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★宝くじ研究【6】パラドックス [研究<お金>]

今日は、有名な「セント・ペテルスブルグのパラドックス(St.Petersburg Paradox)」という逸話を紹介しつつ、もう一度、期待値という概念について考えてみた。このセント・ペテルスブルグという街の説明は、ここでは省略する。

この「パラドックス」とは、次のようなものだ。

コインを投げて、初めて「表」が出たときに賞金が出る。
賞金は、表が出るまでにコインを投げた回数(つまり、「裏」が出た回数)が「n回」だったら、2円である。

例えば、
最初に表が出る ・・・ 2=1円
裏→表なら   ・・・ 2=2円
裏裏→表なら  ・・・ 2=4円
裏裏裏→表なら ・・・ 2=8円

こういう賭けをするとき、掛け金がいくらなら「損しない賭け」と言えるか?

まず賞金の期待値を計算してみる。

期待値=(1/2)×2円+(1/2)×2+・・・・(1/2)×2n-1
=1/2+1/2+1/2・・・・・・
=∞(無限大)

この賭けの賞金の期待値は「無限大」となる。だから、この賭けには、全財産を投げ打ってでも参加することが正しい、という答えが出ることになる。

えぇ!?

この賭けは、1/2の確率で1円、1/4の確率で2円・・・1/4,096の確率で2,048円の賞金が貰えるというものだ。直観的に割がいいようには思えない。例えば、この賭けに1万円払って参加するか?と問われたらどうする?

計算すると、賞金が、掛け金である1万円を超える確率は、1/32,768だ。そんな低い確率でしか儲けが出ない賭けに投資できるだろうか?いやできない。

それなのに、「期待値は無限大」となるから、投資するべし、という結論になってしまう。だから「パラドックス(矛盾)」と言われている。

なぜ、こうなるのか?

直観的には、賞金がどうなるか分からない、あるいは賞金の分散(ちらばり度合い)が大きすぎることに問題があるのだろう。理屈のうえでは、コインの表が出るまで延々と投げ続けるので、「一体、いくらの賞金がもらえるのか」が事前には決まらない感じだ。だから「その賞金を貰える確率」もよく分からないという感じだ。

この例を参考にしつつ、宝くじのことを考えてみると・・・・

(1)宝くじ当選金の分散は大きい。ということは、賭ける側にとっては、「期待値という概念」が使いモノにならないかも知れない。それは・・・

(2)「大数の法則」が働き難いから。大数の法則は、例えば、コインを投げて、表が出る確率は1/2であることは皆知っている。だが、実際にコインを投げて、表が出る回数が、コインを投げた回数の1/2になるには、かなり回数が必要だという話。

  例えば、コインを4回投げたら、裏裏裏裏という具合に100%裏が出たりすることもある。しかし、何度も何度も試して、例えば、20,000回投げれば、表が出た回数は10,056回だった≒1/2といった感じになる。

(3)つまり、確率は、大数の法則が働いて初めて現実味を帯びてくるということだろう。逆に、大数の法則が働くまでは、計算上の確率と異なる現象が起きることが結構発生し得る。

(4)一人で1千万枚の宝くじを大量買いすれば、大数の法則が働いて、1等の当選確率が1/1千万であることは確かなものとなる。そして、賞金全体の期待値が、当選金の合計が購入金額の半分以下になることも確認できるだろう。しかし、それでは損してしまうので意味がない。

(5)宝くじは、当選金の分散が大きく、かなり大量購入しないと、大数の法則が働きにくい。だから、計算上の「確率」通りにならないことが結構あるし、「確率×当選金」で計算する期待値通りにならないことも結構ある

★宝くじを買う行為は、個人にとって、確率が収束しない状態で、その“揺らぎ”に賭けているようなものなので、「合理的に夢を買う」というイメージに近いのかも知れない。変かな?

ということなのであれば・・・・深く考えず、「買ってみなけりゃ分からない」と言って、ワクワクしながら買うことが論理的行動なのかも知れない。本当に、そういう結論でよいのかまだ自信はない。少し物足りない気がするが。

ところで、宝くじの主催者側は、「大数の法則」が働くぐらいの、それなりの枚数の販売(数千万枚程度かな?)ができれば、確実に5割程度は儲かる計算となる。ただ、そんなに売れないと赤字になるだろうけども・・・。

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