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深夜の本屋 [雑記]

 今読んでいる本の続き物が、どーしても読みたくなって居ても立ってもいられなくなり、先ほど深夜営業している本屋まで車でひとっ走りしてきました。このような田舎にも、一軒二軒は深夜まで営業している本屋があるのです。といってもそのうち1つは先日つぶれかけ、結局親会社を譲渡する形で乗り換えて営業継続したのですけど。

 うちの親は剛毅な方で、いろいろと面白い教育方針があったのですが、その一つとして「本ならいくらでも欲しいだけ買ってくれる」というものがありました。幼少時のことですから、買うといっても一回本屋に行くごとに一冊とかそんなおねだりでしたけれども、小学校低学年頃の夏休みなど、毎日千円札一枚もらっては歩いて近所の本屋に通うのが日課だった記憶もあります。・・・今にして思えばなかなか恐るべき太っ腹です。

 というわけで、私は本がなくては生きていけないという、人並みに本好きな人間に育ちましたが、副作用としてどうも本に関しては欲望を抑えきれないというか、相変わらず財布の中身をあんまり気にせず買ってしまったり、こうして深夜にでも読みたい欲求に取り憑かれると、もうその場で手に入れないとたまらないとか、手にはいるまで何軒でもはしごするとか、そんな悪癖があります。
 ま、そのかわりハードカバーには手を出さず買うのは文庫ばっかりとか、その文庫にしても一人暮らしを始めて親元を離れて以降、金銭というより物質的容量の問題で「本棚一竿に収まる範囲でッ」とか自分なりに枠は決めているのですけど。(多少溢れ出したのはやむを得まい、うむ)。(ちなみに最近二竿に増えました)。

 深夜営業の本屋というのは、なかなか独特の雰囲気があっていいものです。そもそも深夜営業するくらいなので、営業熱心で品揃えも凝っている本屋さんが多いのです。
 本屋というのはどれも同じに見えて、どの本を平積みするか(表紙が見える状態で棚に並べる)などで微妙にセンスが伺えます。一度センスのいい本屋を見つけてしまえば、平積みをチェックしているだけでその時々の良書が分かったり、思わぬ掘り出し物に出会えたことも数知れず。

 客層も昼間とはまた違い、落ち着いた雰囲気でみなそれぞれに事情を抱えつつ、本と対話している雰囲気に満ちていてたまりません。だって深夜の12時前後に本屋に来る人々ですよ。それだけでなんかドラマを感じませんか。・・・まあ中には私みたいに、自らの欲望を押さえられないだけのが混じっていることもありますがー。

 ともあれそんなわけで、私は深夜の本屋通いをやめられないのです。暗い中で煌々と照らされた灯り、その中に並んでいる無数の本達。書列の間にぱらぱらとたたずむ、意外に多い人の数。店員さんもどこかリラックスした雰囲気で、柔らかくレジうちなどしつつ。
 目当ての本を手に入れて、つい隣にある本にも手を伸ばしてしまう、そんな欲望に心地よく負ける空間。


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コメント 9

きりきりととと

いいっすね、深夜の本屋。
というより、本好きなんだなーと言うのが伝わってきていいっす。
by きりきりととと (2005-11-16 01:11) 

BigBan

青山ブックセンターの騒ぎがあったときに、この「深夜の本屋さん」のことは、しみじみと(?)考えましたね。あのころいくつかエントリーも書きました。

「本を選ぶ」という行為にも時間性がるとというか深夜だと変わってくるかもしれませんね。手に取る本が。
by BigBan (2005-11-16 13:33) 

Aa

>hyperbomberさん
こんばんは。好きというのは欲望でもあるのです。
好きだというのは欲望に負けることでもあるのです。
この前東京行った時も、夜中の池袋の街でまず探していたのが食べ物屋でもネットカフェでもなく開いている本屋だったりしたくらいです。
ああそういえば私の本にまつわる悪癖で「旅先でも本を買う」というのがありました。
そんなの日本全国どこでも買えるのに、駄目なんです。つい買うのです。そしてホテルで読むのです。
・・・でも本は重いのです。旅先でそれは致命的なのです。なのに繰り返すー。ららー。
思い出しました。

>BigBanさん
ようこそ、我があばらやへー。
後でその記事漁らせていただきますね。
田舎暮らしの身、ネット書店には大変お世話になっていて、それこそネット書店がなかったらとてもこのような田舎には住んでいられないと思うくらいなのですが、リアル書店もそれはそれで捨てがたく。
いかに24時間以内に発送であろうとも、ネット書店は所詮「すぐ」ではないのです。
このあたりが自分にとっては致命的です。・・・単にわがままなだけという可能性は却下します。
本は山ほどあります。その中からいかに自分の好みにあったものを選ぶかは、一瞬の勘なのです。だから「すぐ」が大切なんです(ぐっ)。
もっとも田舎の書店の悲しさ、選ぶ以前に在庫が薄すぎるという側面は否定できません。
ある程度の水準を超えれば在庫の偏りも個性ですが、それを個性と言えるのはある程度の品数満たした上で、選べる店舗が複数あるという条件を満たしてのことです。
やっぱりこの先、リアルの大型店とネット書店に集約されていくのかなという気はします。
by Aa (2005-11-16 20:18) 

マルセル

週に2回くらい本屋を徘徊して、どんな本でも必ず立ち読みをしてから買うたちです、どんな有名な本でもクダランと思ったら買わないし、読み始めてツマランと思ったら途中で止めてしまいます、そんないい加減な人間ですが、本になんかWhat’s New、新しいものが書いてあるとワクワクしますよね
by マルセル (2005-11-16 20:37) 

Aa

マルセルさん、こんばんは。
ちょうどそちらにお邪魔してきたところでした。
私は本はタイトルと表紙でまず選びますねー。このあたりは編集者さんも含めて、いかにその本の魅力を説明して売るかという広告が機能していますので、比較的客観的かつ現場の視点での客観性にて表現されているような気がして。・・・なんかよく分かりませんが。
有名な本はあまり手に取りません。ハードカバーは買わないという自分なり線引きに引っ掛かるからでもありますが、ベストセラーというのはどうも食指が動かない。たぶん、ベストセラーを買う人種と、日常的に本を買う人種はまた別なのではないかなと思っています。
本を読むことは常に出会いなのです。私はそこに表現される人間性というものに、何よりも惹かれます。
by Aa (2005-11-16 21:03) 

これ

んな遅くまで本読むんやったら、もうちっと明るいフロアライト作ればよかったっかいのぉ・・・・
最近まともに活字を読んでいないこれでした。
by これ (2005-11-16 22:50) 

Aa

おはようございます、これさん。
お気遣いどうもですー。あのフロアライトは大変気に入っておりますですー。
元々夜型なので、日が落ちてからが本番、日付が変わる頃が絶好調っすよ。
私も最近は大した活字読んでいません。読む気になった時に読めばいいのだと思います。
by Aa (2005-11-17 09:18) 

きりきりととと

僕、旅へ行くときは本を持って行って読んだ端から置いてきちゃいます。だけど、わかりますよ、それ。知らない土地へ行っても本屋を探す、僕もかつてはそうでした。

>好きだというのは欲望に負けることでもあるのです。
そんなことないとおもうけどなw
by きりきりととと (2005-11-17 20:36) 

Aa

hyperbomberさん、こんばんは。
私は本を捨てられないんですよねー。これでもかなり処分はするようになったのですが。つい読み返すかと思うと捨てられない。それがあんまり自分にとって重要な本でなくてもです。

>>好きだというのは欲望に負けることでもあるのです。
その昔、このように考えてあまり好きなものを作らないようにしていた時期がありました。うむ。
その後、別に負けてもいいじゃんと堕落して、今のていたらくです。はっはっはー。
つまり根本から間違えて間違えたままここまで来てしまったのです。
もはや引き返せません。うむ。
by Aa (2005-11-18 22:29) 

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