SSブログ

「HR」:三谷中毒 [テレビ番組]

 ところでこの正月、新選組!!と古畑だけでは間が持たないかもと心配だったので、同じく三谷幸喜さんの脚本演出によるシチュエーションコメディ、「HR」のDVDを借りてきていました。いや前から近所のTSUTAYAで狙い続けていたのですが、いつも貸し出しで。去年の夏の終わりにゲオが出来たので、年末にふっと思い立って探してみたら4巻全部そろっていました。わーい。とはいえ、自分も内容はほとんど知りませんでしたし、とりあえずということでまず2巻だけ借りてきていたのです。
 私は、今、そのことを猛烈に後悔しています! なんて面白いんでしょうかッ!!

 三谷中毒という言葉があります。同系列に司馬(遼太郎)中毒という言葉もあります。この圧倒的なまでの独自世界を展開する巨人達の作品に一度触れてしまうと、ついつい抜け出せなくなってその人の作品群をひたすら漁ってしまうようになるという状態です。ちなみに私が作った言葉ですがー。
 ・・・考えが甘かった。そういえばこの年始は新選組!!に始まり古畑三連作と、ただでも三谷中毒に陥る要素がそろっていたのに、自ら泥沼に足を踏み入れてしまったーッ。


 えー、少し冷静になりたいと思います。この「HR」という作品は、日本では珍しいシチュエーションコメディ(シットコム)という手法で撮影され、放映されたテレビドラマです。
 シットコムとは(リンク先のウィキペディアも参照していただきたいですが)、スタジオに一つのセットを作ってその中でリアルタイムに役者達が芝居をし、一方には観客席を設けて観客も入れて、役者達の劇を見て笑ったりする観客のリアクションも効果音としてそのまま取り入れるという方法で、撮影されます。外国だと「フレンズ」などが有名でしょうか。
 シットコムといっても、1話ぶっ続けで撮る(演じる)とは限らないものだそうですが、このHRに関しては基本的に1話ぶっ続けで演技・撮影がなされたそうです(途中、1度CMが入るところがあって、そこで小休止が入っている場合もあります)。

 滅茶苦茶斬新なことをやっていて、確か当時三谷さんはこの企画にかなり入れ込んでいたことを何かで読みました。しかしあんまり視聴率はふるわなかった事も・・・(三谷さんのTVドラマって大体そうですが)。

 でもでもでも、面白いんですよ、「HR」。ちなみにHRとはホームルームのことで、定時制(夜間)の高校を舞台に、年若い先生が自分より年上が圧倒的に多い個性豊かな生徒たち相手に、毎回ドタバタを繰り広げるという三谷さんお得意の密室コメディが展開されます。
 生徒は派手好きな私生活謎のおばさんだったり(戸田恵子さん)、面倒な彼氏がいるらしい姉御肌の女性(篠原涼子さん)、引っ込み思案で不登校気味な女の子(酒井美紀さん)、町内会長をやっているような年配の男性(小野武彦さん)、サラリーマンと二足のわらじをはく男(白井晃さん)、大工歴30年のおじさん(國村準さん)、ヤンキー青年(中村獅童さん)などなど。主人公の轟先生を演じるのは香取慎吾さんです。

 私は白井晃さんのファンなので、彼が出ていてとても嬉しかったです。他にも三谷さんの作品ではおなじみの面々が続き、これはちょうど大河(新選組!)の制作発表がある前だったのですが、後に新選組!に出演している演劇畑の人もたくさん出演されていて、今見るとなおさら面白いという仕掛けになっています。

 もう一人の先生を演じる今井朋彦さんは、大河では慶喜公としてなんとも独特な存在感を放っておられましたが、この作品ではその神経質そうな額のはりつめは変わらないものの、もめ事に向かってぽんっと人を放り込んでおいて自分は隠れて大笑いするような、いわば「明」の慶喜公と言えましょうか。そんな一面が見られて嬉しかったです。
 他にも50両が足りなくて切腹する事になった河合耆三郎を演じていた大倉孝二さんは、高身長を無駄に活かして変な小芝居にあけくれておられましたし、最後の最後で出てきて近藤に理解を示した薩摩藩士の有馬藤太を演じておられた古田新太さんは、相変わらずその怖い顔と迫力で活躍しておられました。
 これから先も相島一之さんや、小日向文世さんなどが出てこられるそうで期待は尽きず、また一方でこのドラマで初めて知った演劇畑の役者さんも存在感と個性に満ちていて面白い方が多く、なんとも・・・いいドラマなんですよーッ。

 ・・・ちなみにさっきからやたらと叫んでいるのは、轟先生の真似です。


 そう、香取慎吾さんの演技力というのもこのDVDを見ての大きな発見でした。ああこれなら三谷さんが大河の主役に起用しようと思った気持ちも分かる気がしました。
 ざっと見て回ってもあまりいい評価は聞かないのですが・・・。私はすごくよかったと思うのです。個性豊かな生徒たちに振り回される一方で決して埋没はしない、それはそのまま個性豊かな演劇人たち相手に奮闘しながらも自分にしか出せないもの、つまり主役に何よりも必要な「華」をたっぷりと咲かせる、そんな(よい意味でアイドルの)香取さんの存在感に重なりました。
 大柄な手足を活かし、叫び、頭を掻きむしって顔面全体で悩みを表現する。それをとても自由にやっておられる姿が印象に残りました。他の方には、シットコムという難しい芝居ですから、緊張が感じられる部分がどうしてもあるのですが、どういうわけか香取さんにだけはそれがまったくないのです。不思議でした。まあこれに比べると、大河の香取さんはちょっと疲れが見えたかな・・・とも思いますけれども。

 多分私の視聴の仕方もよかったのでしょう。1話30分なので、夜眠れない時などにコタツだけつけた部屋でぼーっと見ていたり、あと退屈な正月番組の合間に見たり、出掛けて帰ってきてから見たい番組までの時間つぶしに使ったり。基本的に1話完結なので、あんまり気を使わなくてもいいのです。前後のつながりもほとんど意識しなくていいように(これはわざと)、作られています。
 ただこれは、ドラマとして放映した場合は逆効果に働いたんじゃないかという推測もあって・・・。連ドラというのはどうしても、「先が気になってつい惰性で見る」とかそんなのがあると思うのです。作る側もそれを意識して話を引っ張るし、視聴者側も「ドラマとはそういうもの」という既成観念がある。ここら辺が視聴率につながらなかった原因かなと思いました。

 でも、DVDで見るならこれほど適した番組もありません。一話あたりの時間は短いし、基本的に笑うためだけのお話ですからいつでもとても気軽に見られる。その一方でじっくり見ようと思ったら、3つの大きな部屋を行き来する人物の配置が今どうなっているかを頭の中で描いたり、次の芝居に向けてこっそりポジション移動する脇の人達に注目したり、何度でもの繰り返し視聴にも耐える。
 ああ、なんで私はこんな面白い番組をリアルタイムで見てあげなかったのかーッ。そしてDVDになった後も長く手を出さなかったのかーッ。


 と深く後悔し、よしDVD買うかと決意したところで我に返りました。そう、私は今東京行きでお金がないので「当分DVD購入禁止令」を出しているのでした・・・。仕方ないのでゲオのレンタルで我慢します。会員証は家人だけが作っていて、彼は今北陸にいるので明日(もう今日ですが)返却に行っても次は借りられないのですが・・・。黙って返してくるだけにするか、自分の会員証も作るかは、明日その場で決めようかと思います。まあなんとなくこの勢いだと結末は見えているような気もしますがッ。
 ああ、そうしているうちに明日は古畑ではないですかーッ。新選組!!の総合放送もあるしッ。

 当分私の三谷中毒は続きそうです。悔しいので、それでも「HR」DVDのリンクを張っておきます。レンタルでも是非。これは面白いです。

公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/hr/

HR Vol.1

HR Vol.1

  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2003/02/21
  • メディア: DVD
 
HR DVD 3巻セット(Vol.2~4)

HR DVD 3巻セット(Vol.2~4)

  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2003/04/25
  • メディア: DVD

nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。