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あんさんなにそんなにおこってはりまっか? [音楽業界]

久しぶりにまともな時間に夕刊などという紙媒体を拝読していて、興味深い記事に眼が釘付けになりました。文化欄ですから、ウェブには上がらないでしょう。東京の音楽業界の方にはお馴染み、朝日新聞文化部の吉田純子記者のクリーンヒット、ちゅーか、ピッチャー強襲内野安打、というか、振り逃げホームラン、かも。

本日、3月16日、朝日新聞東京夕刊7面文化欄です。「クラシック演奏会トラブル急増~キレる客対策、業界本腰」というなんとも刺激的な題です。ほーれ、読みたいでしょ。今、夜の9時前、まだ駅のキオスクなどは閉まるギリギリですけど、売ってると思いますよ。コンビニって夕刊あるんだっけ。ええ、浜離宮朝日ホールのロビーには、その日の朝日夕刊が山積みになってもってけどろぼー状態になってますけど、あんな場所は他にはないでしょうね。築地の朝日東京本社も、壁新聞にして貼ってる場所はなかったような気がするなぁ。聖路加の向こうの日刊スポーツは、ベタベタぁって貼りだしてますけど。

知ったような東京の業界関係者ばかりが次々登場するその内容、纏めれば以下。
①半年くらい前から、携帯のアクセサリーの音がうるさいの、チラシが煩いの、主催者に詰め寄ったり、終演後に喧嘩になってる客が目立つようになってきた。最近は常連客が突如キレる。
②ここでNJPのK氏登場!精神科の先生が、最近の聴衆はヘッドフォンで密閉した状態で音楽を聴くのに慣れているからでは、と分析。
③オケや主催者ではいろいろ対策に頭を悩ましている。東フィルの名物広報(おお、今は渉外部長ってポストなのか)M女史が、ちょっと前から業界内で大問題になってる「東フィルの演奏会ではチラシを撒かせない」(自前のチラシの挟み込みはOKらしいけど)というポリシーについて弁舌を振るう。他にも、ジャパンアーツ、シティフィル、オケ連などの対応について列挙。
④大フィルの事務局の方の話(なぜかソース名なし)として、「大阪では主催者を巻き込んでのトラブルはほとんどきかない」というオチ。

いやぁ、オチが痛快ですね。つまり、「東京では文句があるとキレる幼児化現象が進んでいるのではないか」っちゅー、限りなくネット上の繰り言に近いエッセイだもの。編成さん、よくこの原稿でOK出したなぁ。小生が編成デスクだったら、全面ボツにするか、せめて最後の部分はなんとかしろ、と突っ返すでしょうね。いやぁ、書いた方も通した方も、あんたら偉い!
新聞という媒体は、原稿の絶対量が小さいため、事前に結論を設定しコメントを取るのが普通です。ですから、この大フィルの方みたいな書き手が予想もしていなかったようなコメントが来ると、嬉しくなってオチにしたくなっちゃうんですよねぇ。書き手の気持ちは手に取るように判るぞ、うん。

「演奏会でキレてるいい大人」ということなら、小生も数週間前に似たような経験をしましたっけ。お昼のコンサートで、ピアニストの小山さんの演奏会だったんだけど、小生の並びに座ってたオッサンが、1曲目が終わったとたんに、後ろに立ってるレセプショニストさんのところに吹っ飛んでって、ビニール袋だかをカサカサさせる音がうるさい、とくってかかってます。アヤシイオッサンがおるなぁ、と思って注意してたら、なんだか凄く神経質な方のようで、最後のショパン作品22では前半のアンダンテで周囲の客席に余程気にくわないことがあったらしく、いきなりアンケートの紙を引っ張り出し、カリカリ音を立てて一生懸命なんか書き始め、大いに盛り上がるポロネーズの間中も必死にお書きになってる。おじさんおじさん、本末転倒ちゃうんない?、と肩を叩いてさしあげようかと思ったけど、そんなことしたらかえってげきこーするじゃろなぁ、と、微笑ましく(些か呆れて)眺めておりましたとさ。

客席でのレギュラークレーマーというのは、聴衆の皆さんはご存じないでしょうが、昔から札付きの人が常に何人かおり、業界中に要注意情報が流布してます。今もあります。そんな情報が出まわってるなんて、本人は想像だにしていないでしょうけど、狭い業界ですからねぇ。でも、この吉田記者の記事は、「普通のまともな聴衆が、最近、いきなりキレ出した」という①の部分が重要みたい。

ううううん、そーかなぁ。ま、彼女はそう思ったんだろうなぁ。②の精神科の先生の分析は、まあテレビのワイドショーのコメンテイター程度のトンデモ見解と思っておくべきでしょうね。コメントを求められて、その場で適当に言いつくろった感がありありのご意見、ご苦労様です。③の各論は、へええ、勉強になるなぁ。それにしても原稿のテクニックとすれば、④で落としちゃっていいんかね!いやはや。

この話を読んで思いだしたのは、未だに東京の業界に伝説として流布している「朝比奈隆演奏会フライングブラボー男リンチ未遂事件」ですな。内容は、述べたまんま。サントリーホールでの朝比奈御大の東京公演で、曲が終わった直後の音の余韻に浸っていたいときにブラボーを叫んだ男が、終演後にPブロック裏の人目につかないところに連れ込まれ、音楽を静かに聴きたいファンらから殴る蹴るの暴行を受けそうになって、スタッフが必死に止めに入った、という想像するだにおっそろしい事件です。

これ以上書いていると誰もコンサートに来なくなりそうなので、もう止めましょ。なんであれ、吉田記者の記事、図書館ででも読んでみて下さいな。

追記:なんと、この記事、ウェブに上がってます。なぜか記者の著名はウェブにはありません。http://www.asahi.com/culture/music/TKY200703160235.html
何日間かは読めるでしょう。それにしても、こういう記事までウェブに載せちゃうなんて、もう紙媒体の新聞は買わないでも結構ですよ、と自分で首を絞めてるんじゃないかいな、大川向こうの新聞屋さん。


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