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桂平治の「もう半分」 [落語・お笑い]

友人と浅草演芸ホールの6月下席 夜の部に行く。 

寿輔師匠は昼の部なので、残念ながら今回は御目文字出来ず。。。

 18時半到着、ホールの外に張ってある看板を見た友人が                                                     「この人、死んだ人じゃなかったっけ?」と指を刺したのが三遊亭遊三師匠。

 友よ、遊三師匠はまだご存命です。

ホールの外に張ってあるのは寄席の出演者の写真なのに、

友人は、全然似てない故桂文治師匠と勘違いした模様。

それを近くで聞いていていたもぎりのおじちゃんは、                                                                                        「うちは死んだ人の写真なんか飾んねーよ」と友人に言いながら笑ってました。

笑いのウォーミングアップも出来たところで中に入ると8割くらいの入り。                                                                                   やはり客層の年齢はかなり高めです。    

到着早々に見たのが久しぶりのWモアモア

東城けん(右)と東城しん(左)の漫才コンビで、東城けんの訛った喋りに観客大受け。

 続いて、赤塚不二夫に少し似ている昔昔亭桃太郎

独特の粘り気のある喋りで、ちょっと苦手なタイプだと思っていた桃太郎師匠ですが、                                                                                                                                                                                           かなりデフォルメされた金持ち一家の噺「金満家族」に爆笑しました。

ここで仲入り10分。 仲入り後は、三遊亭遊史郎から。

 噺は「看板のピン」

サイコロ博打の噺なのですが、遊史郎さんの話し方が少々苦手な私には                                                                                                                                                                                          面白い噺の筈なのに今ひとつ笑えず。 

 鏡味正二郎の太神楽では五階茶碗に感心することしきり

 三遊亭遊之介は「粗忽の釘」

引越しが一段落した亭主に、女房が「ほうきを掛ける釘を打っとくれ」と頼むと、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 亭主は八寸(25㌢くらい)もある釘を壁へ打ち込んでしまう。                                                                                                                                                                                                                        お隣さんに釘の先が出たら危ないと女房が粗忽な亭主を謝りに行かせるが・・・。                                                                                                                                                  これも面白い噺のはずなんですが、遊之介さんの喋り方も少々苦手で、今ひとつ笑えず。

聞き手と噺家さんとの相性というのがあるようで、                                                                                                                                                 同じ噺でも噺家によって笑えたり笑えなかったりというのがあることを                                                                                                                          寄席に通い始めて最近思うようになった私。                                                             

続く、三遊亭夢太朗は「替り目」

酔っ払って家まで帰った亭主が家でも呑みたいと女房に言うと、                                                                                                                              外で呑んできたのだから寝るようにと言う女房。                                                                                                              それでも酒が呑みたいと粘る亭主に押し切られて女房が酒を出すと、                                                                                                               今度はツマミが欲しいと言い出す亭主。                                                                                                                                   仕方なく女房が外へおでんを買いに行くが、、、という噺で、                                                                                                                                                                              (本来は、その後うどん屋も出てくるのですが、そこまで進まず終了)                                                                            夢太朗師匠の酔っ払いを演じる姿に大爆笑。 

酔っ払いの出てくる落語は元々面白いと思っているのですが、                                                                                              それは多分、自らが酔っ払うことが多いので親近感を感じるのかもしれません。 

続く、宮田章司は、                                                                                               

 いつもの通り、江戸の売り声

今回は、江戸時代の上方のおでんや(当時は味噌田楽のようなおでんだったとか)の                                                                                                                                                                                                                           売り声をやってくれたのですが、                                                                                                常陸の国(水戸)から綺麗なオベべを着たコンニャクイモが船に乗って                                                                                                                                                                                        艱難辛苦を乗り越えて上方に到着し、コンニャクに生まれ変わって湯につかり                                                                     味噌をつけて売られていく、といった売り声の歌詞に感心しつつ、                                                                                            ただ単に「おでーん、おでんよー」と売り歩く関東と異なる上方の風情を感じました。

 友人に入口で勘違いされた三遊亭遊三の噺は「青菜」

植木屋が、作業していた家の主人から鯉のあらいや酒をご馳走になり、                                                                                                                                                                                           次に青菜を出すようにと主人が言うと、その奥方が答えたのが、                                                                                                                         「鞍馬山から牛若丸が出でまして、その名を九郎判官」という言葉。                                                                                                    すると主人が「義経にしておけ」と答えるのですが、                                                                                                これは、菜は食べてしまったので「菜は食らう=九郎」、「それならよしとけ=義経」という                                                                                                                                                                                                                                            客人に失礼のないように隠し言葉を使った洒落。                                                                                                                   これを知った植木屋は、自分の家でも同じことをやってみようとするが、                                                              一間しかない家でイワシと温い酒しかない。                                                                                そこへやってきた大工の熊さんに植木屋が試してみるものの、、、、                                                                   という結構笑える噺でした。

爆笑した後、次は番組表には松旭斎小天華と書いてあったのですが、出てきたのは

 小室千明というオネエチャン

メイド服姿で登場し、「キッチンマジック」と称した手品の数々を披露するものの、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      どうみてもネタがバレバレで、観るにはかなり厳しく辛~いレベル。                                                                                                                                                                                         小天華の代役を立てるにしても他にいなかったんだろうか、                                                                                                                                                                                                                          と野次を飛ばす周りのオヤジに共感し、怒りを感じる私でありました。

多分、秋葉原で萌え萌えアンちゃん相手に見せるなら問題ないと思うのですが、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   寄席ではやはりある程度のレベルの人を出して欲しいもんですな。                               

そして、夜席の主任、

 桂平治の登場

「私の噺を聞くと本日は解散ですから、あとしばらくご辛抱ください。                                                     で、今日は後味の悪~い噺をひとつ」と言って話し始めたのが「もう半分」。

十六文という手頃な値段の五郎八茶碗(一合一尺)に入った酒と、                                                                                                   菜のお浸しや芋の煮ころがしといった簡単なつまみを出している居酒屋に、                                                                            ある日、一人でやってきて「お酒を半分ください」と注文した白髪老人。                                                          お酒を飲み干すと、「もう半分ください」 「もう半分ください」 と半分ずつお代わりし、                                                                                                                   たらふく飲んで機嫌よく帰っていった老人が座っていた席に置かれていた風呂敷包み。                                                                                                                            閉店後に包みに気づいた居酒屋の夫婦、一体何かと中を開けてみると、                                                                  そこに入っていたのは五十両もの大金。                                                                                                                          驚いて老人に返しに行こうとする主人にネコババしようという女房。                                                                                                                          と、さきほどの老人が包みを返してほしいと店に戻ってきて、                                                                                                                                                                                                                                                            あのお金は、商売もうまくいかず女房も亡くして生活に困っていたら                                                                                                                                                                      「これでもう一度商売ができるように」と娘が吉原に行って作ってくれたお金、                                                                                                                     「商売が上手くいって年が明けて私が戻ってくるまでお酒は飲まないで」と                                                                                                                                                                                                                              娘に言われたのに、この店の前を通ったらどうしても飲みたくなって                                                                                                                                   「半分」「もう半分」と言いながら杯を重ねてしまった、                                                                                                                                                                            このままだと娘に会わす顔がない、お願いですから包みを返して下さい、、、

と一生懸命頼む老人だったが、女房は追い返してしまう。                                                                                                                                               そんな老人を亭主は追いかけていくが恨めしそうな顔を亭主に向けながら、                                                                                                            老人は永代橋から身を投げてしまった。   

ネコババしたお金で店を拡張し、使用人も雇って大繁盛し、                                                                                                                                                                                            悠々自適の生活を送るようになった夫婦に子供が産まれ、                                                                 これが玉のような男の子だったらメデタシメデタシとなるところを、                                                                   産まれたのは二目と見られぬような女の子、頬骨が出、鼻がツーンと高く、                                                                      生まれたばかりで乱杭歯が生えていて、あの白髪老人に似た赤ん坊。

赤ん坊を見たショックで女房は亡くなり、残った亭主は乳母を雇うが、                                                                    雇った乳母全てが一日で「お暇をいただきます」と辞めていってしまう。                                                                                    長く勤めてくれることを条件に雇った乳母でさえ一日で音を上げたので理由を聞くと                                                                                                                                                                                                                                                                                「夜中に赤ん坊が何をするか見れば分かる」と言われ、                                                                                                                                                                                    亭主は夜中に赤ん坊を見張っていると、、、、

ひえぇ~っ。

夏だから怖い噺なんでしょうか。                                                                                                                                                                                途中で笑いながらも怖くて、最初に言っていた通り後味はよくない噺でした。                                           

桂平治は、江戸言葉に厳しかった故桂文治師匠の弟子ですが、                                                                                                                                                                                                                                                                                                        30代後半の若さ(落語界では若手)にも関わらず滑舌・テンポが良く、                                                                            怖い話が苦手な私もどんどん噺に引き込まれ、                                                                                                                                                         「ネコババすると良いことないねぇ」と思いながら最後まで楽しめる落語でありました。 


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