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い)インサイド・マン & 初恋 [映画(あ]

犯罪に貴賎がないとはよく言われることではある。

犯罪は犯罪。悪いことだし、実行に移してはならない

しかし……

あの事件、そうあの三億円事件については、
多くの方が39年を経た今においても特別の感情をもつ方
が多いのではないか

のべ100万人を投じた捜索にもかかわらず
1975年12月10日、容疑者を特定することもできずに時効を迎えた。

読者の方はあの事件についてどのような想いをお持ちだろうか

・華麗
・鮮烈
・洗練

このような感情をもつ人は多い。その後も強盗・強奪事件が
発生してはいるが、この事件のような目を向けられる事件は
ひとつとしてない。この事件はいまも
昭和の事件史の中で最大のミステリーとして人々のココロ
に刻み込まれている。

…これはなぜなのだろうか?

他の犯罪者にもつ感情を我々は(多分)彼(ら)に持たない。
そう、(多分)彼は、誰も傷つけずに、当時の貨幣価値にして10億円
を奪うことに成功した。そして、つかまることなく忽然といなくなった。

・だれも傷つけず。
・姿を見せないで、捕まらずに姿を消す。

朱色会も大きくなってからその事件の概要を知ることとなったのだ。
当時のマスコミもなんというかヒーローのような扱いだった
当時見ていた少年誌でも、
3億円とはどういう大金なのかが、事細かに説明があり、
非道な犯罪をした犯人という扱いでなかったように記憶している

あの当時は高度経済成長の真っ只中で、その弊害が
一気に噴出した時期でもあった。

世の中の閉塞感に風穴をあけた者として扱われた。
そう。ダーティーヒーローとして。

ーーー

本日、拝見したのは、日米2つのいわゆる 犯罪映画である。

ひとつは「インサイド・マン」

そしてもうひとつは「初恋」

だ。どちらも犯罪を、そして共通しているには

犯罪が華麗・狡猾
犯罪の動機が個人的な怨恨ではないこと
犯罪を対象が社会や企業である
 初恋は・日本信託銀行(後の三菱UFJ信託銀行)
 インサイド・マンは・マンハッタン信託銀行(たぶん架空)
犯罪内容が大金(3億円・銀行強盗)

いつものごとく映画を一緒に観た人と感想を交えるがごとく書くので
観ていない人にはあまり意味のないコメントとなることを
あらかじめいっておこう。

まずは、「インサイド・マン」

予告編やTV-CMを見ただけだと
犯人VSネゴシエーター の心理作戦の応酬映画という感じであったが
実際にみてみるとかなり異なる。

銀行襲撃(目的は伏せます)の完全犯罪を目論む
主人公のクライヴ・オーウェンは
本編中ずっとサングラスとマスクで顔を覆っていて
警察と連絡をとるときだけ素顔をみるのだが
その演技は深みがあり、いままでブレークしていなかったのが
不思議なほど、強盗団のリーダを
ハリウッドスターを相手に回して堂々と好演していた
特にクールなまなざしがいい。

たいしゅる(←まちがい)対する
刑事役はデンゼル・ワシントン
うだつのあがらない横領の嫌疑をかけられたバツイチ刑事役

このようないけ好かない才女を演るとなったらこの人しかないでしょう
ジョディ。いよッ「成りあがり女」!!

2人の男の対立という感じだとおもったが
結局は、すべて犯人の計算された計略どおりに話が進行する。
…ということが途中から分かるので、どきどき感が
徐々になくなっていくのは残念。
(内面)『ふぅ…もう悪役(ヒール)はいやだ。善玉を演りたいなぁ…ムリか。』

銀行ギャングものの最大の話としての話題・注目点は
「どぅやって逃げおおせるか」
観客もこの1点に絞って物語りに入っていくので
しかけと話は及第点をあげていいと思った。
『今日のロケ弁なに?』 『キムチ弁当らしぃわよ。』

あと、やっぱりいまのご時勢ではカネがほしいから銀行襲撃では
あまりにもリスクが高すぎるし、成功率もほとんど0だから
どうやって話を、観客にとって成立させるかが肝心なことだが
この話の動機付けはとてもよくできていると思った。
シナリオはよい。

銀行強盗は結局ヒーローとして描かれており、
物議をかもし出す内容となっているし、ネタばれの後は
話がちゃんちゃんと進んでるなという感じだったのでそこは
残念だけど。

銀行強盗ものとしてよくまとまっている映画であることは
「まちがいナィ」

さすがスパイク・リー。
評価:70点

ーー
「初恋」

あおいちゃんを見るためを目的としてみたが

話・表現ともによかった。

この映画のジャンルは、ラブ・サスペンスだけど
そうなると題材とのバランスを取ることがとても難しい。

初恋と三億円。ゼンゼンつながならいからまとめるのは
大変だったとおもう。

たとえばデートのねたとしてこの映画をセレクトすると

男女とも
昭和とのノスタルジィは無縁で、共有間がでないのはなかろうか
・機動隊との学生運動とか
・クルマや繁華街完全再現セット

あおいちゃんをうけいれてくれるか彼女に確認してからいこう。
いや、まてよ。確認するといけなくなるかな
「ねぇねぇ、いっしょにあおいちゃん観にいこう」
『どしッ(みぞおち)』
「ぐぇっ…」

ぎゃくに
セドリックに喜ぶ「三丁目の夕日」観客は
どうにもあおいちゃんに入っていけなくなるし…

あおいちゃんがすきな朱色会のような
昭和の水を飲んだおじさんがノスタルジィを味わうための
映画なのかもしれない。

セットやロケは大変だっただろうな
昭和の再現についてそれが余計に目に入っていた。
多分絵を作るのは大変だったとは思いますが。

事件後の話がすこし長すぎる。
感動の落としどころがよくわからなった。
…でも、あおいちゃんがかわいいからいいか。

評価:61点

昭和がわかる人向き。昭和のノスタルジックを楽しもう。

ーー
この2つの犯罪に焦点を当てた映画をみたあとで思うこと。
最近はこの映画のようないろいろな意味で高度な犯罪ではなく、
情けないほどに下卑た犯罪だけがおきる。

犯罪予備軍に告ぐ。

この2つの映画のどちらでもいい。

観て、くやしかったら彼らのようなスマートな
計画を立てるところからやれ。そして彼らのようにはできないことを
しっかりと自覚して、その行為を思いとどまってほしい。

それはなぜか、
彼らと君らでは志が違う。

犯罪を起こす動機・行動原理がどこに由来するのか?
実際に犯罪結果として情報を受けとる我々はそこだけを見るからだ。


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コメント 4

まなてぃ

こんばんは。朱色会さん。インサイド・マンにコメントありがとうございました。
本当に犯罪者側の思うとおりに、何もかもが運ばれてしまった映画でした。
正直いえば、もう少し警察側のガンバリが欲しかったような気もしましたが、
重点がおかれているのは、犯罪者の計画性、意外性のほうだったのでしょう。
少々、無理がある設定も見てとれましたが、親玉役のオーウェンのクールさと
盗まれたブツの言われや、殺しのシーンがなかったおかげで、最後まで、銀行強盗犯は捕まるのか?逃げおおせるのか・・と犯人よりで映画を観てしまい
ましたね。
自分が人質になったら、こんなこと言ってられないんでしょうけどね。(^^;)
by まなてぃ (2006-06-11 20:07) 

朱色会

こんばんは。まなてぃさん。Nice!&コメントありがとうございます。
ケーサツは基本的にディフェンスですから、みっちりと練られた犯罪に対しては後手にまわってしまうのは仕方がないのですが、それにしても銀行強盗・誘拐など組織的犯行についてはいろいろと準備をしておく必要はあると感じました。いろんなシミュレーションをしているとは思うのですが、あと、ジャパンケーサツは、専門ネゴシエータ育成大丈夫でしょうかね。…た・い・へ・んに心配です。(^^;)
by 朱色会 (2006-06-11 20:22) 

いも

こんばんは!毎度のことながらコメント遅くなりましたm(_ _)m
両方とも犯罪モノという視点からの比較レビュー、興味深く拝見させていただきました。
(実は先週「初恋」の試写会も当選してたのですが、多忙と疲れからパスしてしまったんです。)
「インサイド・マン」は、ほんと観た人によって評価がはっきり分かれてますね。
前半は銀行強盗メインとして、後半は銀行の会長のおっさんに注目しつつ、
1粒で2度おいしい作品で楽しめました。

>『今日のロケ弁なに?』 『キムチ弁当らしぃわよ。』
わはは、これウケました(笑)
「ジョディ・フォスターの使い方がヘタ」とかいう意見の方もいくつか見かけましたが、
私は全然そんなこと意識しませんでした。
大女優だからといって何も毎回必ず主役でないといけないってことないですもんね。
by いも (2006-06-17 23:42) 

朱色会

うぉぉぉぉぉ~。いもさんだ。いもさん久しぶりですね。
>多忙と疲れからぱす
映画は、心身のベストコンディションで臨みたいですね。ココロのアンテナが鋭敏になるし、全身全霊で表現者の言いたいことを受け止めたいですね。
そぅなると体調の悪いときは避けたほうがいい。正解ですな。
>ジョディの使いカタ
ジョディのウェートがこれ以上高くなると話の軸は増えてしまいよくありません。
今回は「スパイス役」ってところでしょうかね。朱色会もそう思います。心なしかフライトプランのときよりも若返っているような。若返っているような(2回目)。
by 朱色会 (2006-06-18 21:24) 

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