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蟻の兵隊 [自腹の映画たち]

蟻の兵隊 @シアターイメージフォーラム(2006/07/30)
試写会募集たぶんなし
ずっと見たかった映画です。あまり広くない映画館ですが、座り心地のいい席でした。一番前の席だと凄く近いので、首が疲れちゃうかも。立見の方もいらっしゃいました。

公式:www.arinoheitai.com
公開中

満足度:★★★★★
監督:池谷薫
出演:奥村和一

遠くを見つめる一人のおじいちゃんの切なそうな瞳。
なんで、こんな切なそうな瞳をするんだろう。その瞳が何かを語っているようで、その何かが知りたくて見に行ってきました。

山西省残留問題、ポツダム宣言以後に山西省に残留して中国軍と共に内乱を戦った日本軍の方達の一人、奥村和一さんを追ったドキュメンタリーです。
軍の「命令」として残留したのにも関わらず、国は認めず、「逃亡兵」と扱い、戦後の補償も行っていないそうです。

知らなかった話でした。知ることができてよかった・・・。
国を相手に裁判を起こし、長年戦ってきた方達はもう既にご高齢です。80代・90代。
映画の中に、奥様が介護が必要な状況で、本人も杖をついてるような状態(移動も大変そう)で、裁判がある日は東京に出てくるという方がいらっしゃいました。この方達がそんな状況に置かれてしまっている状況がとても切なかったです。
映画では国側の主張はわからなかったのですが、「聞く耳を持たない」状況なようでした。
いろいろな事実が明らかなのに、それを国は認めないようです。「ポツダム宣言以後に日本軍が戦った」ということを認めることが大きな問題だからのようです。でも、捕虜になった期間も含めると9年間も、戦争が終わっているのに、帰れなかった訳で、この期間は、短くない・・・。
みなさんが過ごされた月日を考えるとジワジワ涙が出てきて止まりませんでした。いつもは涙腺が固いのに、前半は常に流れ続けていました。

奥村和一さんは、感情だけで動く訳ではなく、冷静に自分を振り返ることのできる凄く知的な方だと思いました。芯の通ったカッコイイ方でしでした。自分が「殺人マシーンになった現場を見てみたい」とか、覚悟がないと出来ないことなんじゃないかな・・・。見るのも苦しく、考えるのも苦しくてフタをしたいことなんじゃないでしょうか。中国で、かつての戦いの様子を話している時に「ウンウン」と聞いてらして、その淡々とした様子が印象的でした。自分のしたこと(日本軍として、加害者としての自分)にも向き合っているのだと思いました。
凄い覚悟だ・・・。
奥村さんの体内には、銃弾の破片が残っているそうです。奥村さんは、「戦争」を抱えて生きていらっしゃるのだと思いました。
終戦60年にしてまだ終わってないんですね・・。
嬉しかったのが、奥村さんの奥様が穏やかで柔らかな雰囲気のステキな方だったんです。戦争体験も、戦後の裁判に関しても凄く凄く苦しいことを抱えてらっしゃったと思いますが、そんな中でも、穏やかで温かい時間を奥様と共に過ごされていたのだとしたら、よかったなと思います。とても厳しい状況ばかりなので、それだけだとしたら、あまりにも悲しくて・・・。

山西省で戦った方達が、心穏やかに過ごせる時が少しでも多くあるとよいなと思います。
このおじいちゃん達に、これ以上涙をこぼさせるのは辛すぎるな・・・(思いっきり感情論ですが、この気持ちは正しいと思う)。


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