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民主党ブロガー懇談会:憲法改正問題に関して [ブロガー懇談会関連]

 ここであらためてこのブロガー懇談会の出席者を書いておきます。
 民主党さん側は前原誠司代表、松本剛明政調会長、細野豪志衆議院議員、泉ケンタ衆議院議員、大塚耕平参議院議員。松本政調会長は飛び入り参加でした。
 ブロガー側はGrip Blogさんのこの記事参照。総勢10名です。

 また懇談会内容の全文テープ起こしが、Grio Blogさんによって行われています。
 民主党懇談会報告民主党懇談会報告2

 前原代表はしきりに「皆さんこれが初顔合わせなのですか」ということを確認されていました。あと女性参加者の名刺に住所が書いていないことを、イノセントな顔で尋ねておられたり。女性は色々問題が多いですから、オフ会でも住所や本名明かさないことは珍しくないですが、「URLとメルアドだけの名刺」というのは前原代表にとってカルチャーショックだった模様です。そういうレベルのネット認識なのです。きちんと確認したわけではないけれど、ネットってほとんど触っていらっしゃらないんじゃないかなあ。
左から前原代表、細野議員、泉議員


 ともあれそれは前提として。
 まず最初は、これは泉さんと民主党側でも合意があったそうなのですが、今回の懇談会の元になった取材のテーマである国民投票法案について、ヤメ蚊さんから質問がありました。こちらの質問内容、質問主旨、及び答えについてはヤメ蚊さんご本人のブログに詳しいです。
 質問内容:民主党との懇談会にて:石器時代からインターネット時代への進化?! 及び、まとめ:民主党の憲法改正国民投票法案に関する質問の「回答」は「満点」?!

 私がまとめたところでは、国民投票について、「刑務所に収監されている人にも投票できるようにすべきか?」、これには明確に「するべきである」と答えていました。あとは「公務員の選挙活動の制約に関して、地位利用は問題か?」、これは「地位利用とは何か」という答え。
 最後に「憲法条文の修正に関する投票は一括でやるのか個別にするのか?」例えば第○条と第△条を変えるとして、「両方改正に賛成/反対します」という投票になるのか、一つ一つ「○条は改正に賛成/反対します・△条は改正に賛成/反対します」という(この場合だったら2票の)投票を行うのかという話ですね。これには「うちは個別の方向で考えている」という答えでした。

 ただし3つめの項目に関しては他の参加者からも質問・意見が飛びます。
(以下、私がその場で書いたノートを元に議論を再構成します。一部認識の間違いやずれがあるかもしれないことはご承知おきください。コメントにて指摘いただければ訂正します)


 まず小飼さんが「(憲法は)修正なのか改正なのか」という質問を。
 修正というのはつまり、今ある条文はそのままで、その後に「ただし何々の状況においては××する」とかつけ加えていく方式です。アメリカはこれだそうです。
 改正は条文を丸ごと書き替えてしまうというもの。自民党が先日新しい憲法草案を発表していましたが、あれは改正です。
 これについては「改正です」と。ただし「頻繁に行うようなら修正にするべき」だけど、「2~3年に1回以下であれば改正にすべき」と。

 さらに小飼さんは前原代表に対して「憲法をマメに変えるべきだと思うか」と名指しで尋ねられました。それに対して前原代表は「個人的にはマメに変えるべきだと思うが、変わらないことへの信頼というものもある。私が前から言っているのは不磨の大典にすべきでないということ。ただそれはコロコロ見直すと同義ではない」という答えを返されていました。
 わりとはっきり答えられる方なのだなという印象です。「変えるべきかと思うか」と聞かれて「変えるべきだと思う」と答えるのは、政治家の答弁としてははっきりしている方です。ただ現実として言い切ってしまうのは難しいので、逆説の話もくっついてきます。

 次にBigBanさんが「投票用紙はどのような形になるのか」、自民党案だと巨大な投票用紙があってそれにずらーっと是か非かをかき込んでいく方式になるけど・・・というお話。それについては、「まだそこまで考える段階ではないのでは」という答え。その前に考えることが山ほどあるって感じでした。


 以下、そういう話にうつっていきます。
 小飼さんが、(個別改正ということだったら)「もしAとBが相互依存していて、Aは可決されたけどBは否決されたという状況が生まれたらどうするのか」という問題提起を。ここは非常に微妙な問題なので、民主党さん側も複数の議員さんが次々と意見を述べられました。
 R30さんの速記録などとも照らし合わせて欲しいのですが(ただしこの速記録、抜けている部分も多々あります。速記録ですから無理もないのですが、ご承知おき下さい)、「そういう時は基本的には一括である」と。ただし「どんな賛否を問うか」という問題がある。実際の国会でもそうなのだけど、大きな看板の横に小さな(問題になる)モノをつけ加えて全体として「賛成か反対か」の二者択一をせまられる。BigBanさんがこの前の郵政法案もそうでしたねという話。小飼さんがオーストラリアでもやった手で、わざと賛成できないものを混ぜておいて結局(一括で)否決されたという例を引きます。

 それに対し民主党の大塚議員は「ベストとしては最初に一括で全面書き換えして、その後は細かく個別に修正していく」という方法を提唱されます。ただしそれは非常にハードルが高くなると。
 この60年全然いじってこなかった憲法を、いきなり全面的に書き替えますとなれば、そりゃ国民の心理的ハードルは高いのです。私はハードルが高いだけではなく危険性も、それこそ抱き合わせでとんでもないものが入ってしまう可能性も感じます。それに対して、まず1箇所だけ書き替えますのほうが、議論もしぼりやすいし心理的抵抗も少ないでしょう。ただしそれは、前原代表も述べておられましたが「お手盛りになってしまう可能性」がある。全体構想がないままに、目の前の簡単で都合のいいやつだけ次々書き換えていっても、それは迷走というやつなのです。

 前原代表が述べられた「一応全体像をちゃんと示しておいて、それの第一歩で逐条の議論をしていくということでいくというのが現実的なんじゃないのかと思いますが」が私もそうかなという気がしました。ただ、憲法改正って文字だけでもう反射的に拒否反応を示す人とかいますし、憲法条文っていうのは難しく書かれていますから(まー、それは格というものでもあるのですが)、一般国民がどれくらい原文と改正案をちゃんと読んで考えるかっていうのは、こちら(国民側)の課題ですね。

 BigBanさんは「憲法を書き換える癖をつける」必要があることを述べられます。それに対して民主党さん側も「そう思っている」と。前原代表は「ガウディの建築」を例にだしておられました。

 私はここで9条を簡単に例に引かないあたりが、みなさんすごいなと思って聞いていました。相互依存の話にしても(前文と9条とか)、個別修正の話にしても(まず9条だけ書き換えるとか)、これをからめてしまうと話が分かりやすいんですよ。しかし安易にそこに走らない。感心して聞いていました。なぜなら9条を持ち出すと、一気に話が拡散するからです。「憲法改正の手法」だけに話がしぼれなくなる。
 絶対頭にはあったと思うのですが、決して口には出さない。この絶妙のバランス感と、建設的に転がっていく議論に、ああこの人達すごいんだと舌を巻いていました。


 さて話が一段落したところで、その9条についてソフトさんが斬り込んで行かれます。
 民社党案では「軍隊の保持」を明記する案を出しましたが、党内でも意見の分かれがあるようですが、という話。それ(意見の分かれ)は前原代表も否定しませんでした。ただし前原代表は元々この分野が専門ですから、ここではご自身の意見をしっかり述べられます。

 それによると「原則として海外での武力行使は放棄すべきである」と。「ただマイナー自衛権の問題がある。今でもPKOで海外派遣されているわけですが、そこで武力衝突に巻き込まれたらどうするのか。現況では一般の自衛隊員が自分の判断で対処(つまりは発砲するか)を決めなければならない。しかし軍においては上官の判断で対処したほうが絶対に助かるわけです。だけど今の状況ではそれは武力行使にあたる、それは変えるべきだ」という意見をとうとうと述べられます。
 さらに相互の安全保障。例えば今サマワで自衛隊は他国に一方的に守ってもらっているが、相手が攻撃された時は助けられない。これも助けられるようにすべきだという話も。

 ここで個性豊かな小飼さんが、唐突に「傭兵を使うというアイデアはないんですか」とぶつけます。ナイス変化球。
 ・・・これは実際微妙な問題ですよ。普通あんまり考えることはないですが、自分たちは武力放棄していますって顔をして、実際は金で買った傭兵使うというのは・・・。解釈上の抜け道という話でもあるし、それ以前に倫理的にどうなのかという話にもなる。
 大塚議員が「現況、在外公館の警備などは民間に委託していますので実際使っているのと同じですよ」という発言を。前原代表は「アメリカってことでしょ(日米安全保障問題)」と突っ込んでおられましたが、私としては大塚議員の方向性により興味があります。

 BigBanさんもその現状は問題視しておられるようでした。そして話は9条1項(戦争放棄)へと転がります。
 前原代表の個人的な考えとしては、「1項は残す」。「しかし2項(戦力の不保持)は実態と合っていないと思う。そもそも警察予備隊(自衛隊の前身)が発足した時点で、現実とずれたと思うんです。また人に基本的人権があるように、国家の自然的権利として自衛権というものはある。「国家の自衛権」を明記するべきというのは私の持論です」と。

 さすがに専門だけあって、前原代表の意見がわりとはっきり伺えた項でした。私は傭兵問題について個人的に目を覚まさされ、ちょっと考え込みましたね。
 あと、やっぱり誰も9条改正は悪だとは言わないんだなあと。ソフトさんはおそらく、もうちょっと突っ込みたかったと思うのですが、この場では小飼さんとBigBanさんが積極的に発言されていました。

 さて、クールな皆さんらしく話もすぱっと切り上げて、次はいよいよ政治とネットという話へ。


とりあえずの民主党ブロガー懇談会感想
とりあえずの自民党ブロガー懇談会感想

民主党ブロガー懇談会:前記・確認
民主党ブロガー懇談会:前記2・口火を切るまで
民主党ブロガー懇談会:憲法改正問題に関して
民主党ブロガー懇談会:ネットと政治に関して-先端vsド素人
民主党ブロガー懇談会:食い下がりで見えた沢山のもの
民主党ブロガー懇談会:まとめと私の考えるネットジャーナリズム

自民党ブロガー懇談会:質疑応答・コンテンツ、バイク、ニート
自民党ブロガー懇談会:中川議員の話、女系天皇問題
自民党ブロガー懇談会:質疑応答・障害者支援、世襲と公募
自民党ブロガー懇談会:質疑応答・IT教育、懇談会の意義、女性
自民党ブロガー懇談会:サンドイッチ問題?と世耕議員との一問一答
自民党ブロガー懇談会:まとめと2つの提案

自民党メルマガ/ブログ作者との懇談会:参加談一覧
ブロガー懇談会:残された宿題
ネットはネット内で完結してはいけない ~ブロガー懇談会に期待すること

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コメント 2

これ

なんやしらんけれど、試験終わって合格決まったら、元に戻ったのか精力的に動いとるなぁ(笑)
by これ (2005-11-03 23:22) 

Aa

こんばんは、これさん。
なにをおっしゃいます、これは修士論文に向けての壮大な準備の一環なのですよ。たぶん。もしかしたらネタになるかもしれない。下手な鉄砲数撃ちゃあたる。ついでにツテも出来上がるっ。
by Aa (2005-11-04 00:28) 

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