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「笑の大学」:それでもこれは喜劇である [映画]

 元は三谷幸喜氏作の舞台だったこの作品。密室での二人芝居を映画化ということで、場が持つのかすごく疑問だったのですが、ネットでの評判がよかったのでいそいそと見に行ってきました。

 本当にちゃんと一室の中で話が展開しながら、二時間の間少しも退屈ではなかったので驚きました。元々台詞(脚本)がとてもよいということもあるんですけど、画面のカット割りも考えられていて。
 そんなに奇抜な構図はないのですが、よく一室(一つのシチュエーション)の中でこれだけバラエティのある画面を撮れるなと感心するほどでした。意外性はないんですけどひたすらに手堅く、またどれ一つとして手抜き感がないというか、必然性があり、隅々まで考えられている感じがします。
 主演の二人の役者さん(役所広司と稲垣吾郎)も芸達者で。役所さんの安心感と安定性、稲垣さんのふわふわした捕らえどころのなさ、どちらも楽しめました。

 あと面白かったのは、コメディですから流れの中にいくつも笑いが散りばめられているんですけど、他のお客さんがどこで笑うか、意外と予測がつかないというか、笑いのツボは人それぞれなんだなと感じることができたのです。例えば私が笑ったところで他の人は笑わない(なんとなく気まずい)、私が見過ごしている場面で他のお客さんが笑って始めて笑いどころに気付く。そんなことが何回もありました。それだけ多くの、変化球から直球まで様々なネタが仕込んであるということで、これはささやかに凄いことじゃないかと思います。
 そして笑いの隙間に切なさなど他の感情も喚起されて、直截的じゃないだけにそれらも深く響くというか。とにかく楽しかったです。・・・私は、最後がああでも彼らの幸せな日々が偽りではなかったように、この映画も純粋に笑える楽しくて幸せな、純然たる喜劇であるのだと思います。

 しかし映画館の暗闇だと、どうにも無防備になるというか、笑い転げ過ぎていけませんよ。あれは何故なのか。私はあまり普段感情を大きく出したりはしないはずなんですけど、どうもあの場だと笑う時に手で口を覆うことも忘れてしまうというか。思えば映画「TAXi」なんかでもそうでした。
 たぶん笑いだけじゃなくて、他の映画でも喜怒哀楽を素直に表に出しているんだろうなと思って、そういう自分を客観的にちょっと見てみたい半面、あまり見たくない気もして(当然です)。

 さて、平日の割引日にもう一度行くぞーと思ったのですが、上映館が少なくてうちの市ではやっていませんでした。ああう。面白いんだけどなあ、普通に良作だと思うんだけどなあ。そういえば画面サイズ(縦横比)もテレビに近かったなあとかなんとか(テレビ放映を意識しているのか?ってこと)。自分だって見に行く前は半信半疑だったことも忘れて、勝手です。好きな映画だとつい動員を気にしてしまうのです。映画って人気が出ればロングラン、逆に人気がなければ早々と終了など、意外とダイレクトに観る環境に響いてきますから、つい。

公式サイト:http://warainodaigaku.nifty.com/


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