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ぶ)BBM [映画(は]

BBM (ブロークバック・マウンテン)を観てきました。


…この映画を評価し、尚且つそれを表現するのは
 タイヘン勇気がいる。特に、『男』にとっては…
 40年前のことをあらわしたものではあるが
 この映画があらわしたものは、この世紀になっても偏見があるからだ
 それにぶつからないように表現すると、当たり障りのないものなって
 受け手にとって意味がないことになってしまうし
 それにこの映画を作り上げたひとたちにも申し訳ない
 したがって、できるだけ素直にやらせてもらおう。

 たどたどしい表現となってしまうが
 あらわしたもの というのは 『男性の同性愛』がテーマだ
 それも短期間のものではなく、2人の男性の長期の人生がつづられており
 ヤスイことが言えない。正直書いていて『ヤメ!』
 と叫びたいところなのだが、それではダメだ、映画通の沽券に関わる。

 したがって、こちらも読者を限らせてほしい
 受け手は、女性。そして この映画を観たものとさせていただく。

…それ以外の方は、退去してください。
 読んでもあまり意味がありません。

ご同意いただいた方のみ、以下の門をくぐって下さい…。
========[ ]==========

久しぶりに映画を観たあとのあの感覚を思い出した。

いつもだと
映画がおわったあと、
眠っていて目が覚めたら夢を全部忘れたみたいに
「あーおもしろかった!」となり現実に引き戻される

しかし、この映画はそうはならなかった。

映画館をでても、まだ夢からさめず
自分がどこを歩いているかもあまり意識できず
時間や日にちへの感覚がうせ、
まだ夢の中を歩いているような感覚

まるで宇宙船から降りた異邦人のように
違う星に降り立ったような感覚。
現実に戻れないのだ。まだ夢のなかにいるような感覚

最後にこれを体験したのはおそらく「E.T」を観たときかな。

エンドロールの文字が見えないほど
ハラハラと泣いたあと、ぼ~~と街中を歩いた。
それで、いま、いつもの喫茶店でこの記事を書いている。

ーー
この映画は、じつは「○○」(←一度文字入力してそれから修正した
実際入力してみるとドギツイ……それで、伏字にした)
を描いた映画ではない。

製作者が、『男』というものの本質を、正直に表現したものだ


これだけストレートに表現したものは よく考えるとない。
おそらく日本では、あと50年は表現できないだろう。
それほどタブーな主題に挑んだ、製作者や俳優(とくに主役の二人)に
まずは喝采をおくろう。

「うちのだんな(カレシ)は、あんなじゃない。」

…といわれる方は、残念だがまだよく『男』をわかっていない。

ぎゃくにこの映画をみた女の人で
「やっぱりそうなのか?」
…と感じた人はかなり 「男」を捉えている。
しかしそれは「女」にとっては哀しい現実だとは思う。

それは何かというと…
『男同士の絆は、それ以外の絆より遥かに強く、それは解くことができない』
というものだ。

特に、自分を理解してくれる同姓と出遭ってしまった場合は
決定的になる。
【男の友情】などと文字に書くとやすっぽくなってしまうのだが
この絆の前に、他の全ての絆は『白旗』を上げざるを得ない
唯一対抗勢力となるのが【父ー息子の絆】だ。
おっと、これも男同士だったね。
それについて『肉体関係』があるのが○○であり
ナイのが「○○でないだけ」のことだ。

それを一環としてしかも、男の2人の人生をじっくりと長く描いている

その2人を解こうとする全ての女たちは、
スクリーンの中で翻弄され
ひとりの女性を除いて納得できないままラストまで苦しんでいく。

2人の妻
2人の娘
2人の女
1人の母

本編ではそうしたオンナの悲しみを連綿と表現しており、
観客として真に受けとってしまったり、
気がついてしまった女性にとっては、
今付き合ったり、同棲しているパートナーに対する見方が
根底から変わってしまうかもしれない。

『あたしは貴方のイチバンには、なれないの?…』


それほどに強い1つのメッセージを含んだ映画だ。

だから、逆に○○映画として『特殊な関係の特別な映画』として捉えた
ほうが観たあとの人生が、【女にとっては】カルくてよさそうではある。
そうしたい方は、いっこうにそうしてもらってかまわないです(笑

…それにしてもこの監督なにものだ?…すご過ぎる。


アトは気に入ったところをいくつか…

アメリカの田舎の表現のリアリティが素晴らしい。

青空の領域をたっぷりとった構図
草原をなでる風
当時の羊追いをじっくり・しっかり取っている(今もああなのだろうか
通りがことのほか辺鄙であること(実はマンハッタン島が特殊なのだ

2人の主役にじっくりと据えた構成と演出
この二人もすごい。この2人のほうがオスカーに相応しい。
うだつが上がらず足掻くいなか青年から、人生の粋を知った中年までの
男の人生をきちっと演じている。あまりもハマっている。
おなかまで…
心配なのはレオみたくこの映画のイメージがついてしまうと
次のスクリーンで輝けなることくらいか
あっぱれな演技。ぶらぼー
脇を固める共演者たちもぴちっと役をこなしていた

ベタな演出
・月がでると、ナニかが起きるというパターンは踏襲していた…
・ニポンとあんまりかわんないアメリカの一般家庭の日常
 赤ちゃんは、泣くか・寝てるかだけ というのは日米共通だった。

などなど…さてと

評価:
一年に一本あるかないかの映画
である。

本編の採点に入ろう この映画の評価軸はいままでの
評価軸は使えない。評価が高い・低いとかできないのだ。

それで「ずるい」といわれそうだが、『∞』(評価不可)とさせて頂く。
ごめん。

最後に、門をくぐるなといったのにここまできてしまった御仁たちへ。
約束を守ってください。つまり条件に合致した人になってほしいのです。
つまり観てください。

おそらくTV放映はムリです。日本では。
ビデ倫もかなりもめるだろな。TOWERVIDEOに並ぶかなー。

調べているうちに残念な記事とHappyな記事をみつけた
『【第78回アカデミー賞】ミシェル・ウィリアムズ、
“ゲイ映画”に出演したとして母校から縁を切られる』
まだ、アメリカでさえこんなもんだ…。それと彼女は
『ヒース・レッッジャーと共演、のちにロマンスへと発展し、
05年秋にはめでたく2人の間に第一子となる女の子が誕生している』
おめでとう!!『ケッコン。フぉ~~』


…正直、消化不良のところもあるが今日のところは、こんなところで
カンベンしてください。読んでくれてありがとう。
コメント&TB ぷりーず。

P.S やはりというか当然というか
    本映画の内容についてのWeb上のコメントは少なく、
    そして真正面から踏み込んだものはプロライタも皆無。
    頑張れ映画ジャンキーブロガたち!!!


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びあんこ

はじめまして!
びあんこと申します、「ブロークバック・マウンテン」を既に3回見た女です。一応so-netでもブログをやってまして、ときどきこの映画について記事がないか探していますが、今日は大ヒット!
非ゲイ男性の感想で、ここまで踏み込んだものは初めてで感激しています。

>『男』というものの本質を、正直に表現

そうなのでしょうね。男性ならではのご意見と思います。
男は男といたほうが実は楽しいのだ、だって少年に戻れるから、と町山さんというライターさんが書かれています。拙ブログの「ブロークバック・マウンテン」のリンクから読めますので、よろしかったらどうぞ。

私も毎日のように「BBM]を語っております。水曜に4回目を見に行きます。
勝手にTB&「BBM]リンクリストに追加させていただきましたが、不都合がございましたらお知らせくださいませ。

http://emmanueltb.cocolog-nifty.com/blog/cat1242266/index.html
by びあんこ (2006-03-20 07:29) 

朱色会

ビアンコさん はじめまして…

ブログ拝見いたしました。いやーハマってますね!
BBMへの熱の入れようが、画面から伝わってきます!!

ワタシはストレートなので、映画好きでもこのBBMの鑑賞評価を
上梓するのは大変でした。なんとかまとめることができたのですよ。
この映画は、「特殊な映画」と捉えてるとまっすぐものがいえないな
と思いちょっとがんばってみました。

なお、ワタシは映画のほかにもイロイロ書いておりますので
よろしければ下記のサイトをご訪問ください。今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
http://shuseki-kai.cocolog-nifty.com/blog/
by 朱色会 (2006-03-20 09:47) 

びあんこ

レスありがとうございました! 拙ブログにもTBいただき感謝です。

>「特殊な映画」と捉えてるとまっすぐものがいえないなと思い

本当ですね。まず見てほしい、そして思ったところを語ってほしい映画ですが、ストレート男性が感想を書くのは難しいでしょう。こちらで率直な力作レポを読めて嬉しいです。
ココログのブログも後ほどゆっくり拝読しますね。以前、私が使っていたプレートと同じで親しみを覚えてしまいました。

「クラッシュ」などコメントしたいものがたくさんありますが、とりあえずお礼まで。
by びあんこ (2006-03-21 06:16) 

coco030705

はじめまして、ココともうします。
TBありがとうございました。おもしろく読ませていただきました。
アメリカではキリスト教の団体が反対したので、この映画は作品賞を
とれなかったとか・・・。真偽の程はわかりませんが、ありえるかもしれません。
とにかく、アン・リーが監督賞をとれてよかったです。
やはり特殊な映画なのでしょうか。私の記事にもなかなかコメントがつきません。TBさせていただきます。
by coco030705 (2006-03-21 13:39) 

ともたろう

はじめまして。ともたろうと申します。
昨日観たばかりで感動から冷めていない状態です。
私の場合、特殊な事情でイニスに感情移入するところが多かったのですが、
同時に「やっぱりそうなのか?」と(笑)思ったクチです。
アメリカでかなり叩かれた理由に、
あまりに真理をついているからでは?とも思いました。
近いうちに2回目を観に行く予定です。
by ともたろう (2006-03-22 21:40) 

睦月

こんばんわ!朱色会さん!ご無沙汰してました。お元気ですか?
朱色会さん・・・コメントが厳しかったとおっしゃってた割には、とても素晴らしい記事ですよ。仕事中に読みながら、少し泣きそうになりました・・・。この作品を私はぜひ、男性に真剣に向き合って欲しいなあと思ってたんです。だって、女性はもともとこういう世界にはほとんど抵抗ないですからね。かえって美しいものとして観れちゃう傾向がある。だから、この記事の内容は、男性だからこそ書けたもののような気がします。
私の中で間違いなく今年のベスト2には入る作品です。ほんとに素晴らしく傑作でした。もう言葉が見当たりません・・・。
あと、数回は観に行きます。
by 睦月 (2006-03-23 01:23) 

朱色会

睦月san...

この映画は人間と人間関係とその移ろいをストレートにあらわしたもので
そこに共感する人は多いと感じました。男代表としてもう少しバラしますとなかなか真剣にこのコトに向きあうこうことが親しい女性のマエではできないのですよ。テレクサイし、それに、大切な人の涙は見たくないということです。それが男がオンナにできないことだとわかってあげてください…(これが男同士だと殴り合いまでやるんだからワケワカランいきものでしょ?)この人間法則は家族に対してもそうなります。つまり娘の涙は死んでも見たくないのに、息子に対してはゲンコツを振るってでも正すワケですね。まったくオトコってやつは…

ともたろう san...

「やっぱりそうなのか?」と思ったということは、それほどその人を理解しているということなので、一番近いトコロにいるということに変わりはないです。しかし、本件はわたしの映画のミカタなので、親しいヒトとはあんまり気にしないで今までどおり(以上)のお付き合いをしていってほしいDEATHね(笑
by 朱色会 (2006-03-23 10:48) 

misae

朱色会さまへ
まず、この映画に対してのあなたの立ち位置の確かさに感嘆しています。逃げず、茶化さず、ごまかさず。言いたいことはきっちり伝える。
いい男だわー。今回のあなたのブログの中でわたしが日頃から思っていたことを文章に表してました。「男同士の絆」です。国は違いますが俺の目を見ろ、何にも言うなのヤクザの皆さん、最近では名作「ショーシャンクの空に」の主役二人。男同士で充足しちゃってるじゃありませんか。
女は子供産むしか彼らには勝てない・・・。彼ら(正確には彼)を愛すれば愛するほど彼らは遠くに行ってしまう・・・。なんて残酷。
女として言えるのはこのくらいです。また他の映画でもコメントさせてもらいます。
by misae (2007-03-18 21:48) 

朱色会

この映画は、この時代においてもタブーなものです。まずはそれを著しきった映画の贈り手たちの健闘を称えたいですね。そのためには『なまなか』←マナカナではありません(笑
な表現は避けようとおもいました。貴方が言われる通りかなり直球で書きました。
私がこの映画で感じたことは映画を観てからかなり経ちますが
かなり確信しているところです。当時はこれを書くべきか、書かざるべきか悩みましたがせっかく気づいたことはしっかり書いておくべきだと判断し、上梓しました。
ご訪問ありがとうございました。またのお越しを。
by 朱色会 (2007-03-20 00:23) 

びあんこ

朱色会さん、お久しぶりです。

コメントをありがとうございました。
そうですよね、出会えたことが幸せなんです。
最愛の彼が逝き、父が逝き、昨年は母も。
そしてヒースまでが、と落ち込みも激しかったのですが。
前向きにいきますね、悲しんでばかりだと先に行って待っている彼らに笑われます。
by びあんこ (2008-01-25 16:37) 

朱色会

『彼ら』の代弁をさせていただきした。
わかってくれて、ありがとう。

『生』と【死】は野球の打順のようなもの(きっぱり
http://blog.so-net.ne.jp/shuseki-kai_org/2007-08-25

貴方が微笑めば、『彼ら』も微笑み
貴方が哀しめば、『彼ら』も哀しむのです。
http://shuseki-kai.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_6867.html
by 朱色会 (2008-01-25 17:20) 

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