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2007-12-04 バースデーイベントレポート その2 [イベント]

前回までのお話はこちら

イベントレポートその2です。


この店の掟(おきて)によると、「チケットを持つものに当日のキャンセル待ち券を渡すことはできない。」という。
なので、俺が”友貴奈ちゃん”に会えるのは1回限り・・・。

”おにいちゃんっ!!”が死ぬ間際に俺に手渡した一枚のチケット
そして形見のデジタルカメラ・・・。
「友貴奈ちゃんに・・・。あの子にこれを・・・渡して・・・くれ。」
息も絶え絶えに手渡された1枚の肖像画・・・。
(すでに梱包されている。)

そして俺が船から持ってきた木製の収納箱(チェスト)。
(ふろしきに包んである。)
間違っても、”タコ人間の心臓”などは入っちゃいない。
友貴奈ちゃんは、タコが嫌いらしいからその辺は気をつけた。
まあ、心臓(ハート)の形をしたものが入ってるという意味では同じだが・・・。

 ファンの方たちに励まされて列に並んだ俺。
ファンの方たちが持っているプレゼントの袋をチラッと見てみると、ピンク色を基調にした夢見るようなデザイン。
お!ハツカネズミのキャラクターで有名な遊園地の袋もあるな。
{俺は海のある方の遊園地でバイトしたことがある。
(船の修理代の借金がなかなか返せなくて・・・)
”カリブの海賊”っていうアトラクションで、ちょこっと顔出してる。}
友貴奈ちゃんという子はきっと、お姫様のような女の子なんだろう・・・。

 などと想像していたら、ついたての奥からその姿が見えた。
しかし顔だけは物陰に隠れて見えない・・・。
細い足。白いソックス。綺麗なピンクの洋服。可愛らしく上品なピンクのブーツ。胸元まである綺麗な長い髪・・・。
まさに夢見るお姫様だ・・・。
俺のような野蛮で汚らしいならず者を見て、どんな顔をするんだろうか・・・?

 

 そして俺もついたての奥に導かれた。
いよいよ目にするその姿は・・・。

なるほど・・・。かわいい。そして綺麗だ。

しかし、やや緊張しているのか無邪気な笑顔ではないな。
(まあ、姫にしてみれば遊びに来てるわけではないので当然といえば当然だが・・・)

あ!一瞬、目が合った!
しかし何事もなかったように写真を撮られる友貴奈姫。
しかし俺には、目が合った瞬間、表情をわずかに曇らせたように見えた。
眉が一瞬だけ、ハの字になったように見えた。
それからも友貴奈ちゃんは、ファンの方たちと笑顔でふれあい会話し、握手をしていく。
まったく動じない。
しかし、「気のせいだ」と、言われればそのとうりなのだが、どこか落ち着かない・・・。
俺にはそんなふうに見えた。
   
そして俺が、友貴奈姫と対面するときがきた・・・。
俺がゆっくりと友貴奈姫の前にでると・・・。

 困ってる!?・・・ように見えた。

 笑顔で俺を見てるんだけど、何か感じる。
目に見えない冷や汗が見えるようだ。

 俺 「はじめまして」

 友貴奈姫「・・・・。」

 笑顔で軽く会釈する友貴奈姫。瞬きを何回か繰り返している。

 俺 「今日は誕生日だということじゃないか。そこで、誕生日プレゼントを持ってきた!」
と言って、”おにいちゃんっ!!”からのプレゼントを、教壇の上に置く。
(ディズニーのキャラクターの袋に入れてある。)

 友貴奈姫 「ありがとうございます!(*^^)」

 俺 「それと、これは・・・。」

そう言いながら俺はふろしきをひもとき、木製のチェスト(収納箱)を友貴奈姫に見せた。

俺 「これは、俺が世界の果てで手に入れたものだ!もらってくれ!」

 友貴奈姫 「( ゜ ρ ゜ )???」

 やや固まったような笑顔で俺を見たあと、助けを求めるように付き人(マネージャーさんと言う名前らしい)をチラッと見る友貴奈姫。

 うぬ?おかしい。俺の予想だと、手をたたいて喜んでくれるはずだったのに・・・。

 しかしそんなことを気にしてはいられない!

俺にはまだやらねばならない使命があった!
おにいちゃんっ!!に頼まれていたことがあったのだ!!



おにいちゃんっ!!「ごほっ!!(咳き込む)・・・君にやってもらいたいことがあるんだ!友貴奈ちゃんに夢のような時間を見させてあげてほしい・・・。」

俺 「夢?」

 おにいちゃんっ!!「そうだ!イリュージョンだ!」

俺 「イリュージョン?」

おにいちゃんっ!!「・・・マジックともいう。しかしそれは現実にはありえない素敵な夢を見せるイリュージョンなのさ!世界的に有名なところでは、テンコーとか、サングラスをかけた凄腕のイリュージョニストがいる・・・。」

俺 「俺にそれをやれというのか?」

おにいちゃんっ!!「そうだ!あの子の夢を叶えてあげるのさ!あの子は今年の七夕の願い事に、”犬がほしい!”って書いたんだ。・・・だけど、僕には犬を買ってあげるだけのお金が無い・・・。だから、せめて、イリュージョンでひとときの夢だけでも見せてあげたい・・・。」

 俺 「・・・そんなことで喜ぶのか?」

おにいちゃんっ!!「きっと・・・。前にも見せたことがあるんだけど、後で聞いたら”おもしろかった”って言ってくれたし・・・。」

夢見るように遠い目をするおにいちゃんっ!!・・・。そしてボソっとつぶやいた・・・。

 おにいちゃんっ!!「”・・・糸が見えました。”とも言われたけど・・・。」

 ・・・それって失敗ってことじゃないのか?(^-^;

おにいちゃんっ!!「げほっ!!(咳き込む)(息も絶え絶えに)今から・・・その技を・・・君に伝授するよ・・・。」

残り少ない命を完全燃焼させるかのように”おにいちゃんっ!!”は、立ち上がった!

 俺 「こ、これは!!」


あまりにもすごいものを見た俺は、”こんなものを俺ができるのか?”と心配ではあったがやってみた。

俺 「友貴奈ちゃん!友貴奈ちゃんは子犬を飼いたいって言っていたね!今日は、子犬を持ってきたんだ!」

 友貴奈姫の目前で、肩からかけた革のショルダーバッグに手を入れる。

あった!

そしてそれを取り出して友貴奈姫に見せる。

(ビーズでできた犬。制作時間10秒。大きさがわかりやすいようにライターを並べています)

 友貴奈姫 「・・・(・_・;」

固かった笑顔がさらに固まる・・・。

 しかし、驚くのはまだ早い!

 「さらに!」

 俺はそう言って再びバッグの中に手を入れる!

・・・!どこだ!?あれ?Σ(; ̄□ ̄A アセアセ

あ!あった! 取り出したものはシルクのハンカチ。

 「これを・・・」

 言いながら子犬をハンカチの上に乗せ包んでいく。

 「包んでいくと・・・。」

 そしてハンカチに包まれた子犬を友貴奈姫の前に見せ

 「鳴きます・・・。」

 ・・・スイッチ・オン。

 「キャン!キャンキャン!」

 ・・・。

 友貴奈姫の顔を見ると、驚きのあまり声も出ないようだ。

目をぱちくりして引きつった笑顔でマネージャーさんの方をチラチラ見ている。

 ・・・天国のおにいちゃんっ!!・・・。良かったな・・・。友貴奈ちゃん・・・。喜んでくれたよ・・・。・・・たぶん。

俺 「はい!プレゼント!大事に可愛がってね!」

子犬を渡す。

友貴奈姫 「ありがとうございます!(^-^;」

マネージャーさん「じゃあ、サインしてもらいますね。」

 俺 「”○○○・○○○○さんへ”って書いてもらえるかな?」

 友貴奈姫 「(・_・?)???」

 良く聞こえなかったのか、それとも俺のことを全く知らないのか、助けを求めるようにマネージャーさんをチラチラ見る友貴奈姫。

マネージャーさん「○○○さんだよ(*^^)」

 俺 「そう。○○○・○○○○!おわかり?」  

そして黙々と色紙にサインを書く友貴奈姫。
ここで友貴奈姫の可愛さをほめようと思ったが、できなかった。
時間も時間だし、何よりも、この俺が女を褒めることに照れくささを感じてしまったから・・・。
 

 おいもや店主「じゃあ、写真撮影4枚お願いしま~す。」

 俺 「じゃあ、お姫様のポーズで。」
・・・ポーズのこと、何も考えてなかったな・・・。

 マネージャーさん「座ったままですか?」

 俺 「!いやいや!あの・・・立って!」

 友貴奈姫立ち上がる。

マネージャーさん「どんな感じにすればいいんです?」

俺 「スカートの裾持ってこんな感じで!」
自分で可愛らしくポーズをとってみせる。

 一瞬退く友貴奈姫。

・・・こ、このカメラっていうのはどうやって使うんだ?おにいちゃんっ!!は”ボタン押すだけでいい”って言っていたが・・・。 かなりテンパリながらも全身撮影。

おいもや店主「2枚目いきまーす。」

 テンぱっているので適当なポーズをリクエストしてしまう。

 俺 「”お願い”ポーズで!」

おいもや店主「じゃあ、3枚目いきまーす。」

俺 「じゃあ、泳いでるところにしよう!」

 友貴奈姫「Σ(^∇^;)???」

 俺 「クロールで泳いでいるところ!」

 それを聞いた友貴奈姫は、今までにない笑顔で笑ったような気がした。

 思わぬリクエストだったのからなのかもしれない。

思わず見れたその笑顔が一番可愛かった!

カメラを向ける。クロールよりもさっきの笑顔が撮りたかった。
・・・ズームってどうやるんだ?あ、これか? ズームで撮ろうと、構えているうちにさっきの一瞬の笑顔とは違う笑顔になってしまった。

4枚目。

俺 「今度は平泳ぎでいってみよう!」

 そしてまた、さっきのような笑顔で笑った。

 俺 「お!かわいい!その笑顔がかわいい!」

 結局、クロールや平泳ぎまでしてもらったのにも関わらず、顔しか映ってない写真を撮ってしまう俺。  

おいもや店主「じゃあ、チェキ2枚いきまーす。」

友貴奈姫と並ぶ俺・・・。
マネージャーさんが、チェスト(収納箱)をしまい始めたのを見てふいに思い出した!!

 忘れてた!!!

鍵!!!

箱に鍵を掛けたままで、開けるための鍵を持ってくるのを忘れていた!!

鍵は船の中だ!

 とりあえず、横に並んだ友貴奈姫にそのことを伝える。

 俺 「すまん!箱には鍵がかかってるんだが、開けるための鍵を忘れてしまった。今度持ってくるからとりあえず箱だけもらっておいてくれ!」

 友貴奈姫 「( ‥) ???」

 おいもや店主「はい。一枚とりまーす。」

 友貴奈姫はなんのことかわかってないようだが、箱を手にすればわかるだろう・・・。  

 チェキでの撮影のうち、2枚目はおたがい見つめあいながら撮ってもらう。

ちゃんとこの子は俺の目を見てくれるんだなあ。
普通の人間より水分が多いんじゃないか?とすら思える目だ。
例えるなら水鏡のような感じだろうか?
この子は俺の目を見てどう思っただろうか?



たぶん、”目の下にクマができてる~”って、思っただろうな。

(^-^; そして別れ際、握手をかわす。

友貴奈姫「ありがとうございます!」

 俺 「ありがとう!また会いにくるからね!!」

 そして、去り際振り返って手を振ってみるが、当然のごとく友貴奈姫は、次のファンの方とあいさつをしていて、こっちなど見ていなかった(^-^;

イベレポその3につづく

 



 イベレポその3の予告

死んでいった”おにいちゃんっ!!”の思いを胸に友貴奈姫との対面を果たした俺!
その先に待っていたものは、漢(おとこ)たちが築き上げた熱い想いの結晶!美しくも雄大な山そのものとも言える巨大なケーキの登場であった!! 第3部につづく!
 


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コメント 2

LIMO

こんにちは。(^_^ )
これほどの文章を書く才能があって羨ましいです。
読んでてとても面白いです!
なんだかいろいろあってすごい楽しいイベントだったようですね。(^_^ )
私は友貴奈ちゃんのイベントに参加したことがまだないので、
いつか参加してみようと思います。
(イベレポその3早く読みたいな~)
by LIMO (2007-12-05 12:07) 

おにいちゃんっ!!

90%実話ですからね。想像と違って書きやすいですよ(^^;)
かなりひんしゅくもかいそうなこの、イベレポ。
面白いと思っていただけると、幸いです(*^^)
by おにいちゃんっ!! (2007-12-06 10:06) 

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