。

軒糸を通す作業を開始してしばらくすると
小骨などを折る人があちらこちらから出てくる訳で…
「先生〜っ!骨折れちゃいました!」という声が教室にこだまする(笑)
先生=スタッフさん達も、あっちの受講生見たり、こっちの受講生見たりと大忙し。

振興会の会長さんが『今回のつなぎが一番、難しいですから』
と言われていたのにも納得。いやはや苦労しました。
とはいえ、今日の作業が完成して、ほっとひと安心。


何より、傘の形に近づいたのがうれしいですね。


あくまで骨ばかりなので…まるで追いはぎにあった傘みたい(笑)

今日の作業が終わった人から、スタッフさん達が出してくれた見本の中から
来週貼り込む傘の紙色を選ぶことに…

どれも素敵な色だったのですが、
赤や紫は普通っぽい気がしたし…
シックな色目が好きなのでね(^^;)
おまけに以前に仕立てた結城紬にも合いそうな雰囲気もしたんで。
どの和服にも合いそうだなと思って青紺にしました。

すると会長さんが『はい、ユキヲさんは紙色は新橋ね』
というので、「?」だったんですが…
実はこの青紺色、新橋の芸者さんが羽織に使っていた色だそうで
そこから「新橋」という色の名前になったんだそうです。
ちなみに「新橋」カラーは女性の受講生に大人気でした。

という訳で時間通りにこの日は終了することができました。

一番、面白かったのは、親子で受講していたあの父娘コンビさんかなぁ。
娘さん、たぶん思春期なんだと思うのですが…
お父さんの言うことに全て「嫌っ」って返すんですよ(苦笑)
で、お父さんはと言うと…これがまた娘さんが気になって仕方がない。
例えば…
娘さんが作業を少し失敗すると、すかさず手を出そうとする。
それで娘さんが渋い顔になり『自分でやるっ!』と怒る(苦笑)
そうかと思うとお父さんの方は「ちょっと貸しなさい」とムキになる(滝汗)

そんなことが何度かあったので、最後には振興会の会長さんに
「お父さん、娘さん一人でやりたかっているから…
 娘さんにやらせてあげなさいよ」と
たしなめられていた(笑)

幸か不幸か、その親子さんとは同じグループではないようなので
(紙貼りの作業は日程をずらして10人ずつに分かれて作業するのです)
来週は親子バトルは見る事できないようです(笑)
次回会うとしたら、2月に作業する最後の工程の糸でかがる作業の時かな。
お父さん、娘さん、仲良くしてくださいよ。本当。
聞いているこっちは気が気でないんですから(-公-;)
あと、お父さんも、和傘についていろいろと
スタッフの方に聞きたいのはよくよく分かるのですが
講座の作業工程以外のことを
スタッフさんに質問攻めするのはやめましょう(苦笑)
これにはスタッフさんも苦笑いしていたなぁ(汗)
っていうか、お父さん、スタッフさん長いことつかまえて
ほぼ、マンツーマンでしたよ(爆笑)
スタッフさんが他の受講生さんのフォローができませんから…
お父さんひとりでスタッフさんを独占するのはやめましょうね(笑)

さて、来週は紙貼りですよ。
そうそう。時代劇で浪人さんがよくやっているあの風景ですよ。
2日がかりの作業になるので大変かもねぇ…ふうっ。がんばりますよぅ。


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tanuki

ユキヲさんのおかげで、普段なかなか身近に見ることのできない和傘の仕組みがよくわかって勉強になります。(^^)
本当に繊細な部品や作業なのですね~。
受講生の方々の年齢構成から、老若男女全ての層に人気があるのがわかりますね。
紙の色の呼び名が粋で素敵です。

その父娘参加の人・・・
なんでお父さんついてきてんの!?って感じですね(苦笑)
未成年は保護者同伴なのかしら?
娘さんからしたら、いや、周りの受講者全てにとって迷惑なオヤジですな(爆)
私がその親父の近くに居たら、速攻「すんません、もうちょっと静かにしてください。娘さんがご自分で作業されるつもりなんだから見守ってたらええやないですか」と説教してやるんだけどな~(笑)
バカ親ってどこにでもいるんですね。
スタッフの方も、もっと強い態度で出たらいいのにね~。

紙貼り、大変だと思いますが、ユキヲさんならきっとキレイに出来上がると確信しておりますので、楽しんできて下さいね♪(^^)
by tanuki (2008-01-15 21:53) 

ユキヲ

>tanukiさんへ
こちらにもnice&コメントありがとうございます。
もう、本当。いつもの着付のお稽古などとは違って
受講生がバラエティー豊かでもうココロの中で爆笑しっぱなし。
おばあちゃんクラスの人だと
「もう、目も良くないし…あたし、この中で落ちこぼれだわぁ」
とクヨクヨするし(笑)そしてその横でなだめるスタッフさん。
もう人間ウオッチング大好きな私には、面白すぎる空間でした。
もちろん、作ること大好きな私にとって、和傘作りは
本当に興味深かったですし、貴重な体験でしたね。
今週末の紙貼りも未知の世界なのでドキドキものです(^^)

あ、例の親子さん。
私も相方も知人の工作の先生の教室のお手伝いしたことあるので
よく分かるんですけど…工作などは親の方が楽しんじゃって、
子供の分まで手を出しちゃうってことよくあるんで…
今回の親子さんも、そういうタイプかなと(^^;)
あとは極度の心配性の方とか、何度も先生呼んで
確認しないと先進めない方とかいらっしゃるので…
「いやはや、いろいろな方がいらっしゃるなぁ」と
毎回、お手伝いする度に私も別の意味で勉強になってます。
(^^;)
にしても、2月の最後の講座では、なんとしてもその親子さんには
仲良く受講してもらいたいものです(苦笑)
だって、親子バトルが嫌でも耳に入ってくるんですもの(^^;)
by ユキヲ (2008-01-16 00:18) 

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