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引継ぎは迅速に [山口県光市母子殺害事件考]

覚えているだろうか。1999年に山口県光市でおきた母子殺害事件。1、2審で無期懲役の判決が出ている当時18歳の会社員の上告審が今行われているのを。
この裁判、被告側ではなく検察側が死刑を求めて上告しているのだが、最高裁で口頭弁論を行うことになった。基本的に、最高裁は書類審査で弾かれ裁判自体が行われないケースが多い。口頭弁論を行うということは2審判決が見直されることを意味している。

さて、それに対して、被告側が法廷戦術とも言える弁護人の変更を行ったのだ。
もともと広島弁護士会所属の弁護士2名が弁護していたのだが、それが辞任してオウム真理教裁判で松本智津夫被告の1審弁護人をしていた安田好弘弁護士他1名が就任することとなった。

この安田弁護士、死刑廃止論を展開している人権派の雄なのだ。
死刑判決が当然と思える裁判で死刑以外をもぎ取るすばらしい才能を持った弁護士さまだ。
その弁護士さまが「突然の交代で準備ができてないから口頭弁論を先延ばしして」と行ってきたのだ。
当然のこととは言え、弁護人が交代するのは被告側の理由だ。法律に疎いので良く分からないが弁護士が4人ついてはいけない訳ではないのだから4名で行えば良いではないか。
それに、引き継ぎをキチンと行い裁判の進行に問題が起きないようにするのが弁護士の役割なはず。

このようなことは被告の心象を悪くするのではないだろうか。
私なら「しっかり準備した上で交代せよ」と思うのだが。弁護士は当然の権利として要求しているのだろうが、法曹界の常識・当然が世の中の常識・当然でないことはこのことをみれば良くわかる。

いずれにしても、最高裁はこのような要求は跳ね除け、司法の権威を保つべきである。

死刑が良いか悪いかは法廷外の話であって、法律上に死刑が存在する以上、裁判所が死刑を言い渡すことに躊躇があってはならないと私は思っている。

[追記]14日に口頭弁論が開かれた。言うまでもないが被告側弁護士が卑怯とも言える法廷戦術を行い結果延期となったのだ。これについては明日15日の記事で触れて行きたい。
被害者側の夫本村洋氏の絞り出すような「こんな屈辱を受けた事はない」という叫びが耳に残った。

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山中鹿次

 死刑問題で言えば私は存続派ですが、死刑の多い国が犯罪が少ないとは言えず、麻原に命令や洗脳された信者を麻原と同じ罪とはしがたい。そこで憲法と同じで3分の2の賛成とかで死刑、廃止論者が上限としている終身刑を半分の賛成と3分の2の間、それ以下は無期懲役のようなガイドラインを考えています。個人の怨念の部分とかえん罪、犯罪抑止など100%世論は一致しないでしょうが、落としどころとなると、その辺です。
 それと弁護士がいない地域があったり、弁護士の相談料が払えないから暴力団の示談屋が横行する背景もあり、弁護士を2級、3級弁護士など裾野を拡げ、収入は普通のサラリーマン並みでもいいが、熱意のある人がなれるようにすれば、ご指摘の硬直した部分も多少は変わると思います。
by 山中鹿次 (2006-03-11 12:16) 

南雲しのぶ

山中鹿次さん、コメントありがとう。
死刑があるからと言って犯罪が少なくないか否か。これは統計では計り知れません。
各国、犯罪について考えが違いますし、置かれた環境も違い、殺人が多い国もあれば殺人は少ないけど銃犯罪は多い、ということもあるでしょう。どこまでを犯罪とするか、ということもあります。
それに、日本で死刑が無くなったらと言って犯罪が増えない、という根拠はどこにもありません。
確かに、弁護士に階級を設けていくことも大切かも知れませんが、単純に弁護士を増やすということは、米国のように訴訟社会を誘発する危険性もはらんでおり思った効果が得られるか難しいかも知れません。
by 南雲しのぶ (2006-03-12 06:42) 

宙太郎

私は「人を殺したら死刑になるから」という抑止力はあまり期待していません。
むしろ被害者の立場で死刑しかないと言う考えです。
で死刑にするしないの選択肢が被害者家族にあってもいいのではないのでしょうか?ただ被害者家族が「あいつは死刑に!」と選択して被害者家族が無用な重荷にならないようにしないと本末転倒ですが。そんな犯罪者はいないようが良いでしょう。
by 宙太郎 (2006-03-15 12:41) 

KANAchanMaMa

拝読いたしました。
死刑廃止や 弁護士の物事の処し方については、確立した持論も 知識も、
まだ 持ち合わせていないので、なんとも言いがたい自分ですが、この
問題については、今後も 貴男記事を 読ませていただきたいと 思っており
ます。
by KANAchanMaMa (2006-03-15 17:25) 

南雲しのぶ

宙太郎さん、コメントありがとう。
死刑に抑止力を期待しているのは間違いなのだと思います。死刑があろうが無かろうが犯罪は起きますから。
宙太郎さんの仰るように「被害者のため」ということと同時に「加害者のため」でもあると思っています。無期懲役では死ねないのですから。
本当に反省していれば、死して詫びる詫びたいと思うことがあって然るべきにも関わらず、刑務所で自ら死ぬ事は現実不可能に近いのですから。
by 南雲しのぶ (2006-03-15 17:47) 

南雲しのぶ

KANAchanMaMaさん、コメントありがとう。
死刑の存廃や裁判員制度など司法の世界には改善しなければならないことが沢山あります。
本件だけでなく被害者の人権を無視した事件は沢山あります。ぜひこれを機会に知っていただければと思います。
「人権」を標榜する者たちが正しいとばかりは言えない事もわかってくるでしょうから。
by 南雲しのぶ (2006-03-15 17:53) 

宙太郎

しかし、自ら死を選ぶような潔さを求めるのも無理がある、やはり強制的に裁きにて「死んで」頂くのが良いのかな。亡くなった方の無念と比べると言いたいことが言えてそれから自分で自殺と言うのもなんだかなぁ~と。
確かに犯人が死んでも生きてても死者は生き返らないが、いるだけ目障りでしょう。ただ単に「絞首刑」されても・・・苦しんで死んでほしい。
私の『死刑感』です。
by 宙太郎 (2006-03-15 20:15) 

南雲しのぶ

宙太郎さん、コメントありがとう。
それだけ説得力のある判決文なら自ら選ばせることが可能ではないか、と思います。そこまで行き着ける判決文を裁判官に望みたいものです。
被害者意識のためにとか目障りだからと死刑を、というのは本来刑罰のあるべき姿ではないのではないでしょうか。刑罰は、あくまで司法に基づく制裁でなければなりません。
苦しませることもまた同様です。痛みを与えたからと言って被害者感情を安寧に導くことはできませんし。
なんだか賛成反対って簡単に言えることでは無いのでしょうけど。
by 南雲しのぶ (2006-03-15 21:03) 

宙太郎

そうですね、私の意見はかなり「暴論」でした、考えを改めなければ。。。
被害者被害者だけでは解決は難しいですね、「死刑論」・・・難儀です。
by 宙太郎 (2006-03-16 10:15) 

南雲しのぶ

宙太郎さん、コメントありがとう。
別に暴論ではありません。ほとんどの人がそう思っていると思います。
ただ、私としてはそれが暴走することで死刑廃止論者が勢いづくのが怖いだけです。
「死刑容認派は、被告に苦痛を与える事を望んでおり人権蹂躙だ」って感じで。
自分達の言葉を棚に上げて反対する意見には重箱の隅をつつくようにせめるのは彼らの常套手段ですから。
by 南雲しのぶ (2006-03-16 19:33) 

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