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だれかロクシンを知らないか [売文稼業]

ギリギリの現状報告である。

新日本フィルハーモニー交響楽団の若き音楽監督、クリスティアン・アルミンク氏は、いい男である。
好人物である。妻を愛し娘を愛する良き家庭人である。パワーで押すタイプではないけど、フワッとした優しさにいつの間にか説得されているような音楽も、いかにもこの人らしい。

でも、ひとつだけ困ったことがある。

調べようのない作品を取り上げるのが好きなのだ。
なのに、ご自身は、作品をマニアックに調べ上げ、周囲に説明したがるタイプの方ではないのだ。

ところで今、11月定期演奏会で取り上げられる、アレクサンダー・ロクシンの交響曲第1番「レクイエム」の当日プログラム原稿を書いているところである。
ロクシンという作曲家をご存じの音楽愛好家は、おそらく、日本語文化圏では、(この演奏会の告知があるまでは)3ダースはいなかったろう。いや、もっと少ない、かな。

なんであれ、それくらいの知名度の作曲家だ。

アルミンク監督は、「どうもテレビかなにかで放送したのを耳にし、これはスゴイ、やりたい、と思ったらしい(桑原浩新日本フィルハーモニー交響楽団事務局長談)」とのこと。それ以上のことは、監督自身、あまりよくご存じないらしい。

目の前に、ロクシン交響曲第1番の総譜(表紙からして手書きで、キリル文字と思われる言葉がのたうっているのが目に入る)と、合唱団のためのピアノ譜がある(意外にもとても読みやすいちゃんとした譜面)。音もある(無論、ライブ録音)。ロクシン自身による短いバイオグラフィーもある(データの羅列みたいなものだけど)。ロクシンがなぜソ連で埋もれた作曲家になったかを論じたかなり大きなエッセイもある(但し、ロシア語…)。
うん、もう解説を書くに充分だぞ。

でもね…なんでこの曲が「レクイエム」なのか、どこにも書いてないのです。

うううううううううん。

これから、NJP事務局に教えていただいたロシアのロクシン研究家の方に、以下のような内容の電子メールを送るのである。
「この曲の説明を書かねばならないのですが、どこを調べても、なぜレクイエムなのか判りません。お願いです。教えてください。」

締め切りはあと数日。

さて、この危機を乗り切れるかっ。乞うご期待。


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コメント 4

Hayes

はじめまして,ロシア音楽好きの者です。
ロクシンの第1交響曲ですが,作曲者はこの作品を「グラーグ(ソ連の収容所)とナチの収容所の犠牲者の追憶に」捧げています。
http://www.prima-news.ru/eng/news/news/2002/5/30/10573.html
「なんでこの曲がレクイエムなのか」というのはそういう意味ではないかと思うんですが,求めておられる答えを外していたらすみません。
by Hayes (2005-09-27 21:03) 

Yakupen

おお、ありがとうございます。
こういう情報が、「●●らしい」ではなく、「どこそこに載っていた」という、万人に裏が取れる形で存在していてくれることが、なによりもありがたいのであります。おかげで、書けます。
それに、この記事の視点は、ロクシン自身が語っているバイオグラフィとは、些かというか、かなり、ニュアンスが違ったものになっているのが興味深いところです。やはり、ソ連時代には言えないことが、21世紀には言えるようになってるのですねぇ。その意味でも、非常に有り難い記事でありました。

心からご協力有り難く思います。なんか、同じことを繰り返すばかりになりそうなので、これしか言えませんけど。できれば、「この情報は○○さんからの提供によります」と記したいくらいですが、それも出来ませんのが心残りです。
by Yakupen (2005-09-28 00:23) 

Yakupen

有り難うございます、のコメントを入れて、冷静に考えたら、どうして「Lokshin requiem」でGoogle検索をしなかったか、自分のアホさ加減に呆れ返っております。

教えていただいたPrima Newsの英語版記事、どこをどうみても、「ロクシンの声楽レクイエム」としか書いていないんですね。交響曲第1番、とはまるで記されていない。この記事を読んだ人で、この曲が「交響曲第1番」であると判る人は、冗談じゃなく、曲のことを既に知っている人だけでしょう。
これじゃあ、「Lokshin Symphony No1」でいくら検索しても出てこない。

だって、本人の手書きスコア表紙には、ロシア語でも英語でも、
              Symphony N1
               (Requeim)
と書いてあるのです。カッコの中の方がメインの題にされようとは、ちょっと思わないわなぁ。甘かった。この記者の接したモスクワでの演奏会では、そのような表記だったのかしら。

ことによると、この演奏会の内容をオーストリアに配信したテレビニュースとか、ドキュメンタリーを、我らがアルミンク監督が視たのかもしれないですね。時期的にバルシャイの初演を知らないはずのアルミンク監督が、どうしてこの曲に出会ったのか、訊ねておいてくれと事務局に頼んでいたのだけど。←ちょっと愚痴。いや、いいんですよ、今、推察はついたから。

というわけで、なにやら繰り言でした。人前でお恥ずかしいことをお見せします。
by Yakupen (2005-09-28 00:44) 

Yakupen

Hayes様の情報提供に対し、どのようにすれば最も麗しい形でお返しが出来るかを、アホな頭であれこれ考えましたです。
で、結局、結論としては、「今、問い合わせをしているメールに返事が返ってきたら、その情報をこのブログで公開してしまう」ということ意外にはなかろう、と思った次第です。
メールで問い合わせいるような内容の情報を欲しがり、意味のあるものとして使えるのは、Hayes様などごく少数の方しかいないでしょう。小生が使うにしてもある一部分だけで、他の部分は捨てられてしまうわけですから、それだったら必要な方が自由にアクセスし、必要な部分を自分で取捨選択できるような形にしておいた方が、よっぽど良いわけですものねぇ。

こんなことでよろしいでしょうか。

というわけで、ロシアからの返事、待ちましょう。
by Yakupen (2005-09-28 01:08) 

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