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東京室内歌劇場 オペラ 「アルチーナ」 [オペラぁ!]


2007年7月13日 東京室内歌劇場 オペラ「 アルチーナ」

バロックというと、
澄ましたホテルやレストランのBGMに、
毒にも薬にもならない演出材料として使われ尽されて、
今更わざわざ出掛けて行って観るものでもなさそうですが、
この弦楽中心の音楽の波に溺れるような感覚は、
スピーカーからでは得られません。
そんなバロックのうちでも、
去年に新国立劇場で「セルセ」を観てから、
ヘンデルは外せない要チェックオペラです。

「アルチーナ」の初演は1735年、ロンドンのコヴェントガーデン歌劇場、
モーツァルトをオペラの若さみなぎるお父さんとするならば、
ヘンデルは老練なお爺さんと言ったところでしょうか。
モーツァルトの天才的作曲の源流をヘンデルの曲の節々に感じます。

主要キャストは女性5人に男性2人、
男役や男装した女性の出演で、地味目の宝塚風?
薄暗い照明に色彩のない骨組みむき出しの大きな装置が、
舞台を占領していて、人の立つ場所がないぐらいです。
それを回してみたり、階段を付け替えたりするうえ、
足元の見えないドレスでその階段を下りたりするので、
観てるほうがハラハラです。

そんな展開で初日の緊張感漂う中、
男を食い物にして動物に変えてしまう魔の女王アルチーナ役の出口正子さんは、
その訴えかける繊細な響きの声で客席の男性まで虜にしていましたし、
モルガーナ役の幸田浩子さんもアルチーナに負けない存在感を示しており、
陳腐なストーリーながら詩的な歌の競演には、
澄ましたバロックとは言えない270年前の音楽の新たな再生を感じました。

それにしてもここのホールは、
新宿歌舞伎町の真ん中、
天井の低い地下にあり、壁も真っ黒に塗りつぶされていて、
場末の古びたライブハウスのような感じで、
荷物も預けられず、
鞄を膝の上に乗せて電車のシートに座る感覚での鑑賞となりました。

500席ぐらいのこじんまりしたスケール感のホールは、
オーケストラピットもあり、
舞台と客席に一体感のある緊密な空気を生み出していましたが、
残響時間がなさ過ぎるのか、
音が突き刺さると言うか、細切れに聴こえるというか、
その、
バロックの響きが感じられないように思いました。

ヨーロッパでは今、バロックオペラブームだそうで、
「アルチーナ」も冬にはパリのオペラ座であのロバート・カーセンの演出で上演予定、
こちらはスケールが大きそうです。↓
http://www.operadeparis.fr/Saison-2007-2008/Spectacle.asp?Id=1144
ぅ~ん、こっちも観たい!


2007年7月13日 シアターアプル
東京室内歌劇場 オペラ「 アルチーナ」 ALCINA

作曲:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル 
台本:アントーニオ・マルキ

指揮 : ヴィート・クレメンテ
演出 : 井原 広樹
美術 : ユリ・マストロマッテイ
衣裳 : 半田 悦子
照明 : 原中 治美

キャスト
アルチーナ・・・・ 出口 正子
ルッジェーロ・・・ 小畑 朱実
モルガーナ・・・・ 幸田 浩子
ブラダマンテ・・・ 背戸 裕子
オロンテ・・・・・・・・ 近藤 政伸
メリッソ・・・・・・・・・ 春日 保人
オベルト・・・・・・・・ 丹藤 麻砂美

管弦楽:東京室内歌劇場アンサンブル
合唱 :東京室内歌劇場コーラス


タグ:ヘンデル
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