聴覚障害のある方へのAT/AACその2 [e-AT・AAC(試験対策)]
聴覚障害のある方へのAT/AACその1からの続き,今回は支援機器の紹介,ということで早速….
- 電話の支援機器
骨導式の電話機など専用のものは販売・レンタルが行なわれているが,簡易に音を増幅する補助機器もある.具体的には電話機と受話器の間に増幅器を取り付ける「外付型」のものと,受話器に直接増幅器を取り付ける「カプラー式」のものがある.専用の電話機は「福祉電話」の項目で日常生活用具の貸与対象品目となっている.
- テレビ電話
話し相手もテレビ電話を使用していることが条件にはなるが,視覚を用いることでより深いコミュニケーションが可能となる場合がある. - ファックス
文字,イラスト等の視覚情報を伝達するのに有効である.ただし弱点として一方向にしか情報を伝達できない点が挙げられる.なお「ファックス」は日常生活用具の貸与対象品目となっている. - 携帯電話・PHS
電話としての機能だけではなく,情報収集のツールとしても利用可能である. - 聴覚障害者用文字電話(TDD)
キーボードと表示装置(LED)があり,文字のやり取りによってリアルタイムでのコミュニケーションが可能な電話機のこと.なお,TDDは“Telecommunication Devices for the Deaf”の略である.また「聴覚障害者用通信装置」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている. - 電話リレーサービス(TRS)
聴覚障害者用文字電話を持たない人と使用している人の間にオペレーターが入り,内容の取次を行なうサービスのこと.なお,TRS=“Telephne Relay Service”の略である.
電話関連の商品・サービスの詳細については下記サイトをご参照下さい. - メール・インスタントメッセンジャー・チャットなど
インターネットの発展により上記のようなツールについても聴覚障害者への支援機器として使用されている.
- 呼び出し装置
聴覚障害者の場合,例えば人が来たときのチャイムの音や目覚まし時計の音(アテンションゲッタ…注意を引くための合図),赤ちゃんの鳴き声など生活していく上で必要となる音声のフィードバックが得られないため他の方法でフィードバックし合図にしなくてはならない.よく使用される方法としては大きく分けて2つあり,ひとつはフラッシュライトや回転灯などの視覚によるフィードバック,もうひとつがバイブレーターを用いた振動によりフィードバックである.
なお,呼び出し装置については「聴覚障害者用屋内信号装置」の項目で日常生活用具の給付対象品目となっている.
具体的な商品については下記サイトをご参照下さい. - 字幕放送
日本で行なわれている字幕放送はクローズドキャプション方式と呼ばれ,外付の専用デコーダを用いるかデコーダを内蔵したテレビを使って見ることが可能である(ちなみにアメリカでは13インチ以上のテレビは必ず字幕放送用のデコーダを内蔵していなければならないと法律で定められている).ただし,現在(2005年)の段階で字幕放送がおこなわれているのは一部の番組のみである. - 文字放送
専用のデコーダを使用することで,通常のテレビ放送の周波数帯のすきまを使用した独自の文字放送を見ることができる.字幕放送用デコーダ・文字放送用デコーダに関しては「聴覚障害者用情報受信装置」の項目で日常生活用具の給付対象となっている. - パソコンの利用
聴覚障害があること自体はパソコンの使用にそれ程大きな支障とはならないが,音声フィードバックが無いことが問題となる.このことは「パソコンのアクセシビリティその5」をご参照頂きたい.
むしろCAIとして聴覚障害児の言語指導(ことばを覚えるための教育)のためにパソコンのソフトウェアを利用するケースが多い.
「聴覚障害ののある方へのAT/AAC」はとりあえず以上でおしまい.次回は「視覚障害のある方へのAT/AAC」に入っていくのでよろしく.
参考文献・サイト
- 福祉情報技術 II 生活を支援する技術編
e-AT利用促進協会 監修 - 福祉情報技術 I 障害とテクノロジー編
e-AT利用促進協会 監修 - 福祉情報技術コーディネーター認定試験
e-AT利用促進協会 監修 - アダプティブテクノロジー ~コンピュータによる障害者支援技術~
ジョゼフ・ラザーロ 著/安村通晃 監訳/島原信一・中村美代子・石田直子 訳 - こころWeb
こころリソースブック編集会
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