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と)人間の子供たち【原題:The Children of Men】 [映画(た]

邦題は、どぅいうわけか、「わすれました。」(笑

・・・SF小説というものは、荒唐無稽な設定が多いものではある。
しかし、確かに【現実】とつながるメッセージを垣間見ることができ
それが発見できたとき、その本は、その読者にとっての
良書となる。
また、とはいうものの「ひとの【想像】から生まれた産物」ではあるから、
けっこう読者である受け手はその話がどんなに恐ろしい話であっても
『高みの見物』モードでその物語に臨む。
ひとしきり【創造(表現)】者のイマジネーションと闘ったあとに、
読者は本を閉じ終わったとき、ああ、やっぱり現実も捨てたもんでは
ないという現実に還る。そういうものなのだ。

…しかし、残念なことに、この国(日本ですが)においては
この映画の題材は
荒唐無稽なことではなく、そして空想とはいえない事態となって
いることは、朱色会の読者ならば同意してくれることだろう。

さてと、本日の読者は、たいへんな限定をしいらねば成らないだろう。
その条件とは・・・2つ。
ひとつ。過去、SF小説を読み漁ったことがある。
ふたつめ。自分は「大人」だ。と自称できる。

この2つの条件を、自分は満たすと思ったものだけ、
つぎのゲートを潜ってほしい。
んで、潜れないと思ったかたは、今回はブログ二元中継で
お贈りしておりますので、下記のサイトを訪れてみてください。
http://shuseki-kai.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_6d23.html

・・・それでは、始めます。

ーーーーーーーーーー「」----------
鑑賞記:【「んぎゃ。んぎゃ」という赤ん坊の泣き声が、
     戦闘の爆音にかき消されることなく、劇場内に響き割る。
     たまらず観客女がとなりの男に尋ねかける
     「ねぇ…この出来事はどの星でおきていることなの?」
     「・・この星だよ。」】(←長い副題だ。)

いのちのリレーを繋いだ演者たち。その先にあるものは?

・・京成沿線のある駅の映画ーポスターを眺めながら、
・・・男は悩んでいた。

「うーーん。うぅおーーん。…なんてベタなポスターなんだ。
 まさに、はずしてマースっていっているような」

ほんとうに最近まれにみるベタぶりでこれはなんとしたこと
なのだろうかと逆にきになってしまいます。
そうだな。最近はアタリの上下が激しいし、はずれてもいいか・・
きょうは、会員マイルでタダで観れるし…

しかし、実際に観てみると。。アタリでしたよ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
監督はこのヒト。Alfonso Cuaron (アルフォンソ・キュアロン)
http://movie.goo.ne.jp/cast/50845/index.html

哲学を専攻したカントクだけあってとても
クールな撮り方をする。いろんな意味で。

そして、Clive Owen (クライヴ・オーウェン)。
最近の外国男優では、朱色会のいっとうのお気に入りだ。
http://movie.goo.ne.jp/cast/58866/index.html

うーん。いいですね。彼

(↑このアジトの「表現」はなかなかイイ~。)

話は観てもらったとおりなので割愛するが

題材になった話と、彼ら(カントクや演者)が表現したかったものは
異なる。

いろんな表現物がごった煮になっており
いろいろな見かたができるようになっている

話のベースは「少子化」ならぬ「無子化」なのだ。
もしもこのような状態に世界がなったならば
もはやテロリストさえ「やる気」がなくなるほどの
カオスが起きるので、この辺はじつは冷静な社会が
継続するだろうという表現者の優しさというか甘さがある。

日本を意識しているのではないかと思われるのが

従兄弟の息子(って続き柄でなんていうのかな?)
がゲームボーイ化していることと、
主人公が履く、つっかけ(草履)だ。
つまりあの青年は、現実にも存在しているのだが
表現者にとってみると「SF」的素材ということになる。

つっかけの意味は、カントクの頭の中にあり
朱色会はまだ解釈できていない
・・と同時にこれはカントクから私たち日本の観客への
贈り物(メッセージ)なのだと思う。
http://blog-search.yahoo.co.jp/search?p=%A5%C8%A5%A5%A5%E2%A5%ED%A1%BC%A1%A6%A5%EF%A1%BC%A5%EB%A5%C9%A1%A1%C1%F0%CD%FA&ei=

映画通を狂喜乱舞させるのは、何度かでてくる長撮り。
(カットなし超ロングショットのこと)
朱色会は『!ッ。!!っ』という感じで堪能していました。
たいへんだったとは思う。準備。・・これも意味はある
人生の出来事は、連続し、他人とつながって起きている
そのことを表現するため、映画監督はこのような表現を採用する

CMや予告にてまったく宣伝されていない
戦争の表現のリアルさにも言及しておきたい。
よく考えてみると数多くの戦争映画を観てきたが
戦闘+赤ん坊のコラボは皆無だったように思う。

戦争は大人たちおよび戦闘員同士だけで行なうのが
いままでの戦争だったようにおもうが
昨今は『ちがう』のだろう。
つまりこの映画をはさんでやる硫黄島2作品は
「昔の戦争」のはなしであるため、
戦場は、一般のヒトの遠くで起きてい『た』

のだけれど、「今の戦争」は、一般の生活区域に戦場がやってくるのでは
ないか?そのため、赤ん坊の泣き声と戦闘の音が一緒に表現されている
この作品は、今の戦争の「現実」をとてもよく表現している。

クライマックスの十分間は、とても強烈な印象を観客にあたえる。
朱色会も唖然としました。

赤ん坊の精一杯の泣き声は、銃音を止めた
それは、一瞬だけだったけれど。。。
ここに、作者のいいたいことが凝集されている。

私たちは、つぎのひとたちのためいろんなもの
(文化とか政治システムとか戦争の種とか)
を遺していると驕りがちなのだが、

じつはたったひとつのものだけを繋いでいるだけなのかも。
この映画をみてそのことを思った。
有名なSFアニメに登場する
沖田艦長のことばを、終幕後思い出した。

「いのち」だよ。





評価:81点

ーーーーーーーーーーーーーーー
・・・・SFファンならば、
この映画の真意を読み取ることができるでしょう。
おそらくは。

最後にふたつアドバイス。

ひとつ。劇場が明るくなるまで、席を立たないでください。
ふたつ。パンフレットのライターたちの文章はとてもよいので、
鑑賞後ごらんになってください。さまざまな専門分野の人たちが
この映画をそれぞれの立場から評しており、今年ダントツでした。

http://shuseki-kai.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_9a68.html
いささか、長くなってしまったが
いいたいこととしては、「観てください。」それだけです。
以上。


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コメント 8

ノラネコ

こんばんは。
宣伝観ただけでは絶対想像できない内容ですね。
てっきり「アイランド」みたいな御気楽娯楽SFだと思ってました。
未来を通して現在を描くとは、キュアロンもなかなかやりますね。
久々に渋い社会派SFの秀作でした。
by ノラネコ (2006-11-23 22:17) 

朱色会

ノラネコさんこんばんは。
…これはカンゼンに宣伝の失敗でしょう。
たくさんのSFファンに観てもらいたいと朱色会も思っています。
コメントありがとうございました!
by 朱色会 (2006-11-23 22:30) 

悠雅

こんにちは。TBとコメントありがとうございました。
当初、出演者で観たいと思っていたのに、
ポスターや予告で、娯楽SFアクション大作と誤解し、意気消沈。
でも、ブロガーさんの感想をいくつか読むうち、慌てて映画館へ…
結果、決して楽しい内容ではないのに、何故かもう1回観たくなっています。

「説明不足で未消化」という声もちらほら聞こえますが、
実は、不妊の原因や人物たちの背景の特定など、それが主題ではない作品だったわけで、
それに囚われずに(というよりも、映像の迫力や展開に圧倒されたのが正しい)観ていると、
自ずと、そこに託されたものが見えて来ました。

当たり前に見える、命の連鎖。実はそんなに簡単なことではなかったのだと、
改めて思いました。
by 悠雅 (2006-11-25 12:13) 

朱色会

悠雅さんコメントありがとうございます。
>「説明不足で未消化」という声もちらほら
このカントクも、『解るやつだけ解れ』タイプ。(笑
決して観客を甘やかしません。
「答え」に到達できる観客のみが、この映画を「楽しめる」わけです。

映画は「お祭り」に似ているところがあります。
お囃子や催しもの。夜店など出し物にあたるもの。
そして、一見地味で、ほとんどの客が見ない祭事にあたるもの。
祭事にあたるものを感じられたならば、その映画を作り上げた創造者の
心中に到達することができます。

ま、ジェットコースターだけ楽しんで帰るのもアリなんですが(笑
お祭りのように、いろいろな楽しみができる。それが映画だと思いますね。
by 朱色会 (2006-11-25 16:21) 

天そば

さっき観て参りました。お決まりのレイトショーで。

私とカップルの3人だけという不人気ぶり。カップルがアヤシイ事でもしだすんじゃないかとヒヤヒヤしました。
赤ん坊を見た兵士達が戦闘をとめるシーンには目が釘付けになりましたが
観終った時はやっぱり「あれ?これはこれから始まる物語のプロローグなのか?」と思ってしまいました。
by 天そば (2006-11-26 02:55) 

朱色会

天そばさん。おはようございます。

おっ・・・ということはカップルは、「トゥモロー・ワールド」しそうだったのですね。
アブナイ、アプナイ(笑
しかし、、もし始まってしまったら、「ダブル・トゥモロー・ワールド」だぁ。
・・・それも観客としてまた良し。(笑
題材が題材だけに、「説教映画」じゃないかと疑ったファンが
敬遠しているのかもしれません。
…確かに結末らしくない終わり方です。カントクとしては
このあと赤ちゃんがどうなるのか、トゥモロー号がどうなるのかは
観客に委ねられているんだと思います。
by 朱色会 (2006-11-26 09:35) 

窓際ラヂヲ

TBありがとうございます。
すごいトラックバックですね。たどっていくとまたすごい。
映画上映時は数多くの評価が出るのでとても私のBlogでは閲覧対象にならんだろうと思ってますので、私はDVD観賞後に自作ジャケットを作りついでに感想等載せてみようかと始めました。
というか映画館が80km先なんです。(観るのに5000円は消費)
この映画でこんなに賑わっていたのもうなずける、そんな作品だった事を改めて知りました。
余韻が残っているのでトラバ周りしてみます。
…映画館で『ダブル・トゥモロー・ワールド』してみたい!
by 窓際ラヂヲ (2007-03-26 09:36) 

朱色会

窓際ラジヲさんコメントありがとうございます!

>映画館が80km先
!!とおッ(すみません。

改めて自分が恵まれた環境にあることを思い知りました。拙の記事がラジヲさんの何かの参考になれればと思います。またお越しください!

>『ダブル・トゥモロー・ワールド』してみたい!
大変な技能を要求されますね。これは。それに、リアル・ワールドとして子供たち出現の可能性がッ!!

>自作ジャケットを作りついでに
素晴らしいできばえだと思います!是非作り続けていただきたいですね。
by 朱色会 (2007-03-27 01:12) 

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