クラスメート列伝(4):いたずら小僧 [クラスメート列伝]
今回は満を持してのL君の登場。
うちのクラスは全部で14名の学生がいるのだが、そのうち男は3名しかいない。Lはその数少ない男子学生の一人である。
Lはイギリス人である。見た目的には正統派の英国紳士予備軍といった感じ。背が高く、かなり精悍な顔立ちをしている。ボートや山登りをするらしく、体つきはがっちりしている。身のこなしがエレガントで、しゃべる英語のアクセントはクラスで一番ボッシュ(上品っぽい)だ。実家が貴族だという噂があって、本人に聞くと「Hell, no!」といって否定するのだが、口を滑らせて「お父さんと一緒にアフリカにハンティングしに行く」などという発言をしたこともあり、みんなからどうも怪しいと思われている。
このL、見た目と違って性格はかなり子供っぽい。彼は「しょちょうの歌」と題する僕の名前を連呼する曲を勝手に作り、遠くで僕を見つけると、「ショチョウ君♪、ショーチョウ君♪」と歌いながら近づいてきて「うーん、いい太もも」と言いながら僕の太ももなどを触る。「お前はゲイか?そうなのか?俺は差別しないから本当のことを言ってごらん」と問いただすと「Hell, no」と言って逃げていく。
彼は機嫌がいいと人をほめまくる。
「Gちゃん!今日着てるコート素晴らしいね、僕それ大好きだよ」
「ありがとう、どう素晴らしいの?」
「その、何と言うか、とっても・・・・・・・・オレンジ色だよね」
「・・・・・は?」
授業をよくサボるのだが、たまに出てくると一番前の席にすわり、教授のしゃべっている内容に対して分かってないのに「うん、そうだよねえ」とか「僕もそう思うんだよねえ」とかいちいち相槌を打つ。で、教授に「おう、じゃあ君もこのデュルケムの論文読んだのか?」と聞かれると「No Sir」と即答する。みんな必死で笑いをこらえている。
そんな彼なのだが、スピーチをやらせると右に出るものはいない。うちのコースでは1年間にディベート大会が4回あるのだが、彼は「ベスト政治家候補賞」に選ばれている。つまり、内容はともかく、しゃべりが上手だったということである。(ちょっと自慢をさせてもらうと、ベスト・ディベート選手賞に選ばれたのは僕である。自慢おわり)。
「紳士淑女諸君!この問題の解決はいま我々の手中にある!ついに我々が語り始める時がやってきたのだ!・・・・」
面白いことに、上流階級っぽい雰囲気とは裏腹に、彼はこの国の階級システムを憎んでいる。
「おい、しょちょう。君の国には王室があるのか?」
「あるよ」
「どう思ってる?」
「Rubbishだね。君は?」
「粉々に破壊したいね。階級制度はこの国の恥部だ。」
この趣味が高じて、彼はマルクス主義にはまり、博士課程に進学してマルクス主義医療人類学を研究する予定になっている。
でもその前にもうちょっと大人になろうね、L君。
毎回楽しく読んでいます。
私もイギリス留学を考え始めたので非常にタイムリーで勉強になります。
意外とラブリーな感じのイギリス人の生態がわかっておもしろいですね。
今後も楽しみにしています。
by tukushi (2005-04-09 00:07)
tukushiさん、ようこそ!
こちらこそ、和の心を大事にされるtukushiさんのブログに啓発されております。イギリス留学が実現するといいですね!
by NO NAME (2005-04-09 02:26)
しょちょさん、「ケンブリッジMBA留学日記」へのコメントどうもありがとうございます。「へー。」と頷くことが多いブログですね。
ユーモアのセンスがすごく重要だと言うのは、全く同感です。
私も英語で気の利いたジョークがいえたらなとよく思います。
お互い分野は違いますが、頑張りましょう。
by けんじ (2005-04-09 03:27)
けんじさん、こんにちは
ケンブリッジは大好きな町です。ケンブリッジに関しては「ケンブリッジでの外傷体験」という記事で書きました。また行ってみたいところです。
お互い、がんばりしょう!応援してます!
by しょちょう (2005-04-09 04:00)