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「復活の地」:私には何ができたのか? [小説]

 小川一水「復活の地」が面白くてとうとう読破してしまいました。といっても全3巻ですけど。
 これを入手するのにまた苦労があったんですよ。いきつけの本屋で平積みされていたので、まず1巻だけ買いました。読んだ→面白かった→よし2巻と3巻はまとめて買うぞ→で、駅前にあるこの市で一番大きな本屋(たぶん)に出撃。
 ここでも平積みで売られていたのですが・・・なぜか1巻と3巻だけ。平積みで。ばばーんと10冊以上。2巻は、書店員さんに探して貰っても一冊もありませんでした。どのような仕入れ方をしているのか聞いてみたいところですが、それよりも切実なのはハヤカワ文庫JAなんて、私が住んでいる市においては非常に貴重品だということです。1巻を買った本屋は車でしか行けない場所にあって、我が家には平日は車がありません(家族が仕事に使っているから)。でも私としては一刻も早く続きが読みたい。ってゆーかそのためにわざわざ駅前に行ったというのに、手ぶらでおめおめ帰れるものかっ。
 ・・・結局1時間以上放浪して、百貨店内にある本屋でなんとか発見しました。ここには2巻しかなかったから、本当になんとか。あ、百貨店といっても三越とか高島屋とか想像しないでくださいね。田舎の百貨店はすごいですぞ。売場の狭さといい、売っている物の品質といい、なんのためにあるのかよく分からないくらいだ(それは言い過ぎかもしれませんがー、でもでも)。

 そんな苦労(半分以上自分が一方的に背負い込んだもの)を経ても読みたかった本なんです。で。地震の話なのです。SFで舞台は未来ですが、諸事情により科学レベルは現代と同程度の世界。一国の首都が巨大地震に見舞われて壊滅的な被害を受け、官僚である主人公がその復旧・復興に立ち向かう話。政治家や軍部、外国列強など、様々な立場や思惑を持った人々の群像劇でもあります。今の世の中に非常にタイムリー。
 そのリアルな描写に、阪神・淡路大震災を思い出しました(実際は、直接のモデルは関東大震災らしいです)。主人公が官僚ということで主軸は行政におかれているため、一般の個人の視点はあまり描かれてはいないんですけど、あの地震(私にとっては阪神大震災)の時、どうすればよかったのか、何が出来たのかを、あらためて考えずにはいられませんでした。

 ただちょっと、作者は思想的に左派傾向が強い人なんだなとは思いましたね。昔、好きだった作家さんがフィクションの作中で自らの政治思想を語ることに夢中になってしまって、作品の質が急降下した一件以来、どうもこういうのに過敏です。もっとも、 リベラルを目指す人間の、理想を求めすぎるがゆえの挫折なども書かれているので、偏りすぎてバランスを崩しているわけでもなく、むしろ民主主義とは?という部分まで考えさせてくれてよかったのかもしれません。ただやっぱりそういうのって、本筋とは関係ない部分で疲れますけどね。

復活の地 1

復活の地 1

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/06/10
  • メディア: 文庫

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