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新国立劇場 オペラ 「西部の娘」 [オペラぁ!]


注目のアンドレアス・ホモキの新演出!
前作の「フィガロの結婚」では、
白い舞台、白い衣装に白い箱、
素材の違いや照明の加減で、微妙な奥行きを表現した舞台でしたが、
今回の道具も、またまた「箱」でした。

しかも装置は「箱」だけ、
それが下手舞台から上手舞台まで両袖深く、ずらっと並べられ、
高く積上げられています、
ホモキ氏は日本が地震大国だという事を知らないのでしょうか?
2年前の「ルル」公演中の地震を思い出して心配しましたが、
そんな必要もなく、バサッと崩れるシーンが2度3度とありました、
意外な装置の転回! これがやりたかったのですね。

内容は、現代への読み替えという事で、
多民族の自由でアメリカンな雰囲気は残しつつ、
西部劇テイストは全くなし。
酒場に集う鉱夫たちも、ダンボールの背景で、
スーパーマーケットの食品倉庫の片隅にたむろうパートタイムの従業員のよう。
その姿もつなぎやジーンズにTシャツから法衣まで、
頭はロン毛ありモヒカンありのなんでもあり。
装置の視覚的な耽美的芸術性は十分評価出来ますが、
コンセプトが先行しすぎて、
現代に読み替えたストーリーの印象が薄く、
説得力もイマイチ足りなかったようにも思いました。

それに引き換え、
指揮のウルフ・シルマーは、
働く男たちの哀愁をたっぷりした指揮で十分に引き出しており、
聴き応えのあるものになっていました、コーラスも良かったのだと思います。

ミニー役のステファニー・フリーデは男の中で紅一点、
インテリがつなぎを着たようで妙な感じでしたが、
よく通る声で存在感を示していました。
ランス役のルチオ・ガッロは手持ち無沙汰そうなシーンもありましたが、
性格の悪そうな警官を上手く演じていました。
実は盗賊のジョンソン役、アティッラ・B.キッシュの声はストレートで聴きやすいですが、
もうちょっとの影のある歌い方やクセのある演技が観たかったです。

「西部の娘」の上演機会が少ないというのは人気がないという事ですが、
プッチーニの音楽は十分美しいのですから、
西部劇一辺倒でなく、
今回のように、工夫のあるいろんなプロダクションが沢山出来れば、
もっと人気も出るのではないでしょうか。


ホワイエには日本初演時のプログラムが展示されていました。
1963年東京文化会館にてイタリア歌劇団による公演、
指揮はトスカニーニ、ジョンソン役はデル・モナコ!
イタリアづくしのこの公演、当時生まれていたら観て見たかったところですが、
デル・モナコは急病のため来日出来なくなったとコメントがありました。カクッ


2007年4月18日 新国立劇場
ジャコモ・プッチーニ  「西部の娘」 (Giacomo Puccini : LA FANCIULLA DEL WEST)

指揮 : ウルフ・シルマー(Ulf Schirmer)
演出 : アンドレアス・ホモキ(Andreas Homoki)
美術 : フランク・フィリップ・シュレスマン(Frank Philipp Schlossmann)
衣裳 : メヒトヒルト・ザイペル(Mechthild Seipel)
照明 : 立田 雄士(Tatsuta Yuji)

キャスト
ミニー  : ステファニー・フリーデ(Stephanie Friede)
ジャック・ランス  : ルチオ・ガッロ(Lucio Gallo)
ディック・ジョンソン : アティッラ・B.キッシュ(Atilla B. Kiss)
ニック  : 大野 光彦(Ono Mitsuhiko)
アシュビー  : 長谷川 顯(Hasegawa Akira)
ソノーラ  : 泉 良平(Izumi Ryohei)
鉱夫 トゥリン  : 秋谷 直之(Akitani Naoyuki)
鉱夫 シッド  : 清水 宏樹(Shimizu Hiroki)
鉱夫 ベッロ  : 成田 博之(Narita Hiroyuki)
鉱夫 ハリー  : 高野 二郎(Takano Jiro)
鉱夫 ジョー  : 羽山 晃生(Hayama Kosei)
鉱夫 ハッピー  : 大森 一英(Omori Kazuhide)
鉱夫 ラーケンス   : 今尾 滋(Imao Shigeru)
ビリー・ジャックラビット  : 片山 将司(Katayama Masashi)
ウォークル  : 三輪 陽子(Miwa Yoko)
ジェイク・ウォーレス : 米谷 毅彦(Maiya Takehiko)
ホセ・カストロ  : 大久保 眞(Okubo Makoto)
郵便配達夫  : 大槻 孝志(Otsuki Takashi)

合唱  : 新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
管弦楽  : 東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)


タグ:プッチーニ
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マックス

63年の日本初演の指揮者は、オリヴィエロ・デ・ファブリティースでした。
by マックス (2007-04-26 12:37) 

つるりんこ

マックスさん、
ご指摘ありがとうございました、
よく調べてみます。
by つるりんこ (2007-04-29 21:07) 

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