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「遙かなる時空の中で3」:私も一緒に戦いたい欲求 [ゲーム]

 私の趣味にはあんまり人様に言えないものも多いのですが、これもまあ、その一つです。ま、別にそこまで気負うほどのモノでもない気もしますが、そうやって油断していると「え"」とかヒかれたりするので、注意が必要なのです。
 最近は「遙かなる時空の中で3」というプレイステーション2用のゲームをしています。いつかやろうと思っていたんですが、最近「十六夜記」という追加ディスクが発売され、それが盛り上がっているのを見てついに手を出しました。

 これは一言で言うと、女性向けの恋愛ゲームです。つまり自分が女性主人公になって、用意された様々なタイプの魅力的な男性と恋愛をしつつ、物語を解いていくというパターンのゲームです。
 この「遙かなる時空の中で」シリーズは、平安京などの時代をモチーフにした日本中世のパラレル世界を舞台に、現代から一人の女の子が神子(みこ)として召還され、八葉(はちよう)と呼ばれる選ばれた8人の男性達と共にその世界の穢れを祓っていくというのが基本設定です。・・・まあ、いろいろと女の子の夢が具現化した世界ではあるわけです。あんまり具体的に挙げていくとえぐいというか、それはそれで下品だと思うのですが、「選ばれた存在」とか「守ってくれる人達」とか「そういう人達と恋に落ちる」とか、ですね。

 私がそもそもこの手のゲームに手を出した歴史は古く、というか、この手のゲームの元祖である「アンジェリーク」というスーパーファミコンで出たソフトを発売日に買ったという所から始まるのですが、当時手を出した理由は雑誌の広告を見て、「ああ、こういうゲームもあってもいいじゃないか」と目を開かされたからでした。男性向け恋愛ゲームがあるなら、女性向けがあって悪いはずはない。そして、「世界を救うとか女王になるということよりも、大切な人との恋愛成就を選ぶ」という価値観の新鮮さ。常により面白いゲーム、新鮮なゲームを求めていた当時の自分のアンテナに、これはばっちりひっかかったわけでした。ま、それでも私が女子でなければ買わなかったとは思いますけど。
 それ以来、この手の恋愛ゲームとの付き合いはぽつぽつと続きます。それなりに楽しみつつ、大ハマリすることもなく。今までやった本数でいえば5作くらいでしょうか。10年間でこの数なので、あんまり多くはないと思います。大ハマリしない原因は、やはりあまりにも欲望というか欲求に忠実すぎるので、気恥ずかしいというか、それ以前に濃すぎて悪酔いするというか、そのあたり。一方でまったく縁が切れなかった原因は、ゲームがしたいけど適当なものがないとか、色々現実に疲れていて逃避したいというときに、心の隙間にふっと忍び込んでくるちょうどいい存在だったからであるように思います。そう、まさにテレビの向こうの都合のいい恋愛相手のよーに。


  さて、こういう女性向け恋愛ゲーム(最近では乙女ゲーと言うそうな)も、10年という歴史を数え、最近ではだいぶ充実もしそして成熟もしてきました。
 今年私がプレイした乙女ゲー(この呼称、いかがなものか)は、「幕末恋華・新選組」とこの「遙かなる時空の中で3」です。前者は文字どおり新選組が題材ですし、後者は源平合戦を舞台にしています。・・・つまりそれぞれに、去年と今年の大河ドラマに便乗した商品ではあるわけです。
 しかしそれはそれとして、この2本のゲームはどちらもかなり評判はよく、また実際私自身かなり楽しめました。

 一つ面白いなと思ったのは、どちらの場合も主人公の女の子は自ら剣をとり、男性達と共に戦っていることですね。「幕末恋華・新選組」では新選組の女性隊士の一員となって、一緒に池田屋に切り込んだり出来ますし、有名な新選組隊士たちと恋愛しつつ、彼らと共に生きそして死ぬことが出来ます。
 「遙かなる時空の中で3」は異世界のパラレル源平合戦ですが、一応は源氏方に付きつつやはり自ら剣を取って、義経や弁慶(美形の男性になってますが)といった実在の人物をモチーフにしたキャラや、このゲーム固有の架空のキャラと恋愛もしつつ、彼らがそれぞれ抱えている問題を解決しつつ、悲劇に向かう運命を時空を越える力で書き替えていく(運命上書きシステムと呼ばれています)というのが主題です。

 「幕末恋華・新選組」関連で開発者インタビューを読んだことがあるのですが、当初新選組を題材にした恋愛ゲームを作ろうとした時、男性の開発者たちは「(新選組の)馴染みや料理屋で働く少女」を想定したそうなのですね。しかし女性スタッフが、「それは違う。女の子も隊士になって一緒に斬り込みたいんだ」と発言して、このような形になったそうです。(公式ビジュアルファンブックより)。
 これはなかなか面白い、男女の意識の違いだと思います。私の感覚としても、「馴染みの料理屋で働く少女」はいかにも男性の目から見た萌えだなあと思いますし、「一緒になって斬り込みたい」という欲求には凄く共感します。皆さんはどのように思われるでしょうか。

 ともあれ、私はやはりこの2つのゲームが成功した理由は、「主人公も自ら剣を取って戦った」部分にあると思うのです。女性の目はシビアです。男性向けの恋愛ゲームであまり(自分の分身である)主人公の性格が云々されたのは聞いたことがありませんが、女性向け恋愛ゲームが評される時に主人公が共感できるキャラクターかどうかというのは、わりと重要視されます。女性が同性を見る目というのはなかなかに厳しいものであり、これらは恋愛ゲームであるにもかかわらず、あまりに男性に媚びているようなキャラだと、それが理由で嫌われたりもするのです。難しいものです。

 それはそれとして、この両者の意識の違いからは、男性から女性に対しては「戦いの渦中には置きたくない、守り保護する存在、そして心の安らぎになってくれる存在」という欲求を感じますし、女性の側からは「非力であっても愛する人のためなら共に戦いたい」という欲求を感じます。
 私はそういう考え方が正しいとか間違っているとか、そのように考えることは不毛だと思うのですが(理性じゃなくて欲求なので)、女の子の「共に戦いたい欲求」をもう少し男性陣は理解してくれてもいいんじゃないかとは思いますね。
 これは何もゲーム中に限らず、それこそ社会の中の女性進出についても、女性が男性と肩を並べて働きたがるのは、「男性に負けたくない」って気持ちだけではないと思うのですよ。「男という存在を敬愛しているからこそ、一緒に戦いたいのだ」という考えもあるとしたら、もうちょっと見方も変わってくるのではないでしょうか。・・・夢見すぎですかね。


 それで肝心のゲームについてはあまり語っておりませんが・・・。「萌えー」以外の何を語ればいいというのかッ。それぞれタイプのことなる男性を相手に、楽しく恋愛シミュレーションしておりますですよ。
 私はそもそも「平家物語」や「義経記」大好きであり、悲劇も好きなのです。これは源氏方とはいえ九郎義経周辺を主人公にしていますから、いきおい物語りは悲劇的にならざるを得ないのであり、ゲームも第1周目は悲劇で終わるのですが、その時与えられた「時空をさかのぼる力」で運命を少しずつ曲げて変えていくというのは、ロマンだと思います。それも愛する人のためだったりしたら。
 「幕末恋華・新選組」はもっと史実に忠実に、悲劇に終わるものは終わるという話も多かったのですが、こちらは史実の悲劇をパラレル世界であることを逆手にとって自分の手で変える楽しみがあります。

 各々のキャラ付けも面白いなと思いますね。武蔵坊弁慶が美形の青年になっていたり、梶原景時がやっぱり青年でしかもチャラチャラした性格になっているところなど、ある種の方々には激怒ものかもしれませんが、私はこういうアレンジも面白いと思います。女性向けですからそもそもアレンジがあるのは必須として、その上でいかに元の人物をしのばせるような性格やエピソードを織り込んでいるかを見ていくのが楽しいのです。
 主人公達(というかプレイヤー)も源平合戦の歴史は知っていますから、ここでどうしたら勝てるかなどは分かっているはずなのですが、なぜか歴史は違ってしまっている。その理由付けや、じゃあどうやって元の歴史、あるいはもっと(主人公達にとって)良い歴史に変えていくかという、ゲームシステムと絡めたストーリー展開も面白いです。

 それでもやはり一番の楽しみは、「愛する人と肩を並べて戦えること」でしょう。このシリーズ、前2作は主人公は応援というかせいぜい補助する程度だったのですが、今作になって堂々と前線に立って剣を振るうようになったこと、これはやはりこのジャンル全体の進化や成熟を示すものであるような気がしてなりません。つまり「こうあるべき」と思われていた殻をやぶって、「いや、こうしたいんだ」という主張が出来るようになってきた、そのような証として私は捉えています。

公式サイト:http://www.gamecity.ne.jp/haruka3/

遙かなる時空の中で 3

遙かなる時空の中で 3

  • 出版社/メーカー: コーエー
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: ビデオゲーム
 
幕末恋華・新選組

幕末恋華・新選組

  • 出版社/メーカー: D3PUBLISHER
  • 発売日: 2004/12/22
  • メディア: ビデオゲーム


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