自民党ブロガー懇談会:中川議員の話、女系天皇問題 [ブロガー懇談会関連]
予定時刻どおり、19:20頃に中川秀直新政務調査会長が入ってきます。
まずは氏の話を聞くことに。中川議員は昨日の今日で政調会長となり、(ここに出席するのも)急な話でしたがと前置きし、ご自身も毎朝数十分の時間をかけて新聞各紙を読み、サイトに「トゥデイズ アイ」という日誌を書いておられることを明らかにされます。毎日書いていて、もう4,5年続けていますというお話。
それから初代IT大臣を拝命したこと、平成12年に出席したダボス会議においてもITというのはとても話題になったこと、それから時が経ち、来年はeジャパンからuジャパンへと進化していくべきではないかと話している、という話を。
ちなみにuジャパンの「u」は「ユビキタス」で、「どこにでもある」といった意味(詳しくはリンク先参照)。パソコンが一家に一台、一人に一台という時代からさらに進化して、一人が複数台のパソコンを持つ、それはPDAであったり携帯電話であったりもする。そうして社会のどこにでも存在するコンピューターが相互につながりあっていく社会、そんなイメージです(多分)。
さらに今後は「IT」ではなく「ICT」だという話も。ITCはInfoCommunications Technologyの略で、コミュニケーションが新しく加わったところがポイントです。要するに、今までは例えばネットというツールがまずあったのが、これからはその上にどのようなコミュニケーションという有機的なモノを載せていくかが課題だということかと思われます(多分)。
多分が多くてすみません。具体的なことは各自グーグルなどでお調べ下さい。
さらに、これまでは官僚が最大のシンクタンクだったという話。しかしもう時代が違う、これからはその構図から脱却し、民間が真ん中にきて政治家はその支援をする役割だと思っているということ。シンクタンクのチームも民間からその都度適切な人に入ってもらい、人々が自ら提言し実行していく、政治の企画立案にもその都度出たり入ったり有機的に動いていく(それを政治家がサポートする)、そんな横軸の関係を目指すという話をされました。そして官僚は、そうして決められた事柄の執行機関となると。「政治にそんなにお金は必要ない」という状況を目指すというお話でした。
そうすると政策もビビッドに次々と反映されていくだろうということ。自分たちは「05年体制」というものを提言しているが、55年体制は賛成か反対か二つの勢力に分かれて争う時代だった。これからは国民主権で、政府は(その下につく)小さな政府となる。今回の選挙でも国民は小泉さんを選んだ、それは彼の小さな政府路線を選んだということでもある、この小さな政府下で我々は政策実現のスピードアップを目指す、政府与党は衆議院の3分の2を占めている。この勢力を持って次の選挙まで、小さな政府路線をやりとおすという決意を述べられました。
ちなみにここに限らず、この記事全般、私はテープを持っていったわけではなく、すべて自分のノートにとった事柄を元に話を再構成していますので、若干自分なりの解釈というものも入っています。またもしかしたら事実誤認などがあるかもしれません。コメントなどによって指摘いただければ訂正しますが、その可能性があることはご承知おき下さい。
・・・私個人としてこの下りで気になったのは、「国民は小さな政府を(それも圧倒的に)選んだ」という下り。個人的には今回の選挙で人々が支持したのは迷いのない小泉政治などの姿勢であって、小さな政府というものを、具体的にどれくらいの人がイメージできていたかは謎だと思っているのです。しかし中川議員の話では、国民は郵政民営化を選んだという部分を飛び越して、小さな政府を選んだということになっている。「小さな政府」という言葉は何度も出てきますし、非常に氏個人もこだわっておられるらしい。けれどもどれくらいの国民が本当にそれを選んだのか、微妙なずれを感じます。そのあたりが今後の危険かなあと。
ともあれ中川政調会長のお話は続きます。
これからの新しい経済成長について。2%の経済成長を目指す、製造業などの好調な分野に比べて、生産性の低い部門が現在GDPの6割を占めている。小さな政府においてはこういった部門も整理していく。そうして自然増収を目指し、インフラ整備も進める。
民主党にも、公務員制度改革などに関してどんどん提案して欲しい。その過程では大連立ということも視野に入れている。
小泉改革路線において、党を離れた人達がいる。これはもうどの改革を選ぶかということで、我々はサッチャーやレーガンの路線を選んだ。
首相と彼の提唱する政策と意思決定は一体不可分のものである。それ(首相の唱える政策)を否定しては民意に答えられない。
野党にもどんどん議員立法などを提示して欲しい。
サラリーマン増税などに関して、中間報告という形で世論の誘導が行われている(まだ決定ではないのに、中途半端な部分を見せることで世論を自分たちの都合のいい方向へ操作しようとしている)。審議会というのはもう古いのではないか? 責任の所在をもっと明確にすべきだ。
これからは共生の倫理が大切になると思う。その共生のツールとして、ブログやICTを考えている。
そのようなお話でした。約20分ほど、このような話を延々と述べられ、我々はそれを聞いていました。個人的に気になったのは、先ほど書いた「小さな政府」の連呼と、「サッチャーやレーガンの路線を選んだ」とはっきり言われたこと。3分の2という数を誇る一方で、野党(民主党)への秋波も送っていることなどでしょうか。
あと、先の方で述べられた、人々が自ら提言し実行していく、政治家はそれをサポートしていくという体制。それはこのブロガー懇談会が抱えている可能性の方向でもあるんじゃないかなと思いました。まだ遠くにしか見えない、本当に小さな可能性ですけどね・・・。
お話が終わったところで、あらためて質疑応答ということに。
平河総合戦略研究所の奥山さんが、まず質問に立たれます。
自分はこれまで長い間自民党をずっと支持してきた、しかし今回の選挙の大勝を素直に喜べないというところからまず入って、政治家の役割とは民主主義の指導者であることだと考える。その上でシングルイッシュー(単一争点の是か非かを問う)という手法に対して疑問がある。グローバリズムの中にあって、無国籍な考え方も増えてきている。そのような中でどのようにして日本人としてのアイデンティティを守るのか。強い日本を指向していくのか。
例えば女系天皇の問題がある。万世一系2600年の歴史があることに対して、分かっていない人達が答えを出している。そのことに対してとても心配である。
そのような内容でした。
中川議員はそれに対してすぐには答えず、これを踏まえた質問は他にありませんかと参加者に尋ねます。続く他の問いではこういう手法は取られなかったので、やはり天皇制という触れるだけでも難しい問題に対して慎重になったのかなという推測を咄嗟にしました。
JAMESの日記のJAMESさんが、国粋主義的な発言ではないかという指摘を。それに対して奥山さんは決めつけだという反論を。JAMESさんはさらに小林よしのりなどの名をあげておられましたが、それに対して奥山さんは「あなたの意見は?」と聞きます。JAMESさんは、女系天皇について「正しい、大いにいって欲しい」という意見だと返されました。
そんなインターバルを挟んでの、中山議員の答え。
自分は奥山さんと同じ世代だが、日本が日本として守るべきものは、政治だけではなくみんなで決めて考えていくものだと思っている。みんなでないと(みんなの合意がないと)守れないものもある。時代の中で、あるいは必然性によって、変わっていくものもある。それはすべて政治の責任なのか?
政治家が民主主義の中で指導者であることは否定しないが、民主主義である以上多数の意見を反映すべきと考える。
女系天皇については、世論調査でも象徴天皇制や女系も支持する側が多数意見である。ヨーロッパなどを見ても女王という存在は珍しくない。ともあれ皇室典範の改正については次の国会で出す予定である(補足:今現在もそれで大変揉めていますね)。
女系(天皇家の女性から生まれた人間が天皇を継ぐ)だけではなく難しいのは、女帝の摂政問題である。例えば今の美智子皇后陛下が摂政となることについては、何の問題もない。しかし女帝の結婚相手、イギリスのエディンバラ公のような立場の人に、その権限を与えるべきか。これは明治の時代にも一度議論され、結局あまりに難しい問題なので先送りされたという逸話も持つ。多くの議論がある問題である。
ともあれ、みんなのコンセンサス(合意)を取ることが必要である。という考えを述べられました。
こんな感じでまだまだ質疑応答は続きますが、ここで一旦切ります。
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> 中川議員の話では、国民は郵政民営化を選んだという部分を飛び越して、小さな政府を選んだということになっている。「小さな政府」という言葉は何度も出てきますし、非常に氏個人もこだわっておられるらしい。けれどもどれくらいの国民が本当にそれを選んだのか、微妙なずれを感じます。そのあたりが今後の危険かなあと
おっしゃるとおりですね、ただ彼の場合は300議席に浮かれてないようにみえるトコは評価できます
by マルセル (2005-11-09 08:42)
こんにちは、マルセルさん。
中川議員のお話は、いかにも議員さんらしいお話で個別に見ていくと色々可能性や今後も見えてくるのですが、全体としてつかむと難しいという。
今回記事を書くにあたってはその解体を試みてみましたが、いかがでしたでしょうか。
中川議員個人さんとしては、毎日ネット上に日誌をアップしていることとしい、信念の強い真面目な方だという気がしました。小さな政府推進もそういった性質からくるものではないかという気が。浮かれてはいないのかもしれませんが、真面目体質は時として一直線すぎるという弊害も引き起こします。まー、今の小泉内閣に共通して言える懸念ではありますが(小泉さんはご本人が不真面目なのでバランスが取れているという希有な例)。
いろいろ考えつつ、今後どうなっていくのかと見ていくと、政治の世界も楽しいですよ。別にどこを支持とか考えなくても。
by Aa (2005-11-09 12:04)